田中公平さんと日髙のり子さんの記念対談その1。業界レジェンドが語る活動40周年の軌跡とは!?

電撃オンライン
公開日時
最終更新

 作曲家・田中公平さんと、声優・日髙のり子さんのスペシャル対談をお届けします。

 今なお高い人気を誇るOVA『トップをねらえ!』や名作ゲーム『サクラ大戦』など数多くの楽曲を手がけてきた作曲家・田中公平さんと、『タッチ』や『らんま1/2』といった名作アニメでおなじみの声優・日髙のり子さん。

 ともに活動40周年を記念した企画として、対談を実施。その模様をお届けします。エンタメのみならず、各方面の第一線で活躍を続けられているレジェンド級のお2人によるトークは、ファンならずとも必見の内容となっています。

 インタビューは4日連続で公開されるのでお見逃しなく。

記念対談まとめ

レコーディングに来る資格は120%を出せること

――まず、お2人が知り合いになられたきっかけは?

日髙:『トップをねらえ!』の練習ですね。レコーディングの前にお稽古をしたんですけど、公平さんがピアノを弾いてくださって、レッスンを受けた感じですね。

田中:その時はまだキーも決まっていなかったんだけど、日髙さんが歌うって分かったのでキー決めしたんだよね。

日髙:それもあってのレッスンだったんだ!?

田中:そうそう。それで佐久間レイさんと2人でいらっしゃって……。

日髙:すごいですよ、ちょっと世代は違うけど『レッツゴーヤング』サンデーズコンビが2人も揃って。レコーディングの本番の時しか作曲家の先生とはお会いしないのが多い中、「キーは上がこのくらい、下がこのくらいまで」ってお伝えして、すごく丁寧に作っていただきました。

田中:それは昔からの私のポリシーで、レコーディングには全部行くし、キー決めの時も必ず行くことにしています。あとで変なことになるより、その方がいいじゃないですか。

日髙:変なことになるって(笑)。だから、結構無理して歌う楽曲があったりもします。

田中:あるんだ?

日髙:今日は何をするのかなと思っていたら「気楽な感じで歌ってみてよ」となったのですが、そういう機会がレコーディングの前にあるというのはとても珍しいことなんです。

 初めてのことだったので、すごくありがたかったですね。

田中:私としては「わっ、日髙だ! 芸能人が来た!!」って(笑)。

日髙:テレビに顔が出るお仕事を多くしていたので、そういう感じだったみたいです。『タッチ』もありましたし。

田中:その時、サインをもらおうかと思ったけど。

日髙:嘘をつくな。

(一同笑)

――その時のお互いの印象はいかがでしたか?

日髙:作曲家の先生が待っていらっしゃると聞いたんですけど、ものすごく気のいいお兄さんがポロポロとピアノを弾いていらしたので、「先生はこれから来るのかな?」くらいの気持ちでした。

田中:35年くらい前だよね。あの時から2人とも全然変わってないよね。

日髙:確かに。印象が変わらないですよね、やっぱり。

田中:見た目とかは私は老けたし。

日髙:それはお互い様!

田中:でもずっと一緒だよね。そのオーラだったり、機嫌のよさだったりはずっと一緒。

日髙:それまでは歌となるとやっぱり緊張していたんですよね。『レッツゴーヤング』時代は歌唱指導で怖い先生もいらっしゃったのでどうしようと思っていたんですけど、フレンドリーでいい意味でビックリ。

田中:「普通に歌っていただければ大丈夫ですよ」ってね。

日髙:「大丈夫、簡単簡単♪」って、そういう感じだったんですよ(笑)。気を楽にさせてくれる雰囲気でとても好印象です。

田中:そうやって乗せていくの。『サクラ大戦』でもそうだった。と言いながら、私はわりと酷いことを要求するんですよね。

日髙:あははははは(笑)。

田中:歌でも相当難しいことを要求しますしね。

日髙:『トップをねらえ!』の時はそうでもなかったんですけどね。

――『サクラ大戦』の時はどうだったんですか?

