記憶を消して遊びたくなる名作『OneShot』。ニコちゃんに関する演出に涙し、余裕で想像を超えてくる内容に驚きを隠せない【東城咲耶子のおすすめインディーゲーム】
- 文
- 東城咲耶子
- 公開日時
電撃オンラインユーザーのみなさん、こんにちは。私、東城咲耶子がひたすらおすすめのインディーゲームをゆるく紹介する“東城咲耶子のおすすめインディーゲーム”第14回です!
今日も猫を膝に乗せながら、ぬくぬくゲームでございます。
いろいろなインディーゲームに手を出してきていますが、ここでそろそろ名作と名高いあれを……。
今回は、インディーゲーム好きなら一度は聞いたことがあるこちら!
パズルアドベンチャーゲーム『OneShot』です!
『OneShot』
いつか自分でやるぞーと思って情報をシャットアウトしたまま、すっかり積みゲーの一本になっていました。すみません。
改めて調べてみたら、日本語対応されたのが2017年だそうです。そ、そんなに前だっけ……。
今、発売されているインディーゲームにも、いろいろな影響を与えてそうですね。
記憶を消してやりたいゲームの1つによく名前が挙がっているくらいなので、序盤のほうに触れつつ、自分で見てもらいたい重要すぎるところはふんわりぼかして書いていこうと思います。
気になっていた人は、ぜひプレイしてから戻ってきてねー!
タイトル画面にも描かれている、猫耳の生えたニコちゃんが主人公です。
一緒に謎を解きながら冒険をしていくのですが、ニコちゃんはなんらかの理由で別の世界からこのゲームの世界へ飛ばされてきました。
突然、廃墟で独りぼっちで目覚め、光る電球のようなものを手に入れます。
住民たちはそれを“太陽”と呼び、ニコちゃんのことを“救世主”と崇めてくるのでした。
光を失ったこの世界の真ん中には大きな塔があり、そこに太陽を捧げることでみんなが救われる! 任せたぞ! と、なにがなんだかわからないまま、世界の救済を頼まれてしまいます。責任重大!
起きたベッドのかたわらには、見るからにお助けPCのような物があって、開始早速、プレイヤーに語り掛けてきます。
「お、今後ヒントでもくれる存在なのかなー」と思ったら、
ヒッ……。えっ、こわ、名前呼ばれた……。
ど、どういうこと!? どこからの何!?
謎のPCいわく、ゲーム画面の前にいるこの東城咲耶子は、ゲーム内のニコちゃんを導く神と言うことでした。
なんか巻き込まれたぞ!
フルネームで連呼されるのなんかソワソワするな……。
ニコちゃんも周りも一瞬で状況を受け入れ、画面越しにふつうに話しかけてきます。
よろしくお願いしまーす。神様です。猫耳可愛いね。
これ本名隠してる配信者の方とか事故りそうで恐ろしいですね。(笑)
早速、目覚めた場所の周りを散策していきますが、人間もニコちゃんのような猫人間(?)もいません。
“不毛の地”と呼ばれ、どこを見ても動かないロボットだらけ。
最終目的の塔へと向かうため、ロボットたちを元気にさせようと、ニコちゃんと謎解きを頑張ります。
エネルギーが切れたロボットたちや、与えられたルーティンをこなす以外に娯楽も何も無いロボットたち。
ガスが出てきて人間は住めなくなってしまった場所、元々、栄えていた過去が垣間見える工場の廃墟群……。
あ! 人みたいな見た目のロボットもいる!!
ノスタルジーな雰囲気を感じながら徘徊していると、パスワードが必要な箱が現れます。
「これで何かゲットして先に進めるのかな?」と思ったら、「そのコードは、この世界には既に存在しない」と表示され……。
で、でたよ~~~!
私にゲーム外で何とかしろと言ってきました。
もうお前の手の内は読めてるぞ! PC内になんかあるんでしょ! と、ドヤ顔でSteamからローカルファイルを開いて……
あっ、なんか違う……ここにも無い、あそこにも無いと数十分さまよい……。
そこか~~!! と唸る場所から無事に発見しました。
あれ? このゲーム、ほのぼのした顔してもしかして結構難しい?
いや、PCの中をちゃんと整理してる人はすぐ見つかると思うので、ちゃんと日ごろから整理整頓しましょう。反省。
それにしても、謎解きが現実にも浸食してくるの、こわ面白いなー!
現実からヒントを手に入れたり、ゲーム内でアイテムを組み合わせたりして問題を解決していき、お話を進めていきます。
その後もニコちゃんと探索を続け、世界の終わりに向かって寂しく暮らしているロボットたちに悲哀を感じつつ、元気にしてあげた船漕ぎロボットに船に乗せてもらい、次なる地へ。
スチルもぜんぶすごく可愛い~。
今度は打って変わって、苔むした森の中でした。
蛍がきれい~! ふよふよ!
ドットなのに表現力と雰囲気がすごくて、想像を掻き立てられます。
村にいたのは鳥のような見た目の人間たちで、ロボット以外も存在する世界だと分かりました。
段々、雰囲気が掴めて来ましたが、いろんな人種がいる世界なのかな?
