『FFXIV』なりきりバトルは可能性の塊! ボス戦含む5.0~5.1イベントバトルにまつわる中川誠貴氏インタビュー後編

電撃PlayStation
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 オンラインRPG『ファイナルファンタジーXIV(以下、FFXIV)』の魅力を伝えるべく、タイムリーな話題を追いかけながら開発者の方々の声をお届けするインタビュー連載企画。

 『漆黒のヴィランズ』パッチ5.0近辺のバトルコンテンツ制作について尋ねる中川誠貴氏(『FFXIV』リードバトルコンテンツデザイナー)前後編インタビュー。後編となる本記事では、仲間キャラクターを操作する“なりきりNPC”をはじめとするイベントバトルの話題に加えて、パッチ5.0メインストーリーを彩ったボス戦やIDの制作についても話が及んでいますので、ぜひ余さずご覧ください!

――前回のインタビューで、クエストバトルの難度調整についてお聞きしましたが……5.0以後は、一度攻略に失敗したあとでNormal・Easy・Very Easyを設定できるようになりましたね。

中川:あのシステムは、クエストバトルの難度調整が難しいという問題を解決するための1案として実装したものです。“1~2トライで勝てるように”とどれだけ調整したとしても、当然、苦手な人は勝てないわけです。これまでも負けるたびに強くなる“超える力”のバフはありましたが、最大値のバフがつくまでに計4回負けないといけませんでした。しかし、勝てない人は4回失敗するまでに心が折れてしまう。だったら1回失敗した時点で難易度を選択できるようにして、Very Easyにした場合は即座にマックスの超える力がつくようにしています。

 また、全体から見るとごく少数ですが、超える力の有無があまり関係ないタイプのバトルもありまして……。例えばパッチ4.0の【終節の合戦】ですね。あれは敵のNPCが土地にアクセスするとプレイヤーの負けになってしまうものなので、Easy以下では敵側が土地にアクセスするまでの猶予時間がとても長くなっています。

 あとは、パッチ4.1の頃の、フォルドラ&アレンヴァルドとともにラクシュミと戦うクエストバトルでは、ラクシュミがテンパードにする球を出してきて、それをコンテンツアクションで壊さないといけません。あれも球が壊せなければクリアができない、いくら超える力があったとしても難度が緩和されないバトルだったわけです。じつはあそこは、集計データ的にもクリア率が低かったんですよ。

 あのクエストバトルでは、難度を下げるとコンテンツアクションを使ったときの範囲が広くなるように特別対応をいれました。Very Easyでは、コンテンツアクションを使うとその場の球が一発ですべて壊れます。難易度選択のシステムが入ったことで、そのような特別対応ができるようになったので、これからはそういった対応を入れていきたいと思います。また、難度の変更ができるようになったことで「Hardを作るのですか?」という質問は、これまでに何人にも聞かれました。当然、そういう声が出るとは思っていましたが、今はクエストバトルの数がかなりあり……200近くのコンテンツ全部にHardモードを追加するのは難しいだろうなと考えているのでHardモードを実装する予定は現状ありません。

――難度の高いバトルを求めるのであれば零式や絶があるし、イベントバトルではそういった方向性を設ける必要はないのかもしれませんね。

中川:そうですね。特定のクエストバトル……例えばラウバーン戦のHard版をやりたいという声がフォーラムなどで数多くいただけたりした場合は、検討はします。ただ、そういった要望があった場合、それはクエストバトルのHard版ではなく独立したコンテンツとして作るのだろうなという感じですね。もし要望が多ければ、ですけど(笑)。

――イベントバトルにおいて、仲間のNPCを操作するロールプレイモードがパッチ4.3から追加されています。最新のパッチ5.1でも、イベントバトルでエスティニアンが活躍し話題となりました。プレイ体験の幅が広がる素晴らしいシステムだと思っていますが、これについての中川さん的な手ごたえをお伺いしたいです。

