年末年始に遊びたい2023年おすすめインディーゲーム10選:『春待ちトロイダル』『SANABI』『貢がせろ!女苑ちゃん!!』など【電撃インディー#528】
- 文
- まさん
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今年も残すところあとわずか。2023年も数えきれないほどのインディーゲームが発売されました。インディーゲーム担当ライターのまさんが、年末年始に遊んでおきたい今年のゲーム10本をお届けします。
良作が多く選ぶのは非常に難しいものばかりでしたが、定番のタイトルからSNSで話題になったもの。個人的に推したいものを中心に挙げていくので、遊んでいない作品をチェックしてみてください。紹介される作品の順番は発売日順となっており、アーリーアクセスのタイトルは正式リリース日を基準にしています。
なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!
2023年おすすめインディーゲーム10選目次
A Space for the Unbound 心に咲く花(2023/1/19)
まずは1月から。1本目は涙なしにプレイできない、良質なアドベンチャーです。舞台となるのは90年代後半、インドネシアにあるどこかの田舎町。日本の風景にも似ているようで、食べ物の名前や文化がまったく違う海外の街並みは、懐かしくも異質な雰囲気が感じられます。
高校生のアトマと、消えてしまった彼女のラヤ。夢で見たニルマラという女の子。ピクセルアートで描かれる青春の物語は、ときに醜く、ときにとても美しい。心に突き刺さる物語を丁寧に見せてくれます。
人の心に潜れる超能力のような力を使って、町に起きた異変を追い、やがて来る“世界の終わり”と向き合う。アトマとラヤの物語にグイグイと引き込まれ、エンディングを迎えたときには涙が止まらなくなるでしょう。とても素敵な1作です。
Wildfrost(ワイルドフロスト)(2023/4/13)
最近流行りのデッキ構築型ローグライクカードゲーム。自分もいろいろな種類を遊びましたが、今でも気に入って再プレイしている作品です。きっと、はじめて遊んだ人は、敵のデッキが強くて本当に驚くと思います。攻撃するとダメージを撥ね返してきたり、どんどん攻撃力が上がり続けたり、相手のデッキがこちらのメタを張る(対策を取ってくる)構成ばかり!
そんな相手に対して、一見すると弱いカードを組み合わせてシナジーを生みながら戦う。バトルの1つ1つが、楽しいんですよ。正面からの殴り合いでは勝てないからこそ、状態異常のデッキをどう組むか。戦闘中にどこへカードを配置して、何をしてから入れ替えるか。臨機応変に戦う楽しさがあります。
しかも、1周しただけでは終わりません。真のエンディングを見ようと思うなら、ゲーム内で追加されていく縛り要素を受け入れて難易度を上げていき、最高難度で挑む必要があります。それまで覚えた知識をフルに使って、さまざまな戦法を試して……。すべての戦いがボス戦のような緊張感。ああ、また遊びたくなってきた!
さかだちの街(2023/4/27)
サカダチすると世界そのものが反転。空が地面に、地面は空になってしまう重力反転パズルアクションです。Steam版が出たのは2022年の11月なのですが、家庭用ハードで発売されたのが今年の4月なので、今回は2023年枠ということで紹介します。
重力の反転を使ったパズルはアイデア満載。新しいマップへ行くごとに意表を突くギミックが登場するので、ワクワクしながらステージを攻略できます。メインストーリーをクリアするだけなら、そこまで難しくないのも良いバランス。サブのステージに難しいものが用意されているので、パズル好きも安心です。
キャラクターのノリやグラフィックのポップな感じも安心して楽しめますし、明るくて誰にでもオススメしやすいのも良いところ。暴力的な要素がなくて小さい子どもがいても問題なく見せられるゲームなので、年末年始に遊ぶのにピッタリですよ。
実録パワフル野球拳スラッガー山田(2023/5/6)
某野球ゲームを思わせるふざけたタイトルに、いらすとやが混ざるグラフィック。値段は110円という安さ。一見すると、あまりにも怪しいタイトルなのですが……今年のダークホース! じつは、このサークル。過去作である『魔法少女は自由に変身出来ない。』のころから、しっかりと楽しめる作品を作ることに定評があるのです。
今回は3Dアクションと野球を融合した内容となっており、敵を倒してゴールまで辿り着くとクリア。野球……? 野球ですよ! 時間経過でイニングが変わり、打者と投手で攻撃手段が変わりますからね。遠距離攻撃ができる投手と、次元圧縮バットで敵や弾をはね返す野手が交互にやってくる。野球です。育成してどんどん強くなり、カードのデッキを組んでパワーアップ。おお、野球に違いない……!
脱力すること間違いなしのギャグしかない会話デモから、ステージの設定に至るまで、徹頭徹尾ふざけているバカバカしさ。肩の力を抜いて遊べるのが最高です。テニスコートで戦闘ヘリにボールを撃ち返し、サメに食われても、この世界ではコレが野球。野球という概念の幅広さに驚かされることでしょう。110円のゲームですが、仮にもっと高い値段だったとしても損はしませんよ!
