『青ブタ』プチデビル後輩とハッピーエンドまでループ⁉ 明日が来るまでの小さなラブストーリーを振り返り【第2回】

ハチ
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 6月23日から公開されている劇場アニメ『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』。ここでは劇場アニメをもっと楽しむために、小説をベースにしつつTVアニメ『青春ブタ野郎』シリーズの内容を振り返っていきます。

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咲太と麻衣のやり取りが微笑ましい……と思っていたら?

 小説『青春ブタ野郎はプチデビル後輩の夢を見ない』の内容は、TVアニメでは第4~6話になります。

 その日は6月27日、サッカーで日本代表が勝利したというニュースを見ながら咲太は学校へ向かいます。咲太と麻衣はまだ付き合ってはいないものの、咲太は1ヶ月間好きだ、と伝え続けている様子。絶対に咲太のことが好きなのに、恥ずかしがって素直になれない麻衣を見ると、視聴者としては“強がらないでいいんだよ~。気持ちを伝えて幸せになってくれ~!”と思わずにはいられません(笑)。

 そこで咲太が「失恋か……じゃあ、新しい恋を探すしかないな。」という麻衣の性格と気持ちを完全に理解しているセリフを言うんですが、そうなると麻衣は「なに、諦めようとしてるのよ!」と拗ねちゃうんですよね。もう完全に咲太ペース! クールなように見えてじつは麻衣はかけひきに弱い……ギャップが可愛すぎます。そして、お付き合いすることになったのですが、小説だと咲太が「抱き締めていい?」というときめくシーンがあるので、ぜひ小説も読んでみてくださいね。

 さて、次の日……ついにラブラブな学園生活スタート! と思っていたら、また6月27日がやってきました。咲太はまたもや、思春期症候群に巻き込まれてしまったようです。

ラプラスの悪魔は恋に友達に悩めるイマドキJK!

 明日が来ないことについて理央に相談すると、ラプラスの悪魔について教えてくれます。ラプラスの悪魔とは物理学者のラプラスさんが考えた空想上の生物で、この世界に存在するすべての原子と運動量を計算し未来の状況を把握することができるそうです。理央はこのラプラスの悪魔のせいで明日がやってこないと考え、いままでと違う行動を取っている人物を探すようにと助言してくれます。

 そして、3度目の6月27日。咲太は教室で、これまでの6月27日と違う行動をしている朋絵と出会います。

 朋絵は1度目の6月27日では学校で前沢先輩に告白をされていましたが、朋絵にとって前沢先輩は友達の憧れの人……朋絵は、友達とのこれからの関係を考えると告白されたくない、と逃げ回っていました。そのとき、朋絵が段差で転んで咲太を押し倒してしまったのですが、その場面を前沢先輩だけでなく、麻衣にも見られてしまい大ピンチ!

 また6月27日をやり直せるのだから問題はないかと思いきや、翌朝のニュースでは6月28日を伝える声が……。どうやら最悪のタイミングで明日が来てしまったようです。告白されなかったことで、朋絵の思春期症候群は治まったのでしょうか……? 

 ひとまず、明日が来ない現象は治まりました。が、古賀は咲太に1学期の間“恋人未満先輩以上”を演じてくれないか、とお願いします。

 文句をいいながらも咲太は了承するのですが、クラスでハブられるのはいやだ、ひとりぼっちでいるのは恥ずかしい、と話す古賀にかえでを重ねて放っておけなかったんですね。小説では咲太の気持ちも細かく描かれていて、真剣に悩むのもわかる、と古賀の気持ちに寄り添っているのが伝わってきます。そんな咲太に、麻衣は「今回だけは大目に見てあげる」と言ってくれます。

嘘の恋人でもしっかり守るブタ野郎に惚れる!

