『Ratopia(ラットピア)』レビュー:かわいいネズミの王国を築くシティビルダー。経済バランスを取って国民を豊かにしていくのが楽しい【電撃インディー#536】
- 文
- 柏又
- 公開日時
電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は、Cassel Gamesよりアーリーアクセス中のPC(Steam)用ソフト『Ratopia(ラットピア)』をレビューします。
なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!
ちょこまか動くネズミたちがとにかくかわいい!【ラットピア:レビュー】
本作は、祖国を追われたネズミの女王が新天地で王国を築くシティビルダーゲームです。女王のあとを追ってやってくる国民たちに寝床と仕事を与え、ネズミの集落を拡大していくのが目的となります。
資源の採掘や建設は主人公を操作して自身でも行えますが、フリーの国民がいればだいたい彼らがやってくれます。彼らの作業の優先順位は労働法の制定で変更可能です。
プレイヤーが操作する女王をはじめ、登場するネズミたちがちょこまかとマップ内を動いてアニメーションするところがいい感じですね。生産施設を建てて作業を割当てればその職業の服装に着替えますし、銭湯や食事用のテーブルなどのサービス施設でもしっかりアニメーションしてくれます。
ただし、このゲームではそんなネズミたちから国庫の収支状況に応じて結構な税金を課さなきゃならない訳なのですが……。その背徳感も本作のポイントといえるでしょう。
都市建設から探索、防衛まで内容はもりだくさん!【ラットピア:レビュー】
本作は現在アーリーアクセス中ですが、すでにかなりのコンテンツが実装されていて遊び応えはバッチリ。定期的にやって来る移住希望者を国民として迎え入れ、寝床や生産施設を建てて仕事に就かせるというシティビルダーの基本部分はもちろん、主人公の女王を操作して初期状態では黒い霧に覆われている未探査地域を調査する探索要素もあります。
また、定期的にやってくるゾンビラットやイタチといった敵対勢力の襲撃を撃退するタワーディフェンス的な要素も。敵はこちらの施設や国民に危害を加えてくるので、女王自身が戦うほか、訓練施設で兵士を養成して防衛させたり、敵の巣への経路に罠を設置して施設を守ることが可能です。
さらには女王自身のレベルアップや装備を作成&装備する成長要素、他国との外交と貿易などプレイヤーのできることが盛りだくさんです。アーリーアクセス開始は昨年の11月ですが、すでにひと通りゲームを楽しむには十分以上のコンテンツがそろっているといえるでしょう。
国庫と国民の収支バランスを調整する経済要素がおもしろい!【ラットピア:レビュー】
シティビルダーとしての要素が盛りだくさんな本作ですが、筆者的にプレイしていて一番感心した部分は、国庫と国民の収支バランスをコントロールする経済要素ですね。
国民は生産施設で仕事をするほか、プレイヤーが指示を出した建築や採掘指示のほか、落ちている資源を拾って貯蔵庫へ収納することで国庫から賃金が支払われます。逆に国民は、食べ物のほか生活用品や娯楽などの“欲求”があり、これを満たすための食事や生活用品の消費、サービス施設の利用で国庫に料金を支払います。
また、材料を加工するタイプの生産施設では貯蔵庫から材料を持ち出す際に国庫にお金を支払い、完成したものを納品すると賃金が支払われます。
最低限の食料やトイレをはじめとする衛生施設はともかく、生活用品やサービス施設の整備が行き渡らない序盤はどうしても国庫負担が重くなりがち。これを解消するために法律を制定して所持金の多い国民などから税金を徴収してバランスを調整する必要がでてきます。
しかし、国の発展には国民の“幸福度”が重要なポイントとなっていて、国庫の赤字を税金で賄っているだけではいずれ発展が頭打ちになってしまいます。仕事によっては日々の欲求を賃金だけでは満たせない国民も出てきますが、給付を行うなどしてケアしないと反乱を起こして施設の破壊活動を行うことも……。
長々と書きましたがゲームを進めていくうえで、最終的にはサービスや消費財を充実させて稼いだ富を消費させてその分は減税、国民の満足度と国庫の収支をWinWinの状態に持っていくのが理想、というわけです。
サービス施設のほか、国民が必要とする食料や生活用品をいかに充実させるかもプレイヤーの腕の見せ所。ゲームのかなり重要なポイントなのでもう少しチュートリアルで解説があるといいとは思うのですが、分かってくるとゲームがかなりおもしろくなってきますね。
かわいいキャラにひかれたなら要チェック! 難易度カスタムで初心者から上級者まで楽しめる!【ラットピア:レビュー】
ここまで紹介してきた『Ratopia』。アーリーアクセス中ながらコンテンツについてはすでにかなりの部分が実装されていて、現状でも十分おもしろく遊べる印象です。アップデートもひんぱんに行われていて、最近だと難易度を細かく調整可能となったため、このタイプのゲームが初心者でもある程度楽しめるでしょう。敵勢力の襲撃をオフにすれば建設だけに集中して遊べます。
家庭用ゲーム機で遊ぶことが多い筆者的には、ほぼすべての操作をコントローラーでできるのがうれしいですね。PCだとシミュレーションゲームはどうしてもマウスとキーボード操作が中心のタイトルが多いので、そんななかでも本作は貴重な存在だと感じました。主人公を操作する部分はアクション性がやや高めなのでなおさらですね。
現状は、経済部分のチュートリアルがやや薄めですが、前述したとおり国庫と国民の間でお金をやり取りするバランスをとっていくゲームだと理解していれば大丈夫だと思います。全体の貨幣流通量は国民を増やすほか、お金を鋳造したり貿易を行うことで増大します。
Steamには序盤の10日間、数時間程度遊べる無料のデモ版があるので、かわいいキャラクターが気になった人はまずはそこからはじめてみるのがおすすめです。これだけのボリュームで現状の価格帯は正直言ってかなりお得ですね。
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