『FFXIV』パッチ5.1の“つよくてニューゲーム”実装に向けて――バックグラウンドの魅力をあらためて語ってみる
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最新の拡張パッケージ『漆黒のヴィランズ』が世界中で高評価を得たオンラインRPG『ファイナルファンタジーXIV』。パッチ5.0で実装された今回の冒険は、原初世界と隔てられた異世界“第一世界”が舞台であること、そして無尽の光に覆われた世界に“夜を取り戻していく”という物語が展開されることなどから、これまで以上に景観の変化に注目が集まるつくりになっていました。各地をめぐる旅の途上で、景観や音も含めた環境の美しさに心奪われた……という方は、とても多いのではないでしょうか。
というわけで本記事では、直近のバックグラウンド(以下、BG)班インタビューもふまえて『FFXIV』5.0エリアの魅力に迫る記事をお届け。BG班の細かいお仕事にも目を向けてみるコンセプトで、「こんな楽しみ方もあるかもよ」という内容をお送りしていこうと思います。
・『FFXIV』のアート&グラフィックを鈴木健夫氏に尋ねる――景観という“画”が与えるゲーム体験
・『FFXIV: 漆黒のヴィランズ』背景制作の一翼を担う高梨佳樹氏に尋ねる、BG班のお仕事とその魅力
・『FFXIV』キタンナ神影洞の演出は『聖剣伝説2』のオマージュ!? 世界に命を吹き込むBG班・志田雅人氏の手腕に迫る
体験こそ『FFXIV』の本質
“景観”は世界を体験できるコンテンツ
多くの方がご承知のとおり、『FFXIV』は、プレイヤー自身の“ゲーム体験”の質を最重要視して制作されている作品です。そのなかでBGとは何かと問うならば、それは“世界を”“体験できる”という要素に他なりません。物語を追いつつ、景色や環境音の美しさ・心地よさや、世界に生きる人々の息遣い、その世界の成り立ちなどなどをつぶさに感じられる巨大なコンテンツ――あたりまえに存在していると思いがちだけれど、『FFXIV』の根幹を為す要素――それが“BG”なのだと思います。
さて、そもそも今この時期に、すでに認知されている『FFXIV』BGの魅力をあらためて紹介するのはなぜか? その理由は、直近のインタビューでBG班の方々のお話を聞く機会に恵まれたというのがまず1つ。そしてもう1つは、パッチ5.1で実装される“つよくてニューゲーム”で、『漆黒のヴィランズ』メインストーリーを再体験する人がかなり多いのではないかと予想されるから。
『漆黒のヴィランズ』5.0のシナリオでは、物語が進むにつれて周囲の状況がめまぐるしく変わっていきました。変化する要素は“空”だけでなく、そのあたりに置かれている物品、人々のいる位置や話す内容などさまざま。近づくとフキダシで喋り出すNPCも、時期によってまったく別の人々が登場したり、まったく別のセリフが語られたりする力の入りっぷりでした。つまり、ストーリーの進行に応じて世界全体が変化していったんですね。
クエストの進行中にしか見られない景観もあるし、人物の場所は変わるし、時刻、天候、物語の進行に応じても景色は変わる。もちろん『FFXIV』はオンラインRPGですので、他プレイヤーも動くし、パッチに応じた変化も多々ある。そんな変化こそ『FFXIV』の楽しみの1つであるのは間違いないのですが、そうであるがゆえに、じつは目の前の“景観”というのは、なにげに“今この瞬間、あなたにしか見られないもの”だったりするわけで。
“つよくてニューゲーム”で過去の物語を見直すということは、そんな『FFXIV』の世界を、もう一度体験するということ。であれば、ぜひそんな“世界の移り変わり”までも含めて、気ままに、ゆっくりじっくり景観を見てほしい。そうすれば……きっと1回目で気づけなかった新たな発見とともに、より多くの感動を得られるのではないかと思います。
などなど、だいぶ前置きが長くなりましたが……以下では“どんな部分に目を向けるか”といった、ちょっとした切り口などをご紹介!
