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『狂気より愛をこめて』はただの恋愛アドベンチャーじゃない。くせが強いキャラばかりだけど心を鷲掴みされる物語にハマる【東城咲耶子のおすすめインディーゲーム】

東城咲耶子
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 電撃オンラインユーザーのみなさん、こんにちは。私、東城咲耶子がひたすらおすすめのインディーゲームをゆるく紹介する“東城咲耶子のおすすめインディーゲーム”第10回です!

 気が付けば、このコラムも10回目! 二桁だー!!

 これを書いている今はまだまだ夏だぜ、バリバリ暑いぜ……。

 でも、ありがたいことに今後もいろいろなロードバイクに乗るお仕事があるので、暑い暑いと言いながら、それでもちゃんと外に出てトレーニングしています! えらい!

 8回目のコラムで、今までほとんどやったことがなかった乙女ゲームというジャンルをプレイしたのですが、なんと今回は恋愛ゲーム、リベンジマッチ回です!

 先日、プレイした『陰キャラブコメ』もなかなかキャッチーなタイトル&内容のゲームでしたが「インディーの恋愛アドベンチャーには、ほかにもこんなに面白いゲームあるんだよ!」と編集部から教えてもらったこちらの作品をプレイしました。

『狂気より愛をこめて』

 タイトルからして潔い! やばいやつだ!! 絶対、初心者にやらせるべきじゃないやつだ!

  • ▲だって名前の入力からなんかおかしいもん。無駄に文字でっっっか!

 jamsanpoidさんが開発、有名インディーゲームをたくさん排出しているPLAYSMさんから配信されている新作です。

 Steamのストアページをよく見たら“センシティブ、バイオレンス、ホラーなどの要素が含まれます。成人向け”とのことで、この可愛らしい絵で一体、何が起きるのか不穏だぁ……。

 ちゃんと推し、できるかなぁ。

 おしゃれな色合いのドット絵がとっても可愛らしいビジュアルですが、あらすじには“絶対に会話がかみ合わない男たちとの恋愛アドベンチャー”と書いてあります。

 会話がかみ合あわない人間とどうやって恋愛を? げ、言語が違う方かな? もしくは異世界転生?

 と、思いながらゲーム開始後すぐに、その答えが分かります。

 早速、1人目の可愛い男の子の登場だーと思ったら……!?

 えっ、こわ。逆再生(?)でしゃべっている……。

 真面目そうな可愛いメガネボーイの彼はアオルタくん。“生徒会長を務める3年生。クールで威厳のある性格で、青白い肌と異国言語が特徴”だそうです。

 何を言っているのかまったく聞き取れないのでキャラ紹介を見たのですが、なるほど、本当に異国の方だったのか。それなら仕方ないね???

 生徒会長の言葉が通じないのは大丈夫なのかな……?(笑)

 そして、2人目に現れたのは、慣れ慣れしく話かけてくる陽キャっぽい男の子。あ、私の名前を知って……。

 誰だよ!!! ただの東城咲耶子だよ!!

 に、日本語なのに、何を言っているか分からない!

 映画『パプリカ』の演説を彷彿とさせるヘンテコさで話しかけられ続けます。

 フルボイスにより喜怒哀楽は伝わるのでなんとなくの感情は分かるのに、言葉のチョイスが意味不明で慣れるまですごく不安になります。ホラー?

 で、でも良い人そうですよね、佐伯祐介くん。

 こちらも本人がちゃんと自己紹介してくれないので、キャラ紹介を見たのですが“同じクラスの明るくやんちゃなイケメンチャラ金髪男。転校前、同じ学校に通っていた。意味不明単語を羅列する”だそうです。

 意味不明単語を羅列する!? 特に理由はないのか、そっか……。

 3人目は、生徒ではなく先生!

 いいですねぇ。東城、いつもお姉さん枠のキャラが好きになるので、生徒より先生のほうが萌えられそうな気がします。

 あ! 会話が通じる!!

 やっぱりたくさん会話するとちょっと変だけど、ほかがアレなのでぼちぼち会話ができるだけで安心感ありますね。

 パッと見は一番まともそうです。パッと見は……。

 大人しくておっとりした荒川修司先生は、保険医の先生だそうです。

 唯一、ちゃんと自分で自己紹介をしてくれますが、頭にタツノオトシゴが絡まっています。タツノオトシゴが絡まっている……? え?

