『DQウォーク』のこれまでとこれから。柴プロデューサーへの特別インタビュー【電撃DQW日記#1156】

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 スクウェア・エニックスのiOS/Android用アプリ『ドラゴンクエストウォーク(ドラクエウォーク)』のプレイ日記をお届けします。

 電撃オンラインで『ドラクエウォーク』の記事制作を担当しているレトロです。日記の連載が1,000回を迎えたときに「1,000回を記念した特別企画も準備中」と書かせていただきましたが、その特別企画がついに実現しました!

 それは、柴貴正プロデューサーへの独占インタビューです!

 『ドラクエウォーク』のプロデューサーを務める柴プロデューサーに、今までの『ドラクエウォーク』や過去に行ったコラボの裏話、さらには柴プロデューサーのプレイ状況など、さまざまなことをお聞きしてきました。

 どんな意図であのシステムが実装されたかなど、『ドラクエウォーク』プレイヤーなら知っておきたい情報を1、たっぷりと前編・後編の2つの記事で公開いたします。個人的には後編で公開予定の柴プロデューサーのおみやげ話に驚愕しましたね。ほぼコンプって!

 では、貴重なお話をどうぞ!

スクウェア・エニックス
『ドラゴンクエストウォーク』プロデューサー
柴 貴正氏

『ドラクエウォーク』スペシャルインタビュー

『ドラクエV』らしさを追求した2周年記念イベント

──2周年のタイミングでは満を持して『ドラゴンクエストV』とのコラボが実施されました。このタイミングで『V』とのコラボを実施した理由は?

 ソーシャルゲームというジャンルではコラボというものが大切になってきていて、『ドラゴンクエスト』系のソーシャルゲームですと、ナンバリングタイトルとコラボすることが多いです。もちろんみなさんそれぞれに思い入れはあると思いますが、ナンバリングのなかで本作をプレイされているターゲットのユーザーのみなさんの世代や時期的なものを考慮すると、『V』が一番『ドラクエウォーク』との親和性が高いんですよ。

 1周年のときはコラボではなくオリジナルのストーリーで展開したのですが、やっぱりユーザーのみなさんのことを考えると、2周年ではちゃんとナンバリングとのコラボをやりたいなと。そのなかでもとっておきのものを出したい、という思いもあり『V』とのコラボを実施することになりました。

──コラボが発表されて以降のユーザーのみなさんからの反響はいかがでしたか?

 「ようやく来たか!」という感じで、おかげさまで好評でした。『ドラクエウォーク』はあまりコラボを連続でやらないように心がけているのもあり、ユーザーのみなさんにとっても待望だったようです。

──今回は『V』の主人公にプレイヤーがなるという、今までのシリーズ作品とは異なる展開でした。こういったストーリーにしたのはなぜでしょうか?

 プロット作成の段階ではいつも通り、プレイヤーとスラミチ、『V』の主人公と花嫁を登場させる形式を検討していました。ですが、『V』を語るうえで避けては通れないものとして、花嫁の選択や家族愛などのテーマがありますよね? こういったものへの没入感を高めるためには、プレイヤーが主人公に転生するというか、入り込んでいるという流れにしたほうがしっくりくるんですよ。ユーザーのみなさんも花嫁選びなどを、より深い思い入れを持ってプレイしてくれるはず、と考えてこの形式にしました。

 これについては堀井さん(『ドラゴンクエスト』シリーズの生みの親、堀井雄二氏)にも相談済みです。堀井さんからの助言としては「コラボでも『ドラクエウォーク』っぽさを出したほうがいいから、スラミチにしゃべらせたりツッコミをさせたりしてね」と言われ、そういった部分も反映させています。

──花嫁選びでは誰か1人の‟こころ”を選ばなければならないというのも、シナリオと『ドラクエウォーク』のシステムがマッチしていましたね。

 そうですね。花嫁は‟こころ”の色が違うこと以外は基本パラメータもスキルも同じなので、ユーザーの好みで選んでいただければと。ただ、みなさんの反響を見るに、誰を花嫁にするか真剣に悩んだ人が多かったようです。

 あとで堀井さんと話したのですが、やっぱりコンシューマの『V』だったら直前でセーブして、リセットしてやり直すなり、一度クリアしたあとでセーブしたところからプレイするなりできましたが、『ドラクエウォーク』では本当に1回限りの選択ですからね。ある意味コンシューマ版より悩むのは当然だったんだなあと納得しました。