中川:開発側では、あれを“なりきりNPC”と呼んでいるのですが、まだ新しいシステムなので企画的には毎回試行錯誤しながらやっています。もともとあのシステムは、“物語に没入感を出す”というのと、“プレイヤーが知らないところで、NPCが何をしていたかを表現するための手法”として実装したものです。これまではテキストかカットシーンでしか別行動した仲間たちの動向を知ることができませんでしたが、それだと彼らが何をやっていたかとか、彼らの苦労が伝わりづらいだろう……と。これに関しては織田(織田万里氏。世界設定/メインシナリオライター)から提案してもらいまして、ちゃんとシステムも作ったうえでやっていこうという形になりました。そこで最初に実装したのが、帝国領に向かったアルフィノのバトルですね。

 あのシステムがなければ、アルフィノが何をやっていたかはテキストかカットシーンでしか語られないところでしたが、プレイヤーが操作することで、彼らがそのとき何をしていたかをゲーム体験として知ることができるようになりました。そういう意味でも、かなり大きな効果があったと思っています。

――わりと今後の目玉というか、どんなバトルが追加されるのか楽しみになる要素だと感じました。

中川:作る側としては企画難度の高いコンテンツではあるので、あまり乱発できる類のものではないのですけれど……なんとなく作り方もわかってきたことですし、これからはもうちょっと上手くできるかなと思っています。パッチ5.1のエスティニアンに関しては、反応を見ていると「操作するのが楽しかった」と思っていただけているようなので、その点もよかったなと。

――なりきりNPCについては、アクション設定も含めて、そのキャラクターの人となりを表しつつ、どう戦わせるか・楽しませるか・コンテンツ難易度は……などなど調整に苦労しそうな印象でした。

中川:そうですね。そこがバトルコンテンツを企画する側としては難しい部分で、普通のバトルであれば、使えるアクションはジョブごとに決まっていて、バトルコンテンツプランナーはそれをイチから考える必要はなかったのですけど、なりきりNPCを使ったバトルでは、そこから考えないといけないので、難しいです……が、その反面、やりがいはありますね。

――なりきりNPCバトルにおいて、操作キャラの技はどのように決められていくのでしょうか。

中川:アルフィノから始まり、いろいろななりきりバトルを作ってきてわかったのは、やはり操作していて楽しいかどうかがものすごく重要だということですね。そこを強く感じているので、これからはその点を重視してアクションを設定していきたいと思っています。もちろん、“そのキャラクターがどんなアクションを使えるのか”は設定面も考慮して決めなければいけないので、そこを詰めつつですが……そのバランスがけっこう難しくて。アクションをいろいろ使えれば楽しくはあるのですけど、いきなりロールプレイになって、ホットバーにすごい数のアクションが並んでいると、とても覚えきれませんよね。なので、大事なのは“いきなり操作しても問題ない範囲内で、操作していておもしろいものにする”というところですかね。バランスが重要だと思っています。

――そういう意味では、パッチ5.1メインストーリーでエスティニアンを操作して“すごいな”と思った部分がありまして……。敵が大挙して押し寄せてくるイベントでは範囲攻撃のウェポンスキルとドラゴンダイブだけだったのが、そのあとのボスバトルではアクションがよりかっこよく印象的なものに変わっていたところです。まったく別物として制作するくらい力を入れているんだなあ、と。

中川:あれは、まさに担当者が企画時点で狙っていたところです。エスティニアンは最初のうちは本気を出しておらず、大したアクションも使わない。しかし後半で強敵が出てきたときに魔槍ニーズヘッグの力を開放し、チート的なアクションを使えるようになる……。エスティニアンのなりきりを担当したプランナーは、“そのギャップがきっと楽しいだろう”と狙って企画を立てていましたね。だから前半に関しては、あえてアクション数を絞って設定していました。

――LBを使ったとき、まさか専用の演出まで入るとは思っていませんでした。ちなみに、アップデートで、ヒエンに新しいアクションが入ったというのも、同様の意図があってでしょうか?

