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おさんぽは楽し!!【O村の漫画野郎#32】

奥村勝彦
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最終更新

 秋田書店の漫画編集者を経て、元『コミックビーム』編集総長もつとめた“O村”こと奥村勝彦さんが漫画界の歴史&激動の編集者人生を独自の視点で振り返る!

おさんぽは楽し!!

 あー。取材ってえのは、いいもんだ。日頃、自宅で籠っている漫画家と会社で事務仕事やってる編集者だけじゃあ、どうしても世間が狭くなっちまうからなあ。

 んじゃ、前回の続きいってみよー!

●「おさんぽ大王」(須藤真澄)

 元々、チマチマした手芸の大好きな須藤さんと、手芸の聖地・東京日本橋で取材した時に寄った「ボタンの博物館」。

 モノがボタンだけに、こじんまりしたシックな博物館だったが、平日だったために客はワシら2人の貸し切り。ヨーロッパの精緻なボタンをチマチマ眺めていたら、親切な係員さんから、「ボタンの歴史のビデオを観ませんか?」とのお誘いが。

 もちろんネタになるなら、何でもOKな我々は観ましたとも。そしたら、冒頭でイキナリ夜の星々の画像に壮大なBGMが流れ、「宇宙~」なんてナレーションが、おっぱじまったので驚いた!!

 結局、それは大昔のボタンに、彗星の模様が刻印されてたのがあるって話だったんだけど、ビデオ制作者の「どーせ、オノレらボタンのビデオだってんで、ナメてるやろ。それやったら一発、ド頭でかましたるわい!!」という意図が見えちゃって、笑えてきてしょうがなかったなあ。


 次は大阪のワールド牧場内にあった(今はありません)「河内音頭ドーム」!! 熱心な河内音頭ファンである須藤さんと、その本場へ取材!!

 そこのウリは、1年中河内音頭を踊れるってトコなんだが、あんなもん年1回だから楽しいんであって、1年中踊りたいヤツなんているのかしらん? という心配をしてたんだが、それは見事に的中した!!

 またもワシらの貸し切り状態!! シーンとした場内、なぜか始まる猿回し!! おそらくかつてヤンキーであった姉さんが、猿を連れて登場したんだが、明らかに猿の調教が足りていない。

 ちっとも言う事を聞かないエテ公、若干キレ気味のヤンキー姉さんが可笑しくてさあ……あげくにはウンコするエテ公!! なまじ、上手く芸をされるより、コッチの方が圧倒的におもろい。


 んで、河内音頭。このようにほぼ客の居ない状況で、どーすんだろ? ってドキドキしながら待っていた。そしたら、お馴染みの河内音頭が鳴り出し、ゲートからバッチリ衣装をキメまくったお姉さんが笑顔で元気よく踊りながら登場してきた…………たった1人で。

 「さあ踊りましょー」って言われたけど、そんなもん泥酔寸前まで酔っ払ってなきゃあ、こんな状況で踊れるワケがない。

 いたたまれぬ気持ちで、たたずむ2人。その時、俺はかつて池袋演芸場で、客は俺だけで芸人さんとマンツーマンになり、全身から脂汗が出た経験を思い出していた(芸人さんから、お客さん絶対に帰らせないよ~~って言われた)……あら、もう今回は終わり? 待て!! 次回!!

(次回は2月1日掲載予定です)



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イラスト/桜玉吉

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