──今回の周年イベントは約2カ月にも渡るロングランイベントでした。ここまで長く展開した理由を教えてください。

 もちろん長く遊んで欲しいという思いもありましたが、『V』は親子三代に渡る壮大なシナリオじゃないですか。そのため、ちゃんとシナリオとして表現すべき部分が多くて。なんか端折れるところがないんですよね、『V』のシナリオって。それらをすべて描き切るための期間が必要だったということもあり、約2カ月でやらせていただきました。

──長期間のイベントに合わせたふくびきも複数同時に登場しました。

 あれは本当に、自分で自分の首を絞めましたね。‟2周年記念ふくびき”のドラゴンのつえも、‟天空の花嫁装備ふくびき”のグリンガムのムチも、‟神託のエルへブン装備ふくびき”のストロスのつえも、そして最後に登場した“マスタードラゴン装備ふくびき”の装備もみんな優秀な性能で。僕もふくびきを回しまくってしまいました(笑)。

──2周年のタイミングで新コンテンツ“なかまモンスター”が実装されました。このコンテンツはいつごろから実装を検討していたのでしょうか?

 たぶん半年以上前からですね。1周年のイベントが終わってすぐに2周年イベントのことを考え始めて、‟なかまモンスター”の案もそのとき出てきたのですが、そこから形になるまで時間がかかりまして。今も2周年イベントが終わったので、3周年イベントについて考え始めていますが、どのようなものになるか決まるのはまだ先でしょうね。

 ちなみに‟なかまモンスター”というワード自体は、それこそローンチ前から出ていたんですよ。システムとして実装するとなると、プレイ体験が大きく変わる可能性があり、ずっと温めていました。ですが2周年で『V』とコラボすることが決まったとき、「『V』といえば‟なかまモンスター”でしょ」というのがスタッフの共通認識で、実装の運びとなったわけです。

──‟なかまモンスター”はキャラクターの育成状況に寄らない、新しく始めた人でも楽しめるコンテンツだと思うのですが、こういったものは意識して導入されたのでしょうか?

 だいぶ意識していますね。ここまで『ドラクエウォーク』を作ってきて、幸いなことに多くのみなさんに継続してプレイしていただけているのですが、カジュアルな遊びの要素が少なめと感じていたので。ですからそういった要素を入れたいという思いと、『V』とのコラボという話が合わさって、結果として‟なかまモンスター”の実装につながったとも言えます。

──‟なかまモンスター”は現在45種類いますが、集めるのはかなり大変ですね。

 かなり大変だと思います。なかなかなかまになってくれないモンスターもいますし。そのぶん、レアなキラーマシンとかにふと出会えたときはテンション上がりますね。その先で起き上がるかどうかは別問題ですが(笑) 。

──起き上がらないことも多いですよね(笑)。やはり普段からガッツリプレイされているのでしょうか?

 いや、とくには(笑)。僕はあんまりゴリっとやり込むようなことはしないんですよ。においぶくろを数時間たき続けてバトルしまくるとかは、ほぼほぼやったことないですし。普通の生活のなかで無理のない範囲でプレイしています。

 ただ、僕は普段からよく歩くので。電車とかタクシーとかあまり使わず、徒歩30分以内で行けるところなら必ず歩くようにしています。‟なかまモンスター”は1カ所に留まらずにプレイするとよく出てくるので、この生活スタイルのおかげで全種類集まったのかもしれませんね。

──その感じですと、モンスターのタマゴもどんどんふ化できそうですね。

 そうですね。ゲームっていろいろな要素がありますけど、『ドラクエウォーク』ではやっぱり‟歩く”ことにフィーチャーしたいんですよね。ですから歩くことで一番効率よくできる、タマゴ集めやタマゴをふ化させる要素を入れられたのはよかったと思います。

 以前は『ドラクエウォーク』ならぬ『ドラクエドライブ』、すなわち車移動が最強というか効率的だと言われたこともありましたが、‟なかまモンスター”のおかげでだいぶ‟歩く”ほうにシフトできたと思います。金のタマゴのふ化に15,000歩とか、結構な距離を歩く条件もありますが、多くのみなさんに満足していただけているようで幸いです。

