この夏おすすめのホラーゲーム5選+オマケ:リメイク版『Ib(イヴ)』をはじめ、すごく怖いものからライトに遊べるものまで!【電撃インディー#480】
- 文
- まさん
- 公開日時
電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。まだまだ残暑が厳しい8月下旬。今回は、夏を終わらせる前にピッタリのホラーゲームを特集します。最新のインディーゲームから、定番のタイトルまで挙げていくので遊んでいない作品をチェックしてみてください。
なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!
フリーゲーム版から根強いファンを獲得し、今もなお人気が高い『Ib(イヴ)』
インディーや同人におけるホラーゲームの主戦場は、なんといってもフリーゲーム。近年では、かつてフリーゲームで人気を博したタイトルが家庭用ハードでリメイクされるパターンも増え、PCを持っていない人も遊べるようになりました。
そのなかでも、代表的な作品を1つ挙げるなら『Ib』は欠かせません。2023年3月9日にNintendo Switch版でリメイクが出た本作は、もともと『RPGツクール』で作られた戦闘のないタイプのアドベンチャー。謎解きはあるものの難しいアクションなどはなく、ゲームが苦手な人でも(怖さに耐えられれば)最後まで遊べます。
美術館から不思議な世界に迷い込んでしまった少女・イヴ。同じく、謎の世界に閉じ込められてしまったギャリーとメアリー。メインとなる3人は今でも人気が高く、リメイク版でもその魅力はしっかり描かれています。じわじわと怖い道中の演出や、プレイヤーが取った選択や会話で変わる結末。良質なホラーゲームを遊びたい人におススメです。
予想を裏切る展開に唸る。デッキ構築型カードバトル&サイコホラー『Inscryption』
モノクロのレトロゲームを遊んでいると思いきや、どんどん恐ろしいことになる『Pony Island』。ビデオゲームの登場人物たちに起きた事件を描き、日本語化もされた『The Hex』。メタフィクションの要素を巧みに盛り込んだホラーゲームに定評のあるクリエイター・Daniel Mullinsさんの最新作です。
世界中で高い評価を受け、インディーゲームの授賞式であるIGFアワードだけではなく、すべてのゲームを含めたGDCアワードでのゲーム・オブ・ザ・イヤーを獲得。昨年、もっとも評価されたインディーゲームと言っても過言ではありません。
デッキ構築型の『slay the spire』的なカードゲームをベースに、山小屋に閉じ込められて、闇のゲームのようなものをさせられていることに気が付く導入部。
そう、これは普通のデッキ構築型カードゲームではないのです。ホラーゲームであり、カードゲームへの愛が詰まった作品であり、進めれば進めるほど驚かされる。これ以上は何も聞かず、自力で最後まで遊んでみてください!
可愛らしい少女たちとの文芸部活動……と思いきや、公式にある不穏な解説『ドキドキ文芸部プラス!』
サヨリ、ユリ、モニカ、ナツキ。詩を作りながら、文芸部に所属する4人の少女と交流する恋愛アドベンチャー……に見えるのですが、ストアの説明文にはなぜか「全世界が絶賛したサイコホラーゲーム」という不穏な一文が。もはや有名すぎて、遊んでいなくてもネタバレ部分を聞いたことがある人も多そうですが、やはり一度はプレイしてみるべき傑作が『ドキドキ文芸部』。
コンシューマー版も出た『プラス!』は、新たなエピソードを描いたサイドストーリーや本作ならではの仕掛けを盛り込み、PC版を遊んだ人でも楽しめる完全版になっています。2021年で2年前のゲームなのですが、まだ遊んでいない人も多そうなのであえて取り上げてみました。
とりあえず、軽い気持ちで“1周”すると、もはや本作から逃れられず最後まで遊んでしまうでしょう。あまり語り過ぎると野暮なので、この辺でやめておきますが、挑戦的な仕掛けが多かった往年の日本のギャルゲーやPCアドベンチャーが好きな人にもオススメですよ!
