若人や職人の想いが交錯する『歪んだ竹灯篭』。ご当地要素やサスペンス調の展開はもちろん健在【ADVレビュー】

まり蔵kbj
公開日時

 古今東西のミステリー・サスペンス・ホラー系コンテンツを幅広く紹介するコーナー“まり蔵探偵事務所(まり探)”

 今回は、フライハイワークスから発売中のNintedo Switch/PS4/PC(Steam)用ソフト『大分・別府ミステリー案内 歪んだ竹灯篭』について、所長のまり蔵と助手のkbjが紹介します。

温泉に行きたいか~!?

温泉に入りたい!

急になんですか? 仕事してくださいよ。

暑いし仕事が多くてバテるので、リフレッシュしたい! だから温泉に行きたい行きたい行きたいよ~!

はいはい、土日にでもいってらっしゃい……って、なぜゲームをやり始めるんですか?

いや、だから九州は大分の温泉に行ってこようかなと。

ああっ、ミステリー案内シリーズの最新作ですね。もう自分はひとっぷろ浴びて、美味しいものをたべて、ビール飲んで、事件を解決してきましたよ。

お前、酒飲まねぇだろ!

気持ちの問題ですよ。んじゃ、早速ゲーム内容を紹介しますか。

大捕物に大分観光、殺人事件に盛りだくさん!?

早速プレイしてみたわけですが、今作でもストーリー冒頭の“大捕り物”が健在で私はうれしかったよ。

今回のホシは、運び屋“ほほえみのタロウ”でしたね。

おそらくチュートリアルの意味合いがあるパートなんだろうけど、テンポよくコマンド選択の操作が確認できて、好きなんですよね。

わかる。で、東京での大捕り物が一段落したら、いよいよ大分の別府へ行くわけですが……今回の物語はかなり“今”を感じるネタが盛り込まれていましたよね。

そうだね、デジタルアート集団と伝統工芸の融合とか。あと、SNSでの誹謗中傷や犯行予告とかも“今”の社会問題だよね。

本作はレトロスタイルなコマンド式アドベンチャーゲームだけど、ストーリーはすごく“今”を感じられて、ちょっと不思議な気持ちになりましたわ。

なるほど、確かに。私は、事件の捜査の合間に挟まれる大分観光が楽しかったなー。

別府タワーに行きたくなるよね。調べたら、今改修工事をしていて展望台に登れないらしいけど(笑)。

今作に限らず、ミステリー案内シリーズといえば、現地に行きたくなる素敵な描写が特長だからね。観光名所や名物が目白押し!

1作目は伊勢志摩、2作目は秋田の男鹿で、3作目は大分の別府と、舞台もいいチョイスですよね。

どこも風光明媚でいいよね~。温泉あるし。

まあ、日本は掘れば温泉が出ると言われているくらいに温泉大国ではありますが(笑)。

食べ物の描き方がさ、またいいんですよ。現地の食材を使ったメニューや、よく知らない名前の食べ物を味わう描写がいい!

わかります、ゲームしながら画像検索したこと、ありますよ。

私はお酒を飲んだ記憶があるな。

飲酒プレイ!?

プレイすると実際に現地へ行きたくなるのがこのシリーズのいいとこですね。

実際に伊勢志摩に行った人が言うと説得力、違いすぎでしょ。

参考:『伊勢志摩ミステリー案内 偽りの黒真珠』の聖地探訪記事はこちら

1人だったから、伊勢神宮周辺で腹がはち切れそうになるくらい食べたわ。むしろ、実際にはち切れていたわ。

食いしんぼうバンザイ!

ちなみに伊勢に行った際は、夫婦岩の帰りのバスの時間をチェックするの絶対に忘れないように。所長との約束だ!

自分はゲーム中の場所を調べて、ネット上で旅をしましたね。ここから車で移動して、ここで人に会って……みたいな。

おおっ、なんかITを駆使した探偵っぽいな。

いや、所長の肩書きこそが探偵でしょ?

いや、でも今回もご飯の描写がよすぎて……! 大分まで名物食べに行きたくなりましたよ。“とりてん”、“りゅうきゅう”、“かぼすブリ”!

