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劇場アニメ『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』声優陣インタビュー。咲太と麻衣が「まるで花楓のパパとママ」って?

ハチ
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 明日6月23日(金)に開予定の劇場アニメ『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』。この記事では、公開に先駆けて本作のメインキャストを務める声優陣にインタビューを行いました。

 インタビューに参加してくれたのは、梓川咲太役の石川界人さん、桜島麻衣役の瀬戸麻沙美さん、梓川花楓役の久保ユリカさんです。

  • ▲左から石川界人さん、久保ユリカさん、瀬戸麻沙美さん

「登場人物の人生を左右するような、ズンとくる話ですので、演じる側にも求められるものがある」

──『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』の劇場アニメ化が決まったと知ったのはいつごろでしたか?

瀬戸麻沙美さん:私が続編をやりますと聞いたのは、1年半くらい前になります。劇場アニメが決定していることは知りませんでしたので、聞いた当時は「アニメシリーズかもしれないな」と思っていました。

石川界人さん:僕は1年前くらいにたまたま別の現場でお会いした『青ブタ』のプロデューサーさんに「石川さん、決まりましたよ~! 続編!!」って言われたんです。そのときは「やったー!」と、すごく喜びました(笑)。

久保ユリカさん:私は別の現場で石川さんに会った時に、その高いテンションで続編が決まったことを教えてもらって知りました(一同笑)。

──続編が映画だとわかった時のお気持ちをお聞かせください。

瀬戸さん:『ゆめみる少女の夢を見ない』のように、今回も1つのお話をしっかりと描くんだ、すごいなぁと思いました。そして、『おでかけシスターの夢を見ない』だけじゃなく『ランドセルガールの夢を見ない』が劇場公開することも決まっていると知って、本当にうれしかったです。原作を読んでいらっしゃる方はご存じだと思いますが、内容としてこの2つがないと高校生編が完結できないというか、どうしてももの足りなく感じてしまうというか。

石川さん:劇場アニメと聞いたときは、TVアニメでじっくりやってもいい内容だなと思っていたので、「そうきたか」と、一言では言えないいろいろな気持ちになりました。これはTVと劇場アニメのどちらがいい、という話ではなく、どちらの形でやるかでこちらの演技プランのようなものも最適化しないといけないというか。登場人物の人生を左右するような、ズンとくる話ですので、演じる側にも高いクオリティが求められるな、と。

 実際に映画の台本を読んでみて、素晴らしい形にまとまっていると感じました。『青ブタ』は個人的に好きですし、思い入れのある作品です。だからこそ僕も声優として“どういう演技をお届けするのが作品にとって、ファンの皆さんにとって1番いいのか?”というのはすごく考えました。

久保さん:『おでかけシスターの夢を見ない』が映画になるにあたって、花楓という役をより自分自身になじませることができる、お芝居できるんだということが、何よりもありがたかったです。皆さんにも作品を通じてキャラクターたちの魅力をよりわかっていただけると嬉しいです。

「咲太と麻衣の出会いから時間が経って、絆が深まっているんだなぁ……と」

──本作では、さまざまなできごとを通してキャラクターたちの成長した姿を見られますが、それぞれ演じているキャラクターがどのように成長したと感じましたか?

石川さん:今まで咲太がやってきたことって、咲太自身の成長に繋がっているとは思うんですけど、そもそも咲太って成長しきっているというか。達観したところもありながら、少年らしさが残っている――というキャラクターなんです。

 今回の劇場アニメ2作品で描かれるエピソードでは、兄としての咲太を見ることになります。それもあって、これまでよりも大人っぽさの比率が上がっていると感じるかも知れません。ですが、その心の中にある感情は以前よりもちょっと幼いようにも感じました。

 その幼さは“自分の気持ちを言語化できていない”ところや“モヤモヤがあるのはわかっているけど、あることに気付こうとしていない”ところから来ているのかなと思います。複雑な事情を抱えた咲太がようやく“主観的に自分を見る”段階になってきたんじゃないかと感じました。

瀬戸さん:今作での麻衣はあえて言葉にしたり、行動したりするわけではありませんが、花楓や咲太をサポートしている印象がありました。花楓はもちろん、花楓を見守る咲太のことをさらに麻衣が見守っているというか。

