『Undertale』トビー・フォックスに超共感! 感情をぐちゃぐちゃにされたい人にプレイしてほしい【東城咲耶子のおすすめインディーゲーム】
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- 東城咲耶子
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電撃オンラインユーザーのみなさん、こんにちは! 私、東城咲耶子がひたすらおすすめのインディーゲームをゆるく紹介する“東城咲耶子のおすすめインディーゲーム”第7回!
みなさん“電撃インディー大賞2023”の配信も見てくれましたか?
電撃ゲームライブ #102 電撃インディー2周年SP【MC:豊田萌絵、東城咲耶子】
推しゲームは入っていました? ぜひあなたのおすすめゲームも教えてください! ぜんぶやります!(笑)
ちなみに“電撃インディー大賞2023”の結果発表(部門ごとの結果も)も掲載されているのでこちらもぜひチェックしてみてくださいね!
さて、毎年たくさんの面白いインディーゲームがリリースされていますが、今回のご紹介は殿堂入りと言ってもいい“あのゲーム”です。インディーゲーム好きなら知らない方はいないのではないでしょうか?
そう、今回はこちら! 『Undertale』です!
「名前は知っているけど、なぜそんなに人気なの?」という方にも、私のオタク語りで魅力が伝わるといいな……!
あまりネタバレをしたくない作品なのでマイルドに書きますが、これを読んで気になった方は、ぜひ世に溢れる決定的なネタバレを回避しまくって今すぐプレイしてくれー!
※本記事内にはネタバレを含む要素がありますので、ご注意ください。
『Undertale』
『Undertale』は、2015年にインディーゲームクリエイターのトビー・フォックス氏によって発表された“誰も死ななくていいやさしいRPG”がコンセプトのゲームです。
ストーリーの進行は一般的な2DのRPGなのですが、バトルになると突然シューティングゲームや、リズムゲームの早押しのようになる独特のゲームスタイルです。
しかも、毎回キャラクターに合わせて攻撃の仕方やデザインが変わるので、シューティングゲームがド下手なぼんやりした私には、常に初見の攻撃と戦わされるのがハードでした……。
ずっと「それぞれバトルのデザイン違うの可愛いー!」と「は?」という両方の気持ちでした(笑)。
でも、何度でも挑戦できて、ほとんどはちゃんと子どもでもクリアできるやさしい難易度なので大丈夫です。ほとんどは……。
主人公は、ある日、地底の世界に落ちてきた『ニンゲン』の子どもです。そこには“モンスター”たちの国があり、地上に帰るためにさまざまなキャラクターとかかわりながら、物語を進めていきます。
戦ったり話し合ったり逃げたり、いろいろな選択肢を選ぶことができ、それによってルートやエンディングも変化します。
『Undertale』には、RPGらしくモンスターと戦ってレベルを上げて進むNルート、モンスターたちとお友だちになるPルート、悪役をやりきるGルートという3つのルートがあります。
そしてNルートは、誰を倒したか、誰と友だちになったかで細かく分岐し、10種類以上もエンディングが用意されています。
ほかのルートも途中の選択によってセリフや絵が変化するなど、かなり細かい差分があります。
分岐が多すぎるので「私にとってのNルートはこれ!」と、みんな違う会話を見ているところが好きポイントです。
元々、モンスターとニンゲンは共存していたのですが、とある出来事からニンゲンたちと戦争になり、負けたモンスターたちは地底に閉じ込められ、ひっそりと生きていくこととなりました。
ニンゲンでも倒せるというところで気付く人もいるかもしれませんが、この世界のモンスターたちは実はすごく儚い存在なのです。
しっかりとした強いタマシイや肉体を持つニンゲンたちと違って、やさしく純粋なモンスターたちの体は魔法で出来たフワフワした存在で、ニンゲンたちの殺意など強い意志の前では弱体化してしまうのです……。
本来ならそんなモンスターたちの敵であるニンゲンの主人公ですが、地底に落っこちてきたところを助けてくれるトリエルというママのようなキャラクターや、お友だちになってくれるサンズ&パピルスなど、愉快でクレイジーなモンスターの仲間たちにやさしく守られ、ゆるく旅をしながら今の対立関係を変える方法を探します。
NルートとPルートを経てエンディングにたどり着くころにはもう、いろいろな種類の大きな愛に包まれて、人生に残る思い出のゲームの1つになっていると思います。
キャラクターの造形や会話、セリフ回し、どれを取っても今までのゲームでまったく見たことないものなのですが、このゲームが特別愛されている理由の1つに、その独特さがあると思います。
真似出来ないナンセンスなセリフ回しやフレーバーテキストは、宇宙を感じる不思議な気持ちになります。
“何を言ってるのか分からないけど、なんか良い”瞬間が多々あります。最高。大好き。
私が特に好きなモンスターの話をさせてください! “レッサードッグ”と“テミー”というモンスターです。
作者であるトビー・フォックス氏は、犬がお好きなようで作中にやたらと犬が出てくるのですが、レッサードッグは撫でると妖怪のろくろ首のように首が伸びていき、その首は画面の外にまではみ出していくモンスターで……。
どういう発想???
犬らしく、撫でられるとひたすら嬉しそうで、嬉しいから伸びてしまう(?)ところがとっても可愛いです。
テミーは、犬……? 猫……? なんだろう? まったく分かりませんが、可愛いです。
ストーリーには関係のない隠し要素として“テミー村”という場所があり、そこには同じ見た目で、同じような独特なしゃべり方をするテミーというモンスターがたくさんいます。
「ホィ! 手ミーだ! となりは トモダチの… 手ミーだ!」とか「ニンゲン!!!!!! メっっっちゃ… きゃわわわわ〜!!」とか、独特すぎるしゃべり方をします。
何も理解できない空間なので上手く説明ができませんが、とにかくそのよく分からなさが可愛いです。ホィ!