そういえば、“りゅうきゅう”ってこのゲームで初めて知りました。

私も。ごま和えの刺身おいしそうだよね。九州の刺身醤油は甘口で、これがまたうまいんだよな~。大分麦焼酎を飲みながら食べてみたい~。

俺は“ベップれいめん”かな~。そば粉の麺と牛だし汁の冷麺食べたい!

いやー、しかし今作でもケンの食レポがキレキレで、大分食い倒れツアーしたくなりますね。

プロローグ

 大分県 別府市……。風光明媚なこの土地で、別府の伝統工芸の1つである竹細工と最新のデジタルアートを融合させた大型アートイベント“テクミックス”が、開催を間近に控えていた。

 芸術家を輩出した名家・阿南家の当主と、最先端技術を駆使したアートクリエイティブ集団・アルテヌーブ社が手を組んだその斬新な催しの開催が近づくにつれて期待と注目を集めてゆく反面、代表者たちの知名度の高さ故、羨望や反感の的にもなり、開催を快く思わない者たちによる誹謗中傷や犯行予告までも呼び寄せていた。

 そのころ、主人公(プレイヤー)と後輩刑事・ケンは、日頃の活躍と捜査手腕を評価されたのか、そのイベントの警備強化に携わる特別任務に就くこととなり、急遽大分へと赴くのだった。

 大分の地でイベントに携わる者たちの姿と思いに共感し、その成功を祈り、警備チームとして尽力しようと決意する主人公(プレイヤー)とケン。しかし、事件は2人の思いも寄らないところで起きてしまうのだった……。

今作も個性的なキャラが目白押しでした

このシリーズはさ、物語がちゃんとミステリーしているところがいいよね。

ああ、わかります。事件が起きて、それを追いかけて、情報を集めて、解決するとちゃんとしていますね。

そうそう。んで、そのうえでキャラの関係性や過去がちゃんとからんでくるじゃない?

キャラの考えていることや通ってきた道筋がいろいろなところに出てきますね。

特に1作目から人間関係の描写がすごく好きですね。

今作で好きなキャラは?

個人的に、アルテヌーブ代表の山口さんのセリフに笑ってしまった。いるいる、こういう横文字を使いたがる人、いるよねって!

あの人、いいキャラですよね(笑)。

「コンセンサスをとっておくべきアジェンダは~」とかなかなか日常会話で使わないって!

俺は平田さんかな~。イラッとするしゃべりや態度がしっかりあって、感心しました。

メインキャラはもちろんだけど、脇のキャラも特徴的でいいのがこのシリーズの魅力よね。

もちろん夢見る若きクリエイター・文花や頑固な芸術家・創一郎とかも印象的だけどね。家政婦のミツさんとか、いいキャラ多かったなあ。

良質の旅情ミステリーを味わえる!

事件が解決してから、少し余韻があるじゃないですか。やりきった達成感と寂しさを感じつつ、エンディングを見るのが好きですね。

このシリーズ、達成感がすごくあるよね。いいゲームを、いい物語を楽しんだ! っていう。

ゆっくりプレイしてもそこまで重くない、絶妙なボリュームですね。

そうそう。あとシリーズを重ねるごとに操作性もよくなって、遊びやすくなってるしね。個人的にテキストスキップ機能、助かってます。

所長はシリーズ作品ではどれがお気に入りですか?

私は1作目の黒真珠が好きなんですよ~。親と子がテーマになっているところが涙腺に刺さって……。

参考:『伊勢志摩ミステリー案内 偽りの黒真珠』のレビューはこちら

自分はボリュームあって、驚きの2夜連続ドラマの2作目も、今回の年末特番っぽい3作目も好きですけどね。


おい、その答えはずるいだろ!

テヘペロっ! ぜひ、クリア後にPVをみていただき、実際の風景をバックに流れるテーマ曲を満喫してください。

懐かしさや哀愁があって、毎回ジーンとするよね。

今作『歪んだ竹灯篭』のテーマ曲は、もの悲しさの中に先に進んでいくような前向きさがあって、いい曲なんですよ……。

名曲だよね……。Switch版、Steam版に加えてPS4版もリリースされたので、ぜひこの機会に!

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Illustrated by Kiyokazu Arai
©Happymeal Inc.

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