 麻衣本人に関しては、すごく仕事が順調そうだなって思えるくらい藤沢にいる時間が少ないんです。なので、これまでのアニメで描かれていたことを乗り越えて、やりたいことができるようになっているんだな、と感じました。

 そして実は、麻衣もしれっと受験しているんですよね(笑)。頑張っているのにそれをおくびにも出さないし弱音も吐かない人なので、受験のようにみんなが経験することが多いものごとになると、そのストイックさがより際立って見えるキャラクターです。

 恋人である咲太との時間もこのエピソードでは多くはありませんが、2人が会った時に居心地がよさそうにコミュニケーションを取っているのを見ると、出会ってから時間が経って絆が深まっているんだなぁ……と感じさせられました。

久保さん:TVアニメでの最後に花楓としての出番があったのですが、そのときは目が覚めたばかりで。お兄ちゃんの距離感も花楓からしたら意味が分からなくて「えっ? なに? こわい」くらいの思春期の妹らしいぶっきらぼうな反応をしていました(笑)。

 少し時間が経って『ゆめみる少女の夢を見ない』の花楓は、人見知りゆえにまだ猫を被っていた部分があるんじゃないかと思うんです。人見知りだから冷たくなる場合もありますけど、花楓の場合は逆です。例えていうと“声が高くなるタイプ”かなと(笑)。周りの人たちが優しくしてくれていることも花楓なりに感じている部分もきっとあると思うので。

 そこから、麻衣さんたちとの距離もつかめてきて、“かえでになる前の花楓”の状態に近づいたのが『おでかけシスターの夢を見ない』における彼女なのかなと思います。なので、私としては段階がハッキリあるように感じています。それが成長かと言われると少し違うのかもしれませんが、その花楓が前へ進んでいく段階がうまく見えるように、意識して演じさせていただきました。

──先ほど麻衣の受験のお話も出ましたが、本作では“受験”が大きなキーワードとなっています。キャストの皆様自身は受験についてのエピソードはありますか?

石川さん:中学受験のときですが、あまりにも勉強ができなくて、家庭教師から「辞めさせてください」と言われました(笑)。偏差値を提出してほしいとのことだったので、模試を受けたらまったく解けなくて……あまりにもひどい偏差値だったんですよ……。

 その結果を見て「辞めさせてくれ」と言われたんですが「いえ、お願いします!!」と頼み込んで……(笑)。それから、根気強く教えてくださったので、志望校に受かることができたんです! 今でも、その家庭教師の方がくださった目覚まし時計を大事に使っています。

瀬戸さん:いい話じゃないですか! 私は大学受験のとき、プレゼンテーション入試という受験方法だったんです。入試の前日まで徹夜して紙芝居を仕上げていたのですが、朝寝坊してしまって。それで急いで家を飛び出したら、いろいろ忘れものをしちゃったんです。

 結局、お母さんが届けてくれて無事に合格することができました! 「なんで、私がここまで来なきゃいけないの!?」って言ってましたけど……優しい母に感謝ですね。

久保さん:受験でのエピソードとは違うのですが、私が仕事をはじめるきっかけがティーン雑誌のオーディションだったんです。今日中に出さないと締め切りに間に合わないという日に、履歴書を入れた封筒を玄関に置いて学校へ行っちゃったんですよね。ああ、やってしまったな……と。

 そしたら、なにも言っていなかったのに母が「速達で送っておいたよ」って言ってくれて……それで合格したんです!

石川さん:すごいですね。

瀬戸さん:なんでお母さんって、ああいうのがわかるんですかね? 不思議ですよね。

久保さん:私も驚きました! それがなかったら「私は今ここにはいないなぁ……」といろいろなタイミングで思わされます。いまだに私がちょっと仕事で悩んだりすると「あのときお母さんが送らなければ……」なんて言われたりもしますが、とても感謝しています。

「咲太と麻衣さんが「まるで花楓のパパとママかな?」みたいに感じられる部分があります」

──皆さん周囲の方に恵まれていることがうかがえるエピソードですね。ここでまた作品の話しに戻りまして、『おでかけシスターの夢を見ない』をご覧になる人に“ぜひ注目してほしいシーン”とその理由を教えてください。