中川:そうですね。そこに関してはフィードバックが多かったので、コンボアクションを追加しています。もともとヒエンになりきるクエストバトルを作るときに“コンボシステムを導入しようか”という話もあったのですけど……じつはあの時点では、なりきりNPCがワンボタンでコンボを実行できるシステムがまだなかったのですよ。

――なるほど、そういうシステム的な裏話もあったんですね。ちなみに、5.0のイベントバトルというとロールクエストもかなり印象的でした。これらのバトルについては、どういったところを意識して作っていったのでしょうか?

中川:ロールクエストのバトルというのは、闇の戦士の過去を知る機会を与えたいという織田からの強い希望があってスタートしたものになります。これに関しては、ジョブやロールの色を強く出したものではなく、“織田がやりたいことを100%叶える”という方針のもと制作しています。なので、制作時に迷うことはあまりなかったですね。

――ヒーラーのロールクエストのバトルで、ジオットが罪喰いに兜を被せまくる演出がとてもおもしろかったです。これも織田さんからのオーダーなんですね。

中川:ええ。ただ、それに限らずすべてのロールクエストは、最初の段階で織田から「こういう設定で、こういうことをやりたい」という明確な要望をもらっていました。バトル中にモンスターに兜をかぶせるのは、表現もそうですがゲーム体験としても、実装の難度がものすごく高いだろうと強く感じたのを覚えています。

 ただ、もちろんやりたいのであればなんとか叶えてあげたい。そこで最初に悩んだのは、クエストバトルの担当者を誰にするかという点でして……織田の要望を100%実現できる人間というと、バトルシステム班の横澤(横澤剛志氏。リードバトルシステムデザイナー)しか思いつかなかったので、頼み込みに行きました。前回もお話しましたが、バトルシステム班とモンスター班はセクションとしては分かれているものの、今回のようにあちら側にコンテンツを担当してもらうことも、わりと頻繁にあります。

――実装の難度という部分で言うと、そもそも兜をかぶった罪喰いというグラフィックを用意するのも手間がかかっていそうです。

中川:そうですね。その辺も、アートやモデルを用意する担当者が苦労していました。

――そういったグラフィック面の発注は、コンテンツを担当した方が行うものなのでしょうか?

中川:キャラクターモデルやアートなどの発注は、自分が担当しています。

――なるほど。中川さんは制作統括でありつつ、そういった他部署への発注もお仕事のうちなのですね。話は変わりますが、いわゆる“クエストバトル”以外に、メインクエスト関連IDやティターニア&イノセンス戦、そしてハーデス戦といったボス戦も、ある意味でメインクエストに絡む“イベントバトル”と数えられると思います。アップデートに絡んだバトルコンテンツ作りについてはこれまでお話お聞きしたことがありませんでしたが……これらはイベントバトルとは違ったやり方で作られるのでしょうか?

中川:いわゆるノーマルの討滅戦などの8人用バトルは、クエストバトルと同じ考え方で作っています。違う部分としては、1人用ではなく8人用なので、基本的にNPCとの共闘がありません。そのため、味方ではなく“ボスの特徴を戦いのなかでどう表現するか”というところにフォーカスして、バトルの企画を考えていきます。

 ここでは、ティターニアを例にして説明していきますね。まず、シナリオ班から“ティターニアのバトルを作ってほしい”というオーダーが我々に降りてきます。その時点ではまず、シナリオ班からは、そのボスの設定が提示されます。ティターニアの場合は、“妖精たちの王である”“いたずらが大好き”“イル・メグの城に幽閉されている”という3つが提示されました。このように、最初はみなさんが想像されているものよりも、かなり少ない情報しかありません。その状態で、バトルの企画をスタートさせます。なぜ情報が少ないかというと、8人用のバトルコンテンツはスケジュール的にはかなり前から動いていないと間に合わないためです。当然、シナリオ的にも世界設定的にもその段階ではまだ決まっていない部分が多いので、さきほどの3つの要素のような限られた情報から想像を膨らませて、バトルの企画を考えていきます。

 まず、シナリオ班から降りてきた各要素から、ギミックの内容やボスが使う技のイメージを考えます。ただし、たいていの場合もらった情報だけでは足りないので、我々で設定の追加を行うことが多いです。ここは、誤解がないように詳しく説明していきましょうか。

