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絶望にまみれたダークストーリーの誕生秘話と副作用(ネタバレ控えめ)【オクトラ大陸の覇者シナリオ秘話インタビュー1】

タダツグ
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 スクウェア・エニックスのiOS/Android用RPG『OCTOPATH TRAVELER(オクトパストラベラー) 大陸の覇者』の開発者インタビューをお届けします。

 本作が2月4日に配信100日を迎えたことを記念し、開発ディレクターの鈴木裕人氏とメインシナリオを担当された普津澤画乃新(ふつざわ かくのしん)氏へのインタビューを、複数回に渡ってお届けします。

  • ▲開発ディレクターの鈴木裕人氏。
  • ▲メインシナリオを担当した普津澤画乃新氏。

※ストーリーのネタバレが含まれますので、ご注意ください。

人間不信で電車にも乗れなくなった? 心の闇を描くストーリー、生みの苦しみとは

――本作にはさまざまな魅力が詰め込まれていますが、とくにストーリーを楽しみにプレイしているユーザーが多いと思っています。シナリオを作る過程で最も意識したこと、大切にしているものはなんでしょうか?

普津澤:最も意識したことは“人間の内面をリアルに描くこと”ですね。本作のシナリオを制作するにあたって“人間とはなんぞや”ということをあらためて考えるため、自分自身の内面を見つめなおしたり、人間観察をしたりしました。

 そうしてたどり着いた結論は“人間は欲深くて醜く汚いものなんだ”ということ。これをユーザーさんにしっかりとお伝えすることが、僕が最もこだわった部分ですね。


――インタビュー冒頭からめちゃくちゃハードなご返答が(笑)。ただ、普津澤さんがおっしゃるとおり人間の醜い部分はこれでもかってほど盛り込まれていたので、納得しかないです。むしろ、ドロドロした部分があるからこそ人間の心の美しさが輝くというか……。そういった二面性なども意識された部分なのでは?

普津澤:醜い部分ばかりではなく、人間の心の美しさももちろん盛り込んでいます。エンターテイメントとはそうあるべきだと思いますし、僕自身、人間を信じたいと思う気持ちはもちろん残っていますので(笑)。

 醜いものが克明に描かれているからこそ美しいものが映えるという側面はありますし、そこは演出として意識しています。

――なるほど。……でも、お言葉を返すようで恐縮ですが、“名声を極めし者”編に限っていえば、心の美しい人間なんて誰かいたかな……って気持ちになっているのですが(苦笑)。

普津澤:たしかに。“名声を極めし者”はアーギュストをはじめ、人間の暗部ばかりにスポットを当ててしまっていますからね(笑)。

 ただ、僕は『オクトパストラベラー』というシリーズは“いろいろな人物を主人公としたさまざまな物語が楽しめる”のが特徴のひとつであると考えているので、どのストーリーもすべて同じ読み味になるのは避けたかったんです。

 なので“名声を極めし者”ではアーギュストという人物のサイコキラーな側面を前面に押し出し、サスペンス的な物語が展開する一方で、“富を極めし者”では町に薬をばら撒くヘルミニアという諸悪の元凶と、それに立ち向かうバルジェロ一味という善悪の対比を主軸に物語を構成するなど、読み味をシナリオごとに変えています。

 まあ、バルジェロたちも生粋の正義というわけではないんですけど(苦笑)。

――“富を極めし者”には正義や友情といった、少年コミックにも通じる“王道”が描かれており、“名声を極めし者”とは全然読み味が違いましたが、そういう演出的な意図があったとは。

普津澤:しいていえば、フランセスカに四葉のクローバーを運んでくれるミハエル君は心のきれいな人間だと思いますけどね。

――ああ、そうだ。ミハエル君がいましたね! 彼はたしかに癒しでした。“名声”編で唯一の。

普津澤:そんなミハエルを眺めながらアーギュストは“子どもは人間としては不足だ”と口にするわけですが(苦笑)。

 アレは幼い頃はピュアな人間でも、成長するにつれてどうしても醜く汚い部分が心の中に広がっていってしまうよね、という含みを持たせて書いたセリフです。

――ある種、逆説的ですね。アーギュストがいうように、心に欲望などの醜さを抱えているからこそ人間であると定義するなら、ミハエルのような子どもは人間として未完成といえなくもないわけで。あのセリフにそんな意図が込められていたとは、普津澤さんがどんな心理で物語やセリフを構築していったのか興味がわいてきます。

普津澤:心にダメージを負いながら書いていました(苦笑)。

鈴木D:その代償というか、人間の醜い部分ばかりに目を向けすぎて、電車に乗れなくなったというエピソードもあるくらいでしたもんね……。

――電車に乗れない? それはどういう意味でしょう。

普津澤:はい……人の心の闇を追いかけた結果“人間って嫌な生き物かも……”という思いがどんどん強くなってしまったんです。

 当時の僕には、電車で席を取り合う様子も人の悪意がぶつかり合うように見えてしまって……それぞれの事情があるかとは思うんですが。キツくなってしまい、免許を取って車通勤に変えました。

――人間不信の一歩手前じゃないですか! ご自身ももらってしまったというか、本当に身と心を削りながら生み出されたストーリーなんですね。

普津澤:いろいろありましたが、今はおかげさまで穏やかな心で仕事できていますのでご心配なく(笑)。

鈴木D:その節は本当にお疲れ様でした……。普津澤が魂を削りながら人間心理をとことん突き詰めて書いてくれたおかげで、本作のストーリーはとても素晴らしいものになったと思っています。

 CS版の『オクトパストラベラー』とシナリオが芯の部分で統一を図れているのは、彼がメインシナリオを担当してくれたからこそです。

『オクトラ』シナリオ秘話インタビュー

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OCTOPATH TRAVELER 大陸の覇者

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応端末: iOS
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2020年10月28日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

OCTOPATH TRAVELER 大陸の覇者

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応端末: Android
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2020年10月28日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

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