原初世界との差に注目――
第一世界独自の文化・歴史の標
『漆黒のヴィランズ』(パッチ5.X)メインストーリーの舞台である第一世界は、約12000年前に原初世界から分かたれた鏡像世界。つまりノルヴラントは、地理的に“第一世界のエオルゼア”ではありつつも、世界がたどって来た歴史はまったく異なるわけですね。
となると当然ながら文化そのものが違うわけで、BG班&世界設定班の方々はそれらを考えながら“似て非なる世界”の雰囲気を演出していたのだとか。
インタビューで聞いたところによると、第一世界各地のマップや地形、景観などはすべて密な打ち合わせをへて担当スタッフさんがゼロから新しく作ったということですが、開発的には“わかりやすさも考慮して設定的にあえて原初世界と似た要素を入れている”というお話でした。
比べてみると地形もそこにあるものも原初世界とまったく違うけれど、歩いていると「あれ? ここって……」と思える空気も感じさせられる。そんな絶妙な塩梅は、開発側の創造力によるものなわけですね。
となれば、“似てるかも”と感じられる部分は、開発サイドの遊び心が具現した場所とも言えるかも? もちろん私たちのそういった感覚は主観ですので、制作時に開発が意識していなかった可能性のほうが多いとは思いますが……遊んでいて「おおっ」と感じられたならそれでいいのです。各地を歩く際は、そんな場所を探してみるのもきっと楽しいと思いますよ。
そこに“いる人、在る物”の背景を想像してみる
普段とくに気を払わず通り過ぎてしまう場所でも、ふと興味を引かれるような経験、みなさんもあるのではないでしょうか。そんなときとくに注目してほしいのが周囲の人影。「あれ? こんなところに人いたっけ」と近づいてみると、そこにはポップアップのフキダシでセリフを喋る人物……直接ターゲットできないNPCがいたりするわけです。
このフキダシNPC、どこへ行って何をするかで彼らの生活や世界設定が垣間見えたりして、追いかけて話を聞いたりしているとじつに興味深いのですが、見ている限り『漆黒のヴィランズ』ではこれまでの拡張パッケージと比べても多くのキャラクターが存在しているような感覚。どうやら時間帯やプレイヤーの状況を鑑みたうえで出現する人もいるようなので、各地を訪れた際はぜひ探してみてください!。
また、第一世界には原初世界の生命と源を同じくする“分かたれた魂”たちが存在している……というのもおもしろい設定。「もしかしてこの人は」なんていう視点でNPCを眺めていくのも楽しかったり。
そしてもう1つぜひ注目してみてほしいのが、各エリアに配置されている“物”。建築物も含めて、「何に使われてたんだろなー」なんて考えるだけでけっこう時間をつぶせるものです。例えば箱などの収納用品。これまでは同じ“箱”や“樽”でも、原初世界エオルゼアと東方地域で雰囲気の異なる物が置かれていましたが、第一世界のものはさらに素材の質感からして別物である様子。
とくに、クリスタリウムに置いてある物品は他のものより機能的で洗練されている印象。街の人が“クリスタルタワー内にあった物資を流用している”と話していた……ということはつまり、“原初世界、第八霊災後の未来の物品(をおそらく職人たちが改良・量産したもの)”が並べられていたわけですね。
フィールドに生えている植物なども、BG班の各エリア担当さんが独自で設置しているとのこと。特定地域にしか咲いていない花があったり、時刻に基づく光の加減で印象が変わる景色があったりと、あらためて注目してみるといろいろ興味深いものに出会えるはずですよ。
といったところで本記事は以上ですが、ここに挙げたのはあくまでも一例。景色を楽しむのに、“ああしろ”“こうしろ”なんてのは必要ありません。好きに見て、好きに感嘆できればそれでOK。ちなみに筆者は暁の面々など“旅の仲間がいる風景”や“普通に戦っているだけだとわかりにくいバトルコンテンツ内の景観”をSSに収めるのが趣味だったりしますが……それはさておき。
タウン、フィールド、ダンジョン問わず、普通に通り過ぎるだけでなく、細部に注目したり、通常と異なる視点で眺めたりしてみることで、より多くの楽しみを味わえるのは間違いないかと思います。“つよくてニューゲーム”で物語を再体験する際も、今後の新コンテンツを遊ぶ際も、ぜひぜひみなさまあらためてBGの美しさと作り込みに目を向けてみてはいかがでしょうか。
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