 ティターニアの企画を考える場合に、彼女が拳で殴ってきたり爆弾を使って攻撃してきたりしたら、もらった設定から逸脱してしまいますよね。こういうことがないように、ティターニアのキャラクターがブレないようなギミックの内容を考えないといけません。そのうえで、もらった設定だけでは不十分だと感じた場合は、我々で設定を追加します。今回の場合ですと、“ティターニアは妖精王なので、高位の精霊魔法を自在に使うことができる”という能力を発案しました。

 そして、ティターニアが“高位の精霊魔法を使う”ことが世界設定的にOKかどうかを、織田たちに確認します。ここでOKが出たら、初期の3要素+“高位の精霊魔法を使う”というボスを表現するためには、どういうアクション・ギミックが必要かと企画の概要を考えていく……というのが一連の流れですね。そのようにして概要が固まったら、それをまとめた企画書を用意して、チーム内で情報や認識を共有していきます。これがあれば、誰でもティターニアのバトルがどういうものになっていくのかの方向性の想像がつくようになります。こういったものを最初に作り、周りの人に見せてウケがいいかどうかというところからバトルコンテンツの企画はスタートしていくんです。

――ティターニアの“氷のルーン”はシヴァの“アイシクルインパクト”と同じギミック(ツララが特定の順番に降ってくる攻撃)でした。こういった過去に見たことのあるギミックは、ギミックのグラフィックや挙動などをそのまま既存コンテンツから流用できるものなのでしょうか?

中川:氷のルーンの場合は、シヴァのアイシクルインパクトとまったく同じものでした。同じギミックを別のコンテンツで流用することもありますし、少し表現を変えてリソースを新たに作り直すこともあります。企画から詳細な仕様に落とし込んでいく過程で、“ツララのギミックに関してはシヴァと同じものにして、ほかの部分にコストを割こう”といったコストバランスの配分を考えながら詳細を詰めていきます。

――パッチX.0の討滅戦は、シナリオバトルと同じような考え方で制作しているとのことですが、いわゆる極討滅戦は+αして考えていくものなのでしょうか?

中川:プランナーによっては、極討滅戦から考える人もいます。極討滅戦から考える人も、それがシナリオにかかわってくる重要なキャラクターの場合は設定から逸脱しないようにしていくので、始まりが違えど結果は同じですね。

――ティターニアの場合は、いつ頃から制作がスタートしたのでしょう? FINAL FANTASY XIV FAN FESTIVAL 2019 in PARISで妖精王ティターニアが初公開されましたが、開発的には、発表の時点ですでにある程度は完成しているものなのでしょうか。

中川:完成はしていないですね。スケジュールの進み方によって進行度はマチマチで、企画書が出来上がっている場合もありますし、シナリオ班による最小限な設定が決まっているだけという場合もあります。

――イノセンス(ドン・ヴァウスリー)の初期コンセプトなどはどのようなものだったのでしょうか?

中川:“ヴァウスリーはもともと人間で、罪喰いが融合している”“ノーマル討滅戦では、戦闘中にヴァウスリーがイノセンスになる”という部分は、ティターニアの3つの初期設定と同じタイミングで決まっていたものです。それを受けて、“なぜヴァウスリーがイノセンスになるのか”“イノセンスに変身したあとの能力は?”といった部分をシナリオ班にヒアリングしたり、必要に応じて設定を提案したりして、企画を詰めていきました。

――ヴァウスリーの状態では足が遅いといった特徴もモンスター班が設定したのでしょうか?

中川:こちら側から提案したものです。

――続いて、ラスボスであるハーデス討滅戦についてもぜひお聞かせください。

中川:ハーデスの場合は……“アシエン・エメトセルクが最終的にハーデスになる”という部分が決まっていて、最初の頃は彼が具体的にどのような能力を持っているかはわかりませんでした。なので、ほかの討滅戦と同じく「アシエンなんだから、きっと闇系の攻撃をしてくるんだろうな」といった、もともとの設定からのアイデアや、新たに提案した設定などを加えていった形です。

――後半戦でのハーデスの形態変化も、あらかじめ決まっていたのでしょうか?