うさんくさいオカルト特集番組を見るような感覚で、ライトに楽しめるシリーズの2作目『ヴァーニーレイク』
ホラーゲームは遊べないほど怖くて震え上がる……そんなものばかりではありません。もっともっと懐が広いジャンル。ホラーだけどクスっと笑えてしまったり、力強い表現や演出で怖さよりも楽しさが上回ったり、怖いゲームが苦手でも遊べるものだってあります。本作は、そんなどちらかと言うと怖さよりも興味が勝るタイプ。
夏になると、よくテレビで放映される怪しげなオカルト番組や海外の都市伝説。そんな番組を見るように、ポップコーン片手で楽しめるのが本作『ヴァーニーレイク』。20世紀半ばのパルプフィクションと80年代の家庭用パソコンのグラフィックを融合したというこのシリーズは、ホラーと言うよりもオカルト。うさんくさいけどワクワクするアドベンチャーなのです。
10代の少年少女たちが、夏休みに遭遇した吸血鬼。怪異との奇妙な友情を描いた本作は、シリーズの2作目ですが単体でも楽しめます。とはいえ、前作の登場人物も出てくるので出来れば第1弾の『モスメン 1966』から遊んで欲しいところ。完結編の『Bahnsen Knights』は2023年に配信される予定なので、今のうちに遊んでおきましょう!
イカしたビジュアルにストーリーテリング。アメコミチックな画風で読ませる『GLOOM AND DOOM』
『シザーハンズ』や『恋人までの距離』など、90年代のアメリカ映画に影響を受けたシンガポールのクリエイターによるテキストアドベンチャー。アメコミ風なビジュアルが特徴的で、PC版よりも値段が倍になるものの、コンシューマー版は日本語化されています。
とくに、この記事を書くタイミングでオススメしたいのがNintendo Switch版。通常は5,478円でダウンロード版しかないのですが、2023年の8月31日23時59分まで63%オフ。1,980円で買えます。この値段なら、日本語化されていないPC版よりも安くてインディー価格なので手が出しやすいかと。
自分がオススメする理由は、やはりテキストアドベンチャーとしての魅力。ストーリーにユーモアがあって、キャラクター同士の関係性や掛け合いも良いんですよ。たまにキャラクターの口調が違ったりする翻訳ミスはあるものの、基本的には作風のノリをうまく翻訳できてて問題なし。怖いと言うよりも、ポップで読みやすいビジュアルノベルです。チュートリアルのノリから笑えます。
天国へ戻るためにミカエルの命令を聞き、元同僚の悪魔たちを殺しているグルーム。これだけ聞くと怖そうに見えるのに、実際は毎日人間の友人とゲームで対戦している気さくな一面があったり、どこか憎めません。知らないインディーを高い定価で買うのはためらうような人こそ、セールの時に手を出してみて欲しい作品です。
世界情勢が不穏で戦争に関する話が聞こえてくる時代だからこそ、忘れてはならない『返校 -Detention-』
最後に、オマケとして少し古いタイトルを紹介しましょう。ここまでは比較的最近のゲームを取り上げてきましたが、この『返校 -Detention-』は。2020年にドラマ化もされたとはいえ、リメイクも出ていない2017年の作品。ですが、あえて取り上げたいのです。それは、今の情勢下だからこそ遊んで欲しい作品だから。
1960年代、台湾の白色テロと呼ばれた政治的弾圧のある時代を舞台とした本作は、現実の情勢も踏まえて考えさせられる。じつに、恐ろしいホラーゲームです。ストアの説明文では“架空世界の学校”という表現になっている辺りも、繊細な問題だということがわかりますよね。
現代でも解決しきれない人間の自由、言論弾圧、国同士の関係。すぐ近くの国で軍事侵攻が起き、今もニュースで取り上げられている時代だからこそ、深く考えさせられる作品です。
とはいえ、ゲーム自体はそうした政治的状況や歴史を考慮に入れなくとも、純粋なホラーアドベンチャーとしても楽しめます。探索型で横スクロールのホラーアドベンチャーとして、良く出来ているのです。
近くて遠いようで、とても近い台湾という隣人。その歴史の中で生きてきた人の文化や苦しみ。現代だからこそ、考えなければならないことをゲームの形で見せてくれる。未来に向けて、何を過ちとして学習していくべきなのか。本当に怖いのは、現実の人間が起こす出来事なのかもしれない。そんなことが頭によぎる、8月に相応しいホラーです。
【電撃インディー】おすすめインディーゲームはこれだ!
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