ビーム出現!!【O村の漫画野郎#30】
- 文
- 奥村勝彦
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秋田書店の漫画編集者を経て、元『コミックビーム』編集総長もつとめた“O村”こと奥村勝彦さんが漫画界の歴史&激動の編集者人生を独自の視点で振り返る!
ビーム出現!!
あー。そんだこんだで、1年後の旗揚げを目指して、シコシコやってたファミコミなんだけれども、その直前になって、新たなニュースが入ってきた。
同時期に月刊漫画誌として先行していたアスキーコミックを休刊して、我々と合流し、新雑誌へ移行するってえ事になるらしい。
正直言って、俺は大丈夫かなあ……と思ったのよ。別に内容的なコンセプトとか、人材的な問題で、そう考えたワケじゃねえの(そもそも向こうの編集部のことは何にも知らんかったからな)。単純に向こうの編集部は10人近い人数が居たからだ。
つまり、月刊誌で10数人の人間を食わそうとするには、相当な無理があるのだ。その場合、最低でも毎月5~6冊の単行本を出さなきゃいけない。それも、そこそこ売れてるタイトルでね(1万5千部以上)。
イチから始めて、その状態に持って行くのは、ほとんどムリに思えたからだ。そもそも大体、500ページの雑誌なら、毎月単行本2~3冊出すのが限界。かくして現在、月刊誌は1000ページ近い電話帳みてえな雑誌だらけになっちゃったのね。
でもまあ編集長でもねえし、そこまで気にするこたあねえか、って思い直して現場に集中することにした。ゼニ勘定に頭を使うのは、まだ先の話だろうと思ってたからなあ。
んで。かなり大所帯になった編集部で、新雑誌の名前を決める段取りとなった。色んな名前を、みんなで出し合って会議で決めようって話なんだわ。
結局、40ほどの候補があったような気がするけど、ほとんど覚えてない。採用されてない中で唯一覚えてるのが、「兄貴と俺の宝物」というのだけだ。もちろん、考えたのはヒロポンであるが、悪ノリしてコイツに決めてたら、仕方なしにゲイ漫画雑誌になってたろうなあ。
そこで結局、決まったのが「ビーム」!! 確か金田一君が出したと思うけど、ファミ通のコーナーでビデオゲーム通信というのがあって、それを非常に乱暴に省略してビーム通信って呼んでたのを、頂いたっちゅう寸法だ。
もちろん、コッチはビデオゲームなんて一切関係ねえけど、こんなもん響きとリズムが全てである。なんか未来的な気もするし、アスキーっぽいし、覚えやすいじゃねえか!! いいねえ、ビーム!! 俄然やる気が出てきた俺であった!! まあ、そんな個人的勢いは長くは続かなく……待て!! 次回!!
(次回は1月18日掲載予定です)
O村の漫画野郎 バックナンバー
イラスト/桜玉吉
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