魔法戦士救済だけじゃなかった! 上級職強化の真実

──ダーマの試練という上級職をさらに強化するシステムが実装されましたが、その狙いを教えてください。

 やっぱり新しく追加された職業は若干優遇される傾向があり、それ以前の職業は相対的に使いづらくなる場合があります。でも、人それぞれに思い入れのある職業もあるでしょうし、使いたいという思いは絶対出てくるじゃないですか。そこに職業の強化要素を追加すれば、使っていて楽しくなりますし、強化するための目標軸もできて、さらに遊びとして頑張れる要素が増えます。

 『ドラクエウォーク』はFree to Playのゲームで、ユーザーのみなさんからのペイで運営していくスタイルですが、やっぱり基本はFree(無料)で遊べるゲームじゃないといけないと思っています。ですから、そういった面のバランスも考えたうえで、職業強化を含め、無料でパーティを強化できる要素は今後も追加していく予定です。最近実装された要素ですと、こころの覚醒やぶき錬成などもそうですね。

──ダーマの試練では第1弾で魔法戦士、第2弾でバトルマスターが強化されましたが、この順番になった理由は?

 魔法戦士はじつのところ、実装当時から調子が悪いと言いますか、あまり使ってもらえていないような様子だったんですよね。ですから、調子を上げたいという思いもあって、最初に強化に着手したんです。バトルマスターは逆に、調子自体はいいんですが、パーティの軸となる職業も取り扱いたいという考えで選ばれました。

──職業のチョイスについては、ユーザーのみなさんの育成状況なども参考にされているのでしょうか?

 もちろん、データは参考にしていますよ。それと根底の考えとして、みなさんにいろいろな職業を使ってもらいたいとか、いろいろなパーティ構成を試してもらいたいというものがあります。そんななかで、各職業の特徴をより強めていくべきという考えもあって、ダーマの神殿というコンテンツを作ったわけです。

 魔法戦士で言うと‟パーティ貢献”という部分を延ばしていこうということになり、パーティ全員の属性ダメージをアップさせるパーティスキルや、フォースブレイクの成功率を上げる‟フォースバースト”を追加しました。バトルマスターに関しては、一番の特徴である攻撃的な側面を伸ばすべきだろう、と考え、さらなるダメージアップが狙える‟激怒”や‟戦鬼解放”が追加されました。

 なお、強化内容は長所を伸ばすだけでなく、使いづらい部分を減らすという方向も考えています。そのほかの上級職については今後の情報にご期待ください。

──あるくんですWの実装から1年がたちましたが、プレイヤーのやり込みはどの程度でしょうか?

 意外とふっくらスライム(あまり歩かないプレイをすると変身する)が難しいんですよ。あとはキラーマシンとドン・ランドマークスライムですね。キラーマシンは戦いまくること、ドン・ランドマークスライムは各地のランドマークを訪れる必要があります。この3つはそれぞれプレイの方向性がまったく違うので、コンプしている人は少ないようですね。

──あるくんですWについてはヒントがゲーム内でほぼないですから、みなさん苦労されていますね。

 ユーザーのみなさんに、自分でいろいろ試して報告し合うという遊びを残したかったからそうしています。みなさんの調査能力ってすごいものがありますから。僕も助かっています。攻略サイトとかよく見ますので(笑)。

 とはいえ、実装から1週間くらいで攻略サイトのスライム図鑑の項目が埋まっているのを見たときは本当に驚かされましたね。開発の誰かから情報がもれたんじゃないかと思ったくらい(笑)。もちろん、実際はみなさんが調べた結果でしたよ。

──あるくんですWの機能拡張などは考えていますか?

 もちろん考えてます。スライムの種類も最初はもっとありましたが、「多すぎるんじゃないか?」という意見が出てかなりオミットしています。みなさんの図鑑がもっと埋まったら、新しいものを増やすのもありですね。ほかにはたくさん歩いてレアな装備がもらえる‟あるいてストーリー”も楽しんでほしいですね。

 インタビュー前半はここまで。後半では柴プロデューサー自身のプレイや多彩なコラボについて深く迫っていきます。そちらもどうぞお楽しみに!






※『ドラゴンクエストウォーク』は、Google Maps Platformを使用しています。
※『ドラゴンクエストウォーク』を遊ぶ際は、周囲の環境に十分気を付けてプレイしましょう。
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ドラゴンクエストウォーク

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応端末: Android
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2019年9月12日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

ドラゴンクエストウォーク

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応端末: iOS
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2019年9月12日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

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