条件反射!!【O村の漫画野郎#9】
- 文
- 奥村勝彦
- 公開日時
秋田書店の漫画編集者を経て、元『コミックビーム』編集総長もつとめた“O村”こと奥村勝彦さんが漫画界の歴史&激動の編集者人生を独自の視点で振り返る!
条件反射!!
あー。壁村さんが現場から退いて、新任の編集長がやってきた。ズバリ団塊の世代ってヤツなんだ。
団塊の世代ってえのは、わかりやすく言うと戦後、戦地から引き揚げてきた兵隊さんが、カミさんとやりまくって出来た世代なの。昭和22年~24年産まれになるのか。とにかく数が多くてパワーがあった。バブルを作り出した世代でもある。
昭和36年産まれの俺が社会に出た時、この世代が世界を牛耳っていたんだな。んで、俺が見た所、彼らは大きく2種類に分類できた。
一方は、彼らの多くは学生時代、全共闘の学生運動で国家相手にハデにドンパチやりまくった。
んで、何故かその内、少なくない数の人が企業や組織に就職し、その当時の理想を放っぽらかして、権力闘争に血道をあげて、カネや女も絡んだダーティーなことも平気の平左でやっていた。
でもなぜか若い人(男)には「俺が若い時には」なんて説教をして、言ってることとやってることが全然違うやんけ、と嫌われていた。
そしてもう一方は、そういった世代のトレンドとは一線を引いて、真面目に生きてきた人々も大勢いた。中には理想を真面目に追い過ぎて、全国指名手配になって風呂屋の掲示板に貼られた人もいた。
もうここまで書けばわかるだろうけど、俺が信頼したのは後者の人々で、前者の人たちには徹底的に反抗した。もう理屈も何も抜きで、虫酸が走りまくっちゃうんだもん。んで、さらにここまで書けばわかるように、新たな編集長は典型的な前者だったんだわ。
新編集長が就任した当日、歓迎の呑み会があった。俺は全く歓迎する気はなかったけれども、恒例なんでしょうがねえ。どんどん酒は進み、新編集長のボルテージも上がってきた。
悪い予感を感じて、嫌だなあ、早く帰りてえなあ……なんて思っていたら、案の定ソレはやってきた。
「おい奥村ぁ!! 明日からお前、○×の担当な!」
非常に高圧的な言い方だ。俺の頭のスイッチが入る音がした。
「嫌だ。断る。」
「あ? 何だと?」
「だから、い・や・だ。」
考えてみりゃあ、無茶苦茶な発言なんだが、これはもう理屈でも何でもねえの。
それで……待て、次回!!
(次回は8月3日掲載予定です)
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イラスト/桜玉吉
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