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都庁へ出撃!!【O村の漫画野郎#29】

奥村勝彦
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最終更新

 秋田書店の漫画編集者を経て、元『コミックビーム』編集総長もつとめた“O村”こと奥村勝彦さんが漫画界の歴史&激動の編集者人生を独自の視点で振り返る!

都庁へ出撃!!

 あー。年4回のファミコミの期間はアッという間に過ぎちゃった。漫画家とヒジョーに余裕のある打ち合わせをやりつつ、ヒロポンが企画したアホみたいなバカ記事に参加したりしてたら、ホントにアッという間だった。


 しかしよー、あの頃のヒロポンはホントに無茶苦茶だった。

 アミーゴの漫画の中で地球防衛隊という組織が結成され、そんでヒロポンが、その組織の嘘解説記事をカラーページで特集にした。内容は彼がイイカゲンに妄想しまくった内容であったが、問題は何故か俺に来た依頼である。


 とりあえず、彼は同じアスキーの友人からオープンカーを借りてきて、その車に地球防衛隊のステッカー(雑誌のオマケで作った気色悪いシロモノ)を、車中に貼りまくり、それに乗れと言う。

 んで、ヤクザみたいなカッコして、日本刀(模造刀だぞ当然)を持てと言う。さらにその状態で東京都庁の前に乗り付けて、日本刀を振り回せと言う。


 一体、それが何の意味があるのか、一切説明は無し。まあどうせ聞いたところで、マトモな理由なんぞ有るワケもねーので、あきらめてハラをくくって出撃した。


 そんで都庁前までワケのわからないステッカーだらけの車でやってきたのは良かったが、なぜか機動隊の装甲車が何台も止まっていた!!

 ……あ、そういや前日、都庁に爆発物が送られてきてケガ人が出たんだった!!

 現場に来てから、かなり重要なことを思い出したが、もう遅い。さすがに都庁の正面で撮影したら、機動隊にボコボコにされ新聞ザタになるのは間違いないので、なんとか機動隊の連中に見つからない角度で頑張って撮影して、逃げるように帰ってきたのだった。

 オマケにその後、気色悪いステッカーを車からはがしたワケだが、思った以上に粘着力が強かったらしく、塗装がワヤになった。結局、全塗装するハメになり、数十万円請求された。


 だが、そんなドタバタはどーでもいい(良くはねえけど)、俺が一番悲しかったのは、その記事のゲラが上がってきた時だった。

 あんだけ、リスクとコストを負って撮影した写真の扱いが思った以上に小さく、しかも記事の内容的にもべつに無くてもいいような感じだったことだ。……いやまあ、改めてアスキーってとんでもねえ社風だったんだなあ、って実感したぜ。昔、UFOを研究する部署が存在したらしいが、それも納得である。


 ……などという洗礼を浴びつつ、1年間が過ぎ去ろうとしていた。……待て!! 次回!!

(次回は1月11日掲載予定です)

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イラスト/桜玉吉

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