石川さん:普通だったら驚いてしまうような環境に、花楓が順応していこうとするところをぜひ見てほしいです。

瀬戸さん:花楓の周りにいる人たちが事情を理解した上で“どういう風に動いてくれるのか”や“どんな言葉をかけてくれるのか”を見てほしいです。受験って本人が頑張るのはもちろんなんですけど、親や先生などの大人もたくさん関わっています。なので、周りの大人の人たちにも注目してもらえると、より作品を楽しめると思います。

久保さん:このインタビューをご覧になっている皆さんは、きっと公開前にご覧になっていると思います。ですので本当に注目してほしいシーンはまだ言えないのですが、咲太と麻衣さんが「まるで花楓のパパとママかな?」みたいに感じられる部分があります。そういった部分はぜひ楽しんでもらいたいと思います。

──本予告では、花楓が歌う『不可思議のカルテ』が流れるなど、ファンにとってもいろいろな思いが起こる映像になっていたと思います。本予告や、本作の楽曲などについてもお聞かせいただけますでしょうか?

劇場アニメ「青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない」本予告

久保さん:歌い直し……というよりは、新しく歌わせていただきました。『不可思議のカルテ』には“わたし愛されたい”という歌詞があるのですが、今作の花楓の気持ちを表している歌詞だと思います。それって花楓だけじゃなくて、かえでも同じだよね……と。そんな風に2人の想いを感じながら聞いていただけたらと思います。

瀬戸さん:『青春ブタ野郎』という作品のテイストにも、キャラクターの感情にも溶け込める、不思議なメロディーと歌詞だなと感じていて、そんな『不可思議のカルテ』を花楓が歌うことに、大きな意味があるのかな、と本予告を見て思いました。

石川さん:どうして咲太は歌わないのか……と、花楓が歌ったことでより感じました。お話が来るの、待ってますよ!(一同笑)

──公開を待つアニメ『青春ブタ野郎』ファンへメッセージをお願いします。

久保さん:待ちに待った『青春ブタ野郎』最新作! 私たち演者も全力でぶつかって、心を込めて命を吹き込みました。それがどのようにみなさんに届くのかな、と私自身楽しみです。ぜひ上映後に語り合いましょう。よろしくお願いします。

瀬戸さん:劇場アニメのお話を聞いたときから、台本をもらうのをとても楽しみにしていました。台本を読んでから収録に挑むまでは、気が付いたらあっという間でした。こうして取材を受ける機会が増え、公開がもう目前に迫っているんだなぁと感じます。

 まだ完成した作品を観ていないので(※取材当時)、私自身も吹き込ませていただいたものにどのような映像や表情が付いているのか、とても楽しみにしています。ひとつひとつに丁寧なお芝居が付いていると思いますので、劇場で楽しんでいただけたら嬉しいです。

石川さん:高校生編完結直前の2部作ということもあって、見る人の感情を突き動かしてくるパワーのある作品になっていると思います。1番長い期間咲太が関わっている人物である花楓に関する問題がようやく前進する作品です。そういう意味では、TVアニメシリーズから続いているものの集大成と言っていいものになっていると思います。ぜひ、劇場に物語の行く末を見に来てください!

劇場アニメ『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』概要

【公開日】2023年6月23日(金)に全国の劇場で公開予定

【スタッフ】(※敬称略)
原作:鴨志田 一(電撃文庫刊 「『青春ブタ野郎』シリーズ」)
原作イラスト:溝口ケージ
監督:増井壮一
構成・脚本:横谷昌宏
キャラクターデザイン・総作画監督:田村里美
プロップデザイン:道下康太
美術設定:塩澤良憲
美術監督:大久保 聡
色彩設計:横田明日香
3Dディレクター:織田健吾 田中葉月
2Dワークス・特殊効果:内海紗耶
撮影監督:楊 暁牧
編集:三嶋章紀
音響監督:岩浪美和
音楽:fox capture plan
制作:CloverWorks
製作:青ブタ Project

【出演声優】(※敬称略)
梓川咲太:石川界人
桜島麻衣:瀬戸麻沙美
梓川花楓:久保ユリカ
古賀朋絵:東山奈央
双葉理央:種﨑敦美
豊浜のどか:内田真礼
広川卯月:雨宮 天

©2022 鴨志田 一/KADOKAWA/青ブタ Project

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