ファミレスを享受せよ(2023/8/1)
永遠のファミレス・ムーンパレス。月は満ちに満ちているしドリンクバーもあり、なぜか死ねないけれど出ることもできない。そこは怠惰で優しい、ぬるま湯のような不老不死の空間です。そんな不思議なファミレスへ迷い込んだ人たちと雑談しながら謎を解き、元の世界へ帰るための手がかりを探す。インディーゲームファンの間で評価の高いアドベンチャーです。
もともとは、2022年にitch.ioなどで公開されたフリーゲーム。製品版ではゲーム中の雑談が追加されていたり、クリア後に見られる“サウンドギャラリー”と“イラストギャラリー”が実装されています。イラストギャラリーに書かれている設定を読むと作品をより深く理解できるので、それだけでもお金を払う価値がありますよ。
閉じ込められて焦る脱出ゲームではなく、無限の時間のなかでいつしか穏やかになり、優しく接してくれる人たちとの関係が心地よくて美しい。他者との適切な距離を保ちながら、でもどこか繋がっている。深夜のファミレスのような空気感が素敵なゲームです。年末のほっとひと息ついた瞬間に遊びたいですね。
春待ちトロイダル(2023/8/3)
ローグライク的な要素を少しだけ混ぜつつ、カードバトルとループ物を組みあわせた青春ミステリーの傑作。後半に紹介する『SANABI』と、個人的な2023年インディーGOTYの1、2を争うくらい好きな作品です。
主人公は、なぜかアクマに目をつけられて10日間をループすることになったサラリーマン。どこかの学校で高校生として生活しながら、ループの原因である事件を止めなくてはいけません。しかし、卒業式までの10日という短い時間で情報を集めなければならない……。そのために取れる手段が対話。カードに書かれた題材をぶつけて対話を重ねていけば、プロフィールから友人関係、島の秘密までわかってきます。
キャラクター1人1人への思い入れが生まれる丁寧なシナリオに、二転三転する展開。遊んでいくうちに、この学校のクラスメイトたちが好きになってくるんですよ。アドベンチャーとしてもたいへんオススメで、プレイし終わったあとに爽やかな気持ちになれます。
バベル号ガイドブック(2023/8/3)
小さな蝶が羽ばたいた結果、どこかで強風が発生する。一見すると無関係な出来事が、予測もしていない物事に繋がることを意味する言葉を“バタフライ・エフェクト”といいます。最近では、ゲームでもおなじみになった言葉ではありますが、本作はバタフライ・エフェクトを主軸にしたアドベンチャーです。
人が死んでから、来世で転生するまでのあいだに乗る船・バベル号。そこに乗り合わせた4人の主人公の物語を時系列で追いながら、バベル号に起きた事件を解決するという流れになっています。詰まったときは、ほかの人物の時間軸に飛んで違う何かを起こすことが重要なんですよ。それが巡り巡って、新たな道を切り開く。
ちょっとした行動が思ってもいなかった展開に繋がるのも楽しいですし、なにより物語自体が素晴らしい! 死者を運ぶ船ということで、すでにみんな死んだ人たちばかり。それなのに、悲しいだけではなく前向きで希望も感じられます。ゲームを通して語られる“死”への向き合い方が好きですね。切ない話ですが、良い読後感でした。
SANABI(サンナビ)(2023/11/9)
今年出たインディーゲームで、なにが一番良かったかを聞かれたときに、この作品を挙げる人は間違いなく多いはず。自分でも実際に遊んでみるまで、よくある2Dアクションくらいの感覚でいたのですが……とんでもない! こいつは絶対に紹介しないといけないやつですよ。
“サンナビ(SANABI)”と呼ばれる何かを追って戦い続ける主人公の復讐劇は、序盤から引き込まれます。ハードボイルドでサイバーパンクなカッコ良さ。先が気になって遊ぶ手が止まらなくなります。伏線の回収も、終盤にかけた怒涛の展開も納得がいくシナリオの妙。ストーリーと演出が、突出して素晴らしいのです。
それだけではなく、ワイヤーアクションの操作性も良くて遊びやすい! チェーンフックで敵をつかみ、足場のない場所を飛び回る感覚がたまりません。難易度をイージーにしても難しいゲームではあるのですが、物語が気になって遊び続けてしまうはず。遊んだ人が、ただ一つの欠点と口々に言うくらい中盤以降の翻訳が惜しいのですが……、それもパッチで修正されることが決定しました。ですが、今すぐ遊んでも良し。先に買っておいて、年始以降に遊ぶのもアリですね。
バックパックヒーロー(2023/11/15)
レベルアップで拡張される巨大なバックパックに、形やサイズが違うアイテムを詰め込んで整理しながら、迷宮を踏破していく。斬新なアイデアのデッキ構築型ローグライクです。『バイオハザード』シリーズなどのアクションアドベンチャーで出てくるインベントリの整理を、ゲームのルールとして落とし込んだような内容ですね。とにかく、整理することがポイント。
アイテムをただ詰め込むだけではなく、どこへ配置するかによっても変わってくるので、常に配置を考えながら遊ぶのが、楽しくて楽しくて……。敵の状態異常も、回復アイテムも、持ち帰らなければならない荷物も、全部同じバックパックに詰め込まれます。それをどうやりくりして配置するか。ああ、悩むよ~!
実家の大掃除なんて全然できていないのに、このゲームで取捨選択しながら整理整頓していると、時間があっという間に過ぎていくんですよね。忙しい時にオススメするのは、ちょっと危険なタイトルですね。だからこそ、年末年始のお休みにオススメします!
貢がせろ!女苑ちゃん!!(2023/11/18)
疫病神の依神女苑(よりがみじょおん)ちゃんと会話して、頼まれたものを貢ぎ続ける東方Projectの二次創作ゲーム。発売してから口コミで大ヒットを飛ばし、DLsiteだけでも1万本を突破する売れ行きなので知っている人も多いでしょう。
このゲームが素晴らしいのは、東方を知らなくても楽しめるゲーム自体の魅力。お題に沿って出たワードに文字を当てはめ、高い物を貢ぎ続ける。出てきた単語に対する反応も愉快でバリエーションが多く、いろいろな物を貢ぎたくなってしまいます。
ヘンな単語を作って、予想通りに怒られてもおもしろい。狙って作ってみたら、思っていたよりも高くついてしまって破産してしまうのも笑えます。東方が好きな人も、知らない人も、笑顔で楽しめるゲームですね。
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