ほかにも、常人には考えつかない面白いモンスターがたくさん出てくるので、ぜひゲームをやりながら「これをどう文章で表現したら……」と、私と同じ気持ちになって欲しいです(笑)。
トビー・フォックス氏は「MOTHERが好きで影響を受けた」と話しているのですが、私もああいうゲームが好きなので、勝手に「トビー! 分かるよー!!」となりました(笑)。
ほかにも「もう、勇者しない。」がキャッチコピーのラブデリックの『moon』を思い出します……。大大大好きです。
『Undertale』という作品そのものは、圧倒的なオリジナリティでまったく似ていないのですが、好きと感じる要素がふんわり似ているなぁと思います。
コントローラーを握っているプレイヤー自身に“ゲームとは”を突きつけてくるタイプのエモさに、感情をぐちゃぐちゃにされたい人におすすめです。
実は、『Undertale』が話題になった当時、薄目で感想を読んで「あー、アンチRPG的な感じね」と想像していたのですが、ゲームに慣れているそういう人ほど、油断しているとざっくりハートに刺さります。
RPGの定石を利用したトリックや伏線回収、トビー・フォックスにお出しされる深い愛にやられて、本気で驚いたり号泣したり感情大忙しです(笑)。
思うままに、素直な気持ちでプレイするほうがより楽しめます!
で、ここからは、どうしても話したい『Undertale』のブラックな部分についてです。
核心には触れずになるべくやんわり書きますが、完全に何も知らずにゲームをプレイしたい人や、NルートとPルートのみで物語を終えたい人はここまでで!
ふつうにRPGをするNルート、平和でやさしいPルート、最悪の存在に自分がなるGルート。
この3つめのGルートは、地底の世界のありとあらゆるモンスターたちをトコトンまで倒し尽くすルートなのですが……。
めちゃくちゃ正直な話、やらなきゃ良かったと今でも思っています(笑)。
日ごろ、ふつうにRPGをプレイしているときは“モンスターを倒してレベルを上げる”という行為に何も感じていないのに、Pルートでみんなと仲良くなったあとだと、ゲームだとわかっていてもモンスターを手にかけることに躊躇してしまう……。
自分の意思で動かすゲームだからこそ、余計に「私が選んでやっているんだ」と実感してしまってキツかったです。
ゲームの中から罪を突きつけられるたびに、現実の自分の感情が変化していくのが本当に衝撃でした。
Gルートのサンズに「いいか わるいか なんて かんけい ないんだよな。“できる”ってだけで やろうとするんだ。」と言われるシーンがあって「ゲーマー、全エンディング回収しようとしたがる生き物で本当すみません……」となりました……(笑)
そして、冒頭で「ほとんどのバトルはやさしい難易度」と書いたのですが、このGルート、地獄のように難しいです……!
Gルートの最高難度のバトルは、シューティングゲームが苦手の私には到底クリアできない領域で、当時、何十時間やってもどうにもならず、ゲームが得意な同級生の子に泣きついて倒してもらいました。
とはいえ、その子も80回くらいやっていたような……私は10000回やってもクリアできる気がしないです……。
と、プレイヤースキルとメンタルの強さが必要な辛く苦しいGルートですが、やる意味はちゃんとあって、このルートでしか知ることができない情報があります。
見る人によって同じ世界でも見え方が変わる、新たな地獄を知ることが出来るのですが、この地獄もまた「あー、たぶんこんな感じかなー?」と想像すると、予想外の角度からガツンと来て驚かされます。
どこまでも想像を超えてくる、『Undertale』……。
考察への好奇心でGルートも始めたものの、プレイ後には虚しさだけが残り、私にとっては「このゲームを本当に大切に思うなら、NルートとPルートで終わっておくべきだった。ゲームだからって、何でもかんでも知りたがるものでもないかもしれない。」と、ゲーマーとして日ごろは絶対に思わないような感情になりました。
なぜならGルートを経て得られるのは情報だけでなく、周回して幸せなルートに戻っても前とはちょっと違う、ささやかで、取り返しのつかない変化が生まれてしまうからです。
同じようにやり直しても、諸々やらかしたあとでは、完全に元通りの世界にはならないのです。このゲーム、本当、深いです……。
そして、私もゲームに問いかけられるものでダメージ負うのが好きすぎる……(笑)
一回のコラムじゃ書ききれないほど膨大な面白さが詰まっていて、気ままにプレイしても、気になる要素を集めて考察しまくっても、老若男女だれでも楽しめるやさしいRPGです!
8年経っても新たにファンが生まれ続けて、今なお盛んに考察が交わされ、『Undertale』に影響を受けたゲームもたくさん生み出されています。
「ゲームだし」、「フィクションだし」をゆうに超えて、いろいろなゲーマーの心に残り続ける『Undertale』。
プレイ前とプレイ後で“ゲーム”に対する気持ちがちょっと変わる、伝説のゲームです。
ぜひ、まだプレイしたことないよという方も久しぶりにやってみるかという方も触れてみてください!
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!
それでは、楽しいインディーゲームライフをー!
※ゲーム画像はMy Nintendo Storeのものです。
UNDERTALE © Toby Fox 2015-2018. All rights reserved.
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