公私ともに転機カミング!!【O村の漫画野郎#11】

奥村勝彦
公開日時

 秋田書店の漫画編集者を経て、元『コミックビーム』編集総長もつとめた“O村”こと奥村勝彦さんが漫画界の歴史&激動の編集者人生を独自の視点で振り返る!

公私ともに転機カミング!!

 あー。そんで月刊チャンピオンでの楽しい日々が続いたワケだ。編集部自体の雰囲気も良かったもんで、ジワジワと結果がついてきた。

 その中で代表的なのが、やっぱ『クローズ』だろうな。でも、当時はコミックスを出す度に部数が積みあがっていたんだけども、ドカーンと売れたワケじゃなかったんだよ。著者の高橋君がクレジットカードの審査で落とされたって嘆いてたくらいだもんな。

 当時はまだまだ漫画家の社会的評価なんざ、そんなもんだったからね。ただ、それまでの不良は学ラン(もしくは特攻服)だったのが、この漫画の出現でスカジャンに一気にトレンドチェンジしちまった。バイオレンスシーンも革新的だったし、ここまでカリスマ性を持った漫画になるのは当然だったんじゃねえかな。


 あ、そうだ!! 月刊に配属される前に俺、結婚してたんだった!! まあ、その辺のこと、クチャクチャ書くのはナニなんで、なんで結婚したのかってえ動機だけ説明する。

 ある日、下宿で寝転がってアホみたいに考えてたら、自分がこのまま歳を重ねていって、気づけば50近くになって、そのまま死んじゃうイメージが浮かんじまった。確かに仕事は充実してたけど、これじゃ面白くねえな、なんて考えちまった。

 んで、頑張って結婚!! 結婚式じゃ、新郎の俺と仲人の壁さんがガンガン酒をくらってベロベロ……ま、いいや。


 てな感じで、その後も平和な日々が……続くワケなかった。ある日、夜中に大西さんから電話で呑み屋に呼び出された。なんじゃらホイって、店に入ると、シリアスな面持ちで壁村さんと大西さんがカウンターにいた。


 だいたい、こんなシチュエーションってえのは、組織的に大きな動きがあって、それの内示が行われる場合が多い。間違っても素敵なバラの花束を貰ったりしない。いらんけど。


 話を聞いてみると、こないだヤングチャンピオンを創刊したのに、またも新しい青年誌を創刊するという。編集長は大西さんで、なんで俺を呼び出したかってーと、正直極まりなく、会社員的倫理感が著しく欠落した俺の素直な意見を聞きたいという。


 当時はヤンジャン、ヤンマガ、スピリッツ、モーニング等の青年誌が花盛りであり、そこに参入するのが遅れた秋田書店が、ラインナップを強化するってーことだったみたい。


 数秒考えて、俺は正直極まりねえ意見を語り………待て!! 次回!!

(次回は8月17日掲載予定です)

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イラスト/桜玉吉

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