中川:かなり初期から決めていたことではありますが、これはバトルの方針を考えていくなかで私が提案したものになります。今回は、シナリオ的にもオーソドックスな『ファイナルファンタジー』のラスボス戦を演出したほうがいいかなと思っていたので、複数形態を用意しました。最初は3形態にしようかという話もあったのですが、バトルの時間が長くなってしまうこともあって2形態に留めています。この案は、極ハーデス討滅戦の担当者がああいう演出をやりたいという話だったので、そちらに活かした形です。

――ACTIVE TIME MANEUVERで光を解放する演出も熱かったです。

中川:ノーマルのハーデス討滅戦の担当者は、ニーズヘッグ征竜戦やツクヨミ討滅戦を作っていたベテランでして。あそこは、担当者がそういった熱い展開が必要だと考えて、「光と闇のぶつかり合いを演出したい」と企画を進めていました。

――あそこのシーンで表示される「英雄たちの内なる光が消えようとしている……」というメッセージがとても好きで、あれがあるからこそ、その後の演出でかなり熱が入りました。

中川:ありがとうございます。担当者に伝えておきます。

――ツクヨミ討滅戦の月の満ち欠けや、ハーデス討滅戦の光が闇に押しつぶされていく演出もそうですが……いまおうかがいして思い返してみると、その方の制作したコンテンツは床の演出が特徴的な印象ですね。

中川:バトルコンテンツデザイナーは“プレイヤーの視界に自然と入るもの”を重要視して、演出やギミックを考えています。プレイヤーさんに見てもらえなければ、いくら凝った演出をしても意味がないというのがその理由です。『FFXIV』の場合は、カメラアングル的に床を見ることが多いので、結果的に床の演出が多くなっているのかもしれないですね。とはいえ、床以外の場所にも自然と目がいくように工夫して演出やギミックを作ることも最近多くなってきていますよ。

――床といえば、ハーデス戦では床の模様と敵の攻撃範囲がピッタリ重なるギミックなどがあって、かなり親切に感じました。最近は、こういった真心を感じるフィールドが増えてきましたが、あれはどのようなタイミングで決めるものなのでしょうか?

中川:あれは企画の段階で、そういう床の模様がないと難しくなりすぎるだろうと担当者が考え、「この位置にこの模様が絶対に必要なので、それを加味したデザインにしてほしい」とバックグラウンド班に発注しています。こういった要素は、じつはものすごく吟味して作っています。たいていの場合はこちらで発注するのですが、作ってもらった床の模様がたまたま制作時に都合がよくて、後追いでギミックに利用する場合もありますね(笑)。

――ハーデス討滅戦開始時に、光の柱から光の戦士たちが現れる演出がありますが、これはモンスター班が考えたものなのでしょうか?

中川:あれは、石川(石川夏子氏。メインシナリオライター)が考えた部分です。自分もあそこは素直にすごいなと思いました。ゲームのシステム的な仕様とシナリオでやりたいことをうまくマッチさせた、とてもいい演出でしたね。その部分の話を石川に聞いたのですが、あそこはふと思いついてやったことではなくて、パッチ5.0のシナリオプロットができた時点で決まっていたことらしいです。

――最初から明確なイメージがあったうえでお話を進めていったんですね……すごい……!

中川:自分も、とても感動しました。

――ちなみに、ボイスの発注は早期に行う必要があると聞きましたが、パッチ5.0のイベントバトルではボイスがかなり多かった印象がありました。これは、あらかじめ収録しておいたボイスを、あとで作ったイベントバトルに当てはめていった感じなのでしょうか?