 友達に“デート写真を見せてと言われてもいいように”ということで、朋絵と咲太はデートへ。朋絵はずっとスマホを触っているのですが、仲間外れにされないためにこまめにメッセージを返したり、寝る時間も友達に合わせていたりと忙しないです。ひとりは怖い、恥ずかしい、みんなに嫌われたくないと言う朋絵に、咲太は世界中に嫌われても誰かが必要としてくれれば生きていける、と語ります。妹のいじめや自分自身が学校で怖がられていた経験から、考え方がすごく大人ですよね。

 デートは楽しく終わったのですが、後日、国見から朋絵のよくない噂が流れているという話を聞きます。そんな中、咲太と朋絵は駅で前沢先輩に出会います。咲太と朋絵の関係性をからかって絡んでくる前沢先輩に対して、咲太はビシッと「僕は童貞だ!」と言います。

 咲太に朋絵は「どう恩返ししたらいい?」と尋ねます。咲太は「嘘が終わったら友達になってくれ」と言い、朋絵は「大親友になってあげる」と言いますが、朋絵はもう咲太に惹かれているよね、とわかるので、なんだか切なくなっちゃいますね。

ラプラスの悪魔は恋の病に……

 7月18日、夏休み前の学校最後の日……そして嘘の恋人として付き合う、最後の日。朋絵と咲太は放課後、海でデートをします。海で水を掛け合って、砂で城を作って、かき氷を食べ、夕方握手をして別れました。

 しかし次の日、咲太が起きると、再び7月18日が待っていました。また、ラプラスの悪魔の思春期症候群が起きてしまったようです。

 前回、ループが起こったのは“前沢先輩に告白されたことをなかったことにしたい”と、朋絵が願ったからですよね。つまり、今回も朋絵は7月18日に起こった出来事を変えたいと思っているということ。朋絵は噓の恋人をやめたくないということですよね。切ない。

 咲太が朋絵にループしていることを話すと、彼女は「私は1回目だよ」と言います。けれど、それは嘘。咲太はそのことに気づきながら、ループを続けます。4回目のループで咲太は「もう嘘は終わりだ」と告げます。すると、ここで朋絵の咲太に対する気持ちが爆発し、最後には「大好き!」と叫びました。


 もちろん咲太は麻衣のことが好きですし、それも朋絵はわかっていますよね。そんな中で自分の気持ちを伝えるのは本当に勇気がいること……それをわかっている咲太は「よく頑張ったな」と優しい言葉をかけました。

 その後、やっと7月19日になる――はずが、まさかの6月27日に⁉ どうやら、期間限定の嘘の恋人は、朋絵と咲太だけしか知らない思い出になったようですね。

 朋絵はラプラスの悪魔になったきっかけである“前沢先輩からの告白”に向き合い、きちんと断ります。「クラスに居場所がなくなるんだから、責任取ってよ」という朋絵に、咲太は「古賀に何があっても、僕が友達でいてやるよ」と言って笑い合います。

 これで、プチデビル後輩と時間を巡る、小さな秘密のラブストーリーは終わりました。切ない気持ちもありますが、個人的にはこのラストがとても好きです。朋絵が気持ちを伝えたことで、スッキリとした気持ちにもなりました。

 そしてついに、咲太と麻衣はお付き合いすることに! お預け状態だったので、早く2人がラブラブしているところが見たいですね。

 ラストでは、雨の中弱った子猫を助けようとする、牧之原翔子という女の子と出会います。牧之原翔子といえば、咲太の初恋相手。妹のいじめなどで心を病んでいた咲太を励ましてくれた存在でした。彼女は峰ヶ原高校の2年生ということだったので咲太は峰ヶ原高校へ入学したのですが、何故か在籍の記録はなかった、という謎の人物です。

 しかし、目の前の牧之原翔子は同姓同名で見た目も似ていますが、高校生ではなく小さい女の子です。一体なにが起こっているのでしょうか? これも思春期症候群なのか、それとも別人なのか、気になりますね。

 ちなみに、あとがきで鴨志田先生が「ナンバリングをしない方向で、少しずつタイトルを変化させていくという暴挙に出ました」と語っているのですが、確かに『青ブタ』にはナンバリングがない! ということに今更気が付きました。先にTVアニメを見ていたので、自分の中で順番を意識しなくても、正しい順番で読めていたみたいですね(笑)。

©2018 鴨志田 一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/青ブタ Project
©2022 鴨志田 一/KADOKAWA/青ブタ Project

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