 四人目に現れたのは、女の子のように可愛いピンクヘアの男の子。

 ひぇっ!? ひたすら罵倒してくる! ご、ごめんなさい!

 でも会話のすべてで罵倒してくることを除けば、この子もわりと普通に会話をしてくれます。

 罵倒に慣れてくると、私のことを心配してくれているのでは? 私のこと好きなのでは? という気持ちにもなってきて、これはすごく前向きにとらえたらツンデレに含まれるのでは!?

 名前は田村マシュマロくん。“謎のかわいらしい少年。エンカウントしても暴言を吐かれたりエグい罵倒をされる。オカルト的な事に詳しい”そうです。

 浮世離れした雰囲気で、何やら謎がありそうです。

 このすさまじく濃いメンバーのうち、誰か一人と恋愛をしなきゃいけないのですが、いやハードル高いなーーー!!!

 地の文もクセが強すぎて、だんだんと脳がグンニャリしてきます。

 佐伯くんとずっと話してると、自分が正気なのか不安になる……(笑)

 しかし! 話が通じない難しさ以前に、ちゃんと恋愛アドベンチャーとして難易度が高くて面白いのです!

 あらすじやトレーラー映像から感じる破天荒さとは裏腹に、攻略が骨太で、ここに欲しい! というところに大量の美しいスチルを用意してくれていて、しっかりクオリティが高かったです。このお値段でこんなに楽しめるのすごい。

 私は一周目、フラフラと八方美人にしていたら、最終的にフラれ倒して誰とも付き合えませんでした。誰も私を愛してくれない……。

 そして、めちゃくちゃにギャグなのに、ホラー要素が思ったよりもメインにあって驚きました。

 やっぱりただの恋愛アドベンチャーじゃないじゃん! 知ってた!

 それだけでなくセンシティブなスチルもなかなかにセクシーでがっつりなのですが、やんわり隠してくれるマイルドモードがあったり、一人称を変えられるので乙女ゲーム的にも楽しめたり、痒いところに手が届く丁寧な作りになっています。

 荒川先生とマシュマロくんのストーリーのミステリーな流れや「一緒に生きようよ!! 私が何とかするよ!!」と言いたくなる、佐伯くんやアオルタくんの複雑な人生や気持ち、本当の顔や秘密を知ることでギャグから一転、キャラの印象もガラッと変わります。

 始めたばかりは正気の人間の少なさにドン引きしていましたが、そこから想像できないくらい、何倍もストーリーが魅力的で良い意味で裏切られました! 本当、おもしろかったなー!

  • ▲守りたい、この笑顔。

 トンチキさ100%に見えて、それぞれがおかしいのにはそれなりに理解できる理由があって、私と出会ったことで変わる未来がどれも絶妙にほの暗くて、なんとも切ないゲームで……。

 主観ですが、マルチエンディングのほとんどがバッドエンドかメリーバッドエンドに感じられたのもおいしかったです。大好きですねー! 私は!!

 最後に推しの話ですが、最初に気になった先生は裏の顔がハードすぎた……ので、一番推せるのはストレートに良い子なアオルタくんかなぁ。

 言葉は通じなくても、時間を重ねてお互いのことが分かり合えるようになっていくところが良かったです。

 大事なシーンで頑張って日本語で伝えようとしてくれた瞬間、ウッてきました。本当に心を鷲掴みにされた……良い……。めちゃくちゃヒロインでした。

  • ▲ちなみに、このルートでの私は始終こんな感じ!

 様子がおかしいのは、アオルタくんじゃなくて私のほうでした。(笑)

 あ、ちなみにアオルタくんの言葉は、バックログを開くと日本語で表示されているのでちゃんと理解できるようにもなっています。

 だいぶ面倒だけど、実際にまったく分からない言語を翻訳しながら会話してたらと思うと、リアルなめんどうさでよかったです。

 インディーゲームっていいよね。どんなにぶっ飛んでいても「私が作りたい!」の情熱が正義なところがたまらないよねと改めて思わせくれる、濃すぎる最高のゲームでした。これだからインディーゲームはやめられないぜ。

 というか、みんなが「東城さんが好きそう」ってすすめる恋愛アドベンチャーは、全部こういう狂気に満ちた物ばかりなのかな。大好きですけど、そろそろ普通の恋愛もしてみたいな……。(笑)

 それでは、また! 良きインディーゲームライフをー!

  • ▲こちら、ずっとお酒飲んでるタイプの攻略キャラです!

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