中川:おっしゃる通りボイスはかなり早い段階で発注する必要があるのですが、ティターニアに関しては発注する段階でバトルの内容が相当細かい部分まで決まっていました。なので、具体的に「特定の精霊魔法を使う前に出るバトルトークを作ってください」など、細かく発注しています。一方、イノセンスに関しては最小限の情報しかなかったので、シナリオ班にある程度見切り発車でバトルトークを書いてもらっています。ただ、ヴァウスリーがイノセンスに変身するシーンがバトル中に入ることはわかっていたので、その部分のボイスは量を多めにしてもらいました。そういう感じなので、ラスボスであるハーデスは、じつは細かい指定はほとんどできていません。

――そうなんですね。「多重詠唱……逃げ惑え!」といったセリフはギミックに沿っていて、「ハーデス、親切だなぁ」と感じていたんですが……(笑)。

中川:たしかに(笑)。魔法陣が上空から降ってきたり、左右逆方向に向けて直線攻撃を放ったりなど、いろいろな魔法陣を使って戦うということは企画初期の段階で決めていましたので、大きな矛盾なく対応したボイスが用意できた感じですね。

――ボス系討滅戦だけでなく、X.0のダンジョンについてもシナリオの意図と組み合わせて企画・開発が進むのでしょうか?

中川:シナリオ側の意図とあわせて……という部分は同じですね。ただ、作り方に関しては大きく異なっています。単体の8人用バトルはバトルコンテンツデザイナーが考える部分が多いのですが、4人用ダンジョンはモンスター班だけではなくレベル班と共同で分担して考えていくんです。

 ざっくりと説明すると、まずレベル班がシナリオの前後の流れをシナリオ班にヒアリングしたうえで、ダンジョン全体を設計します。この設計というのは、どういう道になっていて、どこで中ボスやラスボスと戦うか、といった部分です。そういった企画が出来上がったら、次にバトルシステム班とモンスター班側に向けてプレゼンしてもらい、それを受けてこちら側で各ボスのバトル内容を考える感じですね。

――モンスター班が作業する段階では、モックアップは完成しているのでしょうか?

中川:基本的には同時進行です。さきほどのダンジョンの設計資料を紙面上で作りながら、レベル班とモンスター班の担当者が連携して同時に進めていきます。

――討滅戦のボスはデザインが固まってから動いているとのことでしたが、ダンジョンのボスの外見も最初から確定しているのでしょうか?

中川:こちらも、決まっていないことのほうが多いですね。ダンジョンの設定、シナリオの流れなどを加味して中ボスのデザインを考えたり、逆にシナリオ的にラスボスが明確に指定されていることもあるので、それに沿ったデザインを発注したりしています。

 直近の話をすると、パッチ5.1で実装された魔法宮殿 グラン・コスモスでは、最初に“何らかしらの協力を求めるために、グラン・コスモスに住むン・モゥ族を訪ねる”“そのン・モゥ族は変わり者で、プレイヤーを排除しようとしてくる”“どのボス戦かはわからないが、プレイヤーとン・モゥ族を1度は戦わせたい”というオーダーがシナリオ班から降りてきました。

 モンスター班としては、そのン・モゥ族以外のボスをどうするかを考えることになります。つまり、“たった1人で宮殿に住んでいるんだから、残りはン・モゥ族が使役している魔物かペットだろう”“ン・モゥ族は、どういう能力や魔法を使えるのだろうか”といったことを考えたり、あるいはシナリオ班にヒアリングしたりしていくわけですね。

――その結果として、“使い魔”というところにフィーチャーしたボスやギミックが実装されていったわけですね。ちなみに、道中のモンスターの配置も、モンスター班が行うのでしょうか?

中川:それは、レベル班が担当しています。

――なるほど。ダンジョンの景観自体は、バックグラウンド班が一手に引き受けているのでしょうか?

中川:いえ、「こういう景観でいきたい」というダンジョンのベースとなる部分も、レベル班が担当しています。それをバックグラウンド班と密に打ち合わせをして、案を出し合いながら形にしていく感じですね。

――グラン・コスモスでは、トールダンや蒼天騎士団を彷彿とさせる絵画の騎士が登場して、驚きました。

中川:あれはすごくよかったですね。それもレベル班が考えて、世界設定班に問題がないかを確認しつつ盛り込んでいっているんです。

――パッチ5.0のクエストバトルはどれも印象的だったため選びにくいとは思いますが……中川さん的に、制作にあたってとくに印象に残っているバトルを挙げるとするとどれでしょう?