最初に見た“不毛の地”は光るエビを光源に、この“渓谷”は光るコケと蛍を頼りに生きているようです。
大地がゆっくりと水没していっていて、ここももうすぐ……と言う悲しい場所でした。
しかも「太陽を捧げたらたぶん良くはなるけど、根本的な解決にはならない」ような不穏なことを言われ始めます。
ちなみにこの村では、少ない光源で何とか畑をやろうとしていたり、羊がいっぱい飼われていたり、終末の世界でも何とか生活をしようとしていて、ロボットたちとはちがった切なさがあります。
羊、なぜか一匹一匹ちがう鳴き声がします。なぞのこだわり。
一匹だけ排水溝みたいな鳴き声の羊がいて爆笑しました。探してみてください。(笑)
オ゛エーッ!!(鳴き声)
村の人を助けたり、物々交換したり、パズルをクリアしたりしながら先へ進んでいくと、森の奥には命尽きようとしている妖精のようなお姉さんが横たわっています。
そして「太陽をちょっと貸してくれ」と……。
え~~~貸すの~~???
このゲームを始めてすぐ「チャンスは一度きり」と言われたせいで、ニコちゃんとちがって神様はいろんなところでメタ的にビクビクしちゃいます。
絶対返してよね!? 絶対だよ!!?
その後も、住民と関わりながら世界のことを教えてもらいつつ、「世界救うから待っててねー!」と約束して村を後にします。
ここまででもかなり濃厚で面白いのですが、何とまだ全体の1/4くらいです……!おもしろー!
塔へと向かいながら、いろいろな場所でいろいろな住民たちと交流しながら、ニコちゃんの冒険は続いていきます。
大きな街に行ったり、ルンバに乗ったり、写真撮ったり……。
猫と間違えられたり……えっ、猫じゃないんだ?
あんなところや、こんな人や、まだ行けない場所や、結果を見ることなく先に進んだこと、二周目を示唆してくるキャラクター……。
なんだかロードムービーのような、小説を読んでいるような不思議な感覚になります。
塔、どんなのなんだろう?
太陽をポンと置いて終わりなんてこと絶対無いよなぁと、私が疑心暗鬼になっている間も、可愛いニコちゃんは純真無垢に語り掛けてきたり、子どもらしく感情を吐露したりします。
「ママに会いたい」って……神様も泣いちゃう……。
感情移入しまくっているので、一秒でも早く元の世界に帰してあげなくてはと、母性と使命感に燃えながら最後の地へ向かうのでした。
まだまだ半分くらいしかクリアしていないと気付かずに……(笑)
書いてしまったらもったいないので割愛していますが、これでもかと言うほど第四の壁を超えて、あの手この手で画面の前に座っている私に直接、絡んできます。
ゲーム内のPCから絡んでくる“存在”とやらも、この世界の住民たちが夢中になっている創作物を生み出している名も無き“作者”とやらも、どちらもプレイヤーに絡んでくるんですが、何が正しいのか? だれを信じたらいいのか。
ニコちゃんの幸せとは……。
そして、最終局面では「そんなことできるの……!? えええ!?」の連続で、ゲームに初めてこんなに驚かされました。
びっくりしすぎて声出ました。面白すぎて騒ぎました。(笑)
でも、すごいことが起きてるのは分かるけど、まったくどうなっているのか理解できない。
一番、感動したのは、ニコちゃんが画面の枠を超えて出てくるシーンです。すごくない? 文字通りなんだよ? 想像つく?(笑)
理屈は分からなくても、ヒントを頼りに頑張って頭を捻れば解ける、リアル脱出ゲームの謎解きのようなひらめきを求められている感じが楽しいです。大好き。
ゲームタイトルの『OneShot』は一度きりと言う意味ですが、それを回収するように「私は神様だから一度きりなんてルールぶっ壊す! もう一度だ! おりゃー!」の流れからの2周目が激アツでした。
2周目もただの二周目じゃなくて、ここからが本番だと言わんばかりにガンガン新しい展開になりながら、しっかり続きとして用意されているのもわくわくしました。
まだまだあるぞー! ここからが本番だぞ! のボリュームがすっごい。
2周目のおはようから、私の名前をおぼろげに憶えているニコちゃん……泣いた……。
いわゆる真エンディングに向かっていくわけですが、1周目ではわからなかったことや、行けなかった場所、見てない展開が山盛りで怒涛の回収に脳がすっきりします。見事です。
ニコちゃんを帰してあげたい、この世界も救ってあげたい、神様まだまだ頑張ります!
ゲームと言う枠組みを物理的に超えてくる、だけじゃない。
画面の向こうとこちらが繋がっているような、巻き込まれていく独特の感覚に、アガること間違いなしです。ゲーマーほど、より楽しいと思います。
みなさんが初見であれやこれやに遭遇して驚く顔、見たいなぁ(笑)
想像を余裕で超えてきます!
現在、コンソール版も配信されているのでぜひプレイしてみてください。
それではみなさん、良きインディーゲームライフを!
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