取材三昧!!【O村の漫画野郎#31】
- 文
- 奥村勝彦
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秋田書店の漫画編集者を経て、元『コミックビーム』編集総長もつとめた“O村”こと奥村勝彦さんが漫画界の歴史&激動の編集者人生を独自の視点で振り返る!
取材三昧!!
あー。ビームはついに立ち上がった!! そらもう立ち上がった!! TVのCMもやった!! 確か「コミィ~ックビーム♪ コミィ~ックビーム♪ 漫画とゲームがドッキング~♪」とかいうCMソングだったよーな気がする。
まだ少しゲーム原作もあったけれども、わざわざCMで歌うようなもんじゃねーだろ、と思い、嫌がらせで担当者であるヒロポンに聞こえるように「コミィ~ックビーム♪ コミィ~ックビーム♪ チン○とマン○がドッキング~♪」と歌ってやったら、マジで嫌な顔をしていた。
もっとも、俺はそのCMをTVで1回も観なかったけどもな。アレ、本当にオンエアされとったんかしらん?
そんで本業の編集仕事なんだが、ファミコミの時からエンジン全開でブン回してたもんだから、どっさり連載を抱え込んだ。雑誌の総ページの過半数は行ってたはずだ。
だけんども、こちとら週刊、隔週、月刊誌を、ひとつの編集部でやってたトコから来たもんだから、なんてこたあ、なかった。やっぱ正直言うと、スタートはハードな環境の方が、絶対にいい。その方が長い目で見れば、仕事量的には圧倒的に差が出るもんなあ。
ただまあ、鈴木みそさんの「オールナイトライブ」、須藤真澄さんの「おさんぽ大王」でルポ&旅漫画が2本、渡辺浩弐さんのコラム「マル珍メディア紀行」、それから、これは俺が担当じゃなかったけど、取材には参加していたアミーゴの「防衛漫玉日記」。
結局、毎月4回取材せにゃならんかった。コッチは結構キツかったなあ。半年ぐらいは、どーにかやれたけれども、そっから先は、ほとんどスッカラカンになったからなあ。いや、取材自体は大好きなんだぜ。
んじゃ、その取材の中で面白かった逸話を、紹介していこうか。
●「防衛漫玉日記」(桜玉吉)
ファミコミ時代は「トル玉の大冒険」ってタイトルでやってた実話ベースのお笑い漫画で、やってることは全く同じ。毎回、別にやらんでもいいだろうにマジで実体験してた。
高所恐怖症なのに無理矢理バンジーやらされた。参加人員で恐怖症は俺だけだったので、確実に俺に対しての嫌がらせである。前に並んでいた女がギャーギャー10分以上泣き叫んでいて、「好きでやって来て何やっとんじゃ!! こちとらなあ……」と思いつつ、順番が来て鉄塔のてっぺんから地上を見たら、無茶苦茶高い。下のエアバッグがマッチ箱にしか見えない。
マトモに飛ぼうとしたら、俺も20分ぐらい泣き叫んでしまいそうなので、ヤケクソになって飛び降りたけど、あんなもん2度とやらねえぞ。玉吉の友人であるサイバー佐藤さんは、すごく楽しそうに「今度は後ろ向きに飛んでみよー」とか言って2回飛んでた。信じられねえ……。
くそ寒い中、早朝に氷上でワカサギ釣りやら、漁船に載せられたりして、俺は全く釣れなかったけど、それはまだマシで三半規管がダメで乗り物に弱いヒロポンは、いつも青い顔してゲーゲーしてた。
んで、俺がヘロヘロになって宿で先に寝てたら、イビキがうるせえってんで、アミーゴに枕を顔面にぶつけられた。基本的にお笑いのネタを取材する時って、不思議なことに実際はギスギスしちゃうのね。そっちの方が出来た漫画が面白かったりする。
なまじ楽しい雰囲気で進行しちまったら、かえってつまらない仕上がりになるのね。不思議なもんだよなあ……残りは待て!! 次回!!
(次回は1月25日掲載予定です)
O村の漫画野郎 バックナンバー
イラスト/桜玉吉
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