中川:パッチ5.0はどの担当者も本当に頑張ってくれたので、1つに絞るというのがなかなかできないのですけど……。ロールクエストは、なりきりNPCのバトルもあって、とくに印象強かったのかなと思います。闇の戦士たちの過去を知るために……もともとなりきりNPCのシステムはまさにそのために用意したものなので、そういう意味では、苦労はすごくありましたけれど、いいものになりましたね。

 ……うーん、やはり1つを選ぶとなると難しいですね。コルットが道案内する【採掘と破砕】はクエストバトルらしいクエストバトルになったかなと思っていますし、担当者の味がすごく出ているかなと思いました。あとは、クエストバトルで初めて専用BGを作ったロンカ遺跡探索【仕掛けと呪いと毒と】もすごく記憶に残っています。

――今回の、5.0のイベントバトルに関しては、ランジートが多数登場したと思います。僕らだけでなく、開発側としても何度も目にする印象深いキャラだったのかなと思いますが、中川さん的に、彼に対する思い入れがあればぜひお聞きしたいです。

中川:いろいろと思い入れはあります。まず設定面は“強いおじいちゃん”キャラということで、個人的にはすごく好みです。実際にゲームができてから通しでプレイしてみての感想で言うと、彼が何を考えていてどこに行動原理があったのか、歴代のミンフィリアにどういう接し方をしてきたのかをもっと知りたいなと感じました。それが漆黒秘話なりで見られるといいなと思っています。

 あとは、ランジートが登場するクエストバトルである【膨らんだ嘘】の担当者と、【廃都ナバスアレン】/【ミンフィリア救出作戦】の2つのクエストバトルの担当者はこのキャラクターにかなりの思い入れがあると思いますね。企画、実装にとても苦労していましたので(笑)。お互い別々の観点を持っているとキャラの方向性がブレてしまいますので、2人で何回も打ち合わせをして、どういう技を使わせるかをすり合わせていました。

――ギミックの共有とかも、こういった話し合いの中で行われるのですね。

中川:はい。

――では、最後の質問になりますが……最近ではなりきりNPCをはじめとして、クエストバトルでの表現の幅がさらに広がっていると感じます。モンスター班として、プレイヤーさんには今後どういった部分に注目してほしいですか?

中川:いろいろと話せない企画が多く進んでいますが……。なりきりNPCを使ったバトルに開発側も慣れてきて、これからどんどん遊びの幅が広がっていくと思います。近い将来、なりきりNPCを使った、みなさんが新たな可能性を感じていただけるようなクエストバトルが、もしかしたら出てくるかもしれないですね(笑)。

 “クエストバトルが長い”“やり直しに時間がかかる”といった、プレイヤーのみなさんがストレスに感じている部分のフィードバックは、公式フォーラムやSNS等で見ています。クエストバトルの、コンテンツとしてのクオリティを上げるという部分だけではなく、プレイヤーのみなさんのストレスを緩和するというシステムも別途検討中です。具体的な話はまだ言えないですが、そういうことを考えているということは、知っておいていただけるとうれしいです。また、プレイヤーのみなさんがプレイして感じたこと、感想、要望はぜひ公式フォーラムに書いていただければと。開発メンバーは公式フォーラムやSNSをひんぱんにチェックしているので、それを見て今後に活かしていこうと思っています。

――では最後に……。イベントバトルが楽しかったという方々、今後を楽しみにしている方々へ向けてメッセージをお願いできますか?

中川:パッチ5.0では、クエストバトルのクオリティを一段引き上げることを目標としていました。その手ごたえを開発側としても感じていますし、きっとプレイヤーの皆さんも感じていただけたのかなと思っています。ですが、開発側としては、まだ満足しているわけではなく、ここで話したネタ以外にもいろいろ考えていることがあるので、これからの5.Xシリーズとさらなる拡張パッケージに向けて、どういう形で進化していくのかを楽しみにお待ちいただければと思います。

――ありがとうございました!

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