日髙:厳しかった!(爆笑)

田中:特訓をいっぱい課したからね。

日髙:『御旗のもとに』のレコーディングの時は大汗かいて大変でした。靴とか脱いじゃって汗だくで歌うみたいな感じだったんですよね。

田中:2番終わった後のソロパートあるじゃない? あれ本当に渾身のテイクなんだよ。すっごい、一回「出た!!」という感じなんだよ。

(一同笑)

日髙:正直すぎるわ!(笑)

田中:「やっと来ましたか!?」っていう感じだったもの。

  • ▲『サクラ大戦3 ~巴里は燃えているか~』
  • ▲『サクラ大戦4 ~恋せよ乙女~』

日髙:『祈り』の時もすごく高くて、そのキーは地声じゃ出ないと言ったのに公平さんが「出た!」っていう瞬間があって、そんな神がかったワンテイクです。

 よく「神が降りてくる」とかあるじゃないですか? 神が私に同情して、そろそろ行ってやろうかみたいなのがあるんですよ(笑)。

田中:『未来(ボヤージュ)』の途中のね「こころ~に、吹く~風は」って、あのテイクだって最高だった。以来まだ、あのテイク超えてないもの。

日髙:本当に正直すぎるんですよ!(笑) レコーディングってキャラクターで歌っているので、ファルセットとかを使うと17歳の少女が急に大人になっちゃったりするんですよね。なるべくセリフをしゃべっている声でいきたいというのがあるので、千本ノック的にその歌詞を歌う感じになるんです。

田中:まあ、エリカさんはぶっ飛んだキャラだからね。

日髙:そんな元気なエリカがファルセットで逃げて弱々しく歌うとキャラクターから外れますよね。だから、何でも根性があれば何とかなるって思っているようなクセが付いちゃいました(笑)。

田中:昔から「努力と根性」だもんね。

日髙:絞り出すとか、捻り出すとか。

田中:「奇跡は起きます、起こしてみせます」ってね。

日髙:そうそう、「日髙に対して奇跡を起こしてみせます」っていう(笑)。その奇跡が『御旗のもとに』で出て、聞いてくださった方たちも「すごく鳥肌が立つ」と評価してくださった。

 おそらく普通に歌っているのではなくて、恐ろしいくらいの熱意とか情熱とかいろいろなものが入ったのでしょうね。それが聴いている皆さんに届いて鳥肌が立つんじゃないかなと。

田中:舞台は100回歌ったら80回くらいはOKのレベルで歌わなければいけないんだけど、レコーディングは一生残るので、1,000回歌って1回録れればいいんですよね。

 だから私はちょっとでも鼻声で来られたりしたら「はい、今日は止めましょう」って言っています。あとで「この時、風邪だったわ」なんて言うのはつまらないでしょ?

日髙:確かに~。

田中:その時に本気の100%じゃなくて120%を出していただかないとレコーディングに来る資格がないと思っています。ちょっと違う話になるけど、水樹奈々さんだって私のレコーディングでどれだけ弱音を吐いたか。

日髙:弱音を吐いたんですか?

田中:水樹奈々さんが渾身の歌唱を終えて「どうですかっ!?」って聞くから「うん、70点」と言ったらドッと脱力して。「奈々ちゃんなら120点出せるから」ってそれから30分くらいずっと同じことをやって最後のテイクを出して、やりきった顔で帰って行った。

 最後は「#$%&したっ!!(もはや言葉にならない「お疲れ様でした!!」)」って(笑)。

日髙:だから、田中公平さんのレコーディングは、みんな気合いで岩に穴を開けるみたいなそういうレコーディングになっちゃうんですよ(笑)。

田中:おかげさまでいいのが録れました。

日髙:振り返ってみるとそれが身についてしまって、私のレコーディング終わった後っていつもグッタリですよね。余力がない感じ、膝から崩れ落ちるみたいな。

田中:あ~、いいことですよね。

日髙:いいことなのかなぁ(爆笑)。

田中:いいことです! 私は「おはようございます」で膝から崩れ落ちたけどね、マラカスを振りすぎて。

日髙:いろいろありましたよね~。

 『サクラ大戦』はレコーディングもあるし、舞台のお稽古場に公平さんがいらっしゃるので、そういう意味では普段のアニメとかゲームのお仕事とは違うお付き合いの仕方になりますよね。

 音楽監督として現場にいらっしゃって、振り付けと歌のバランスだとかを見てくださるというのがあって、そういうお付き合いの仕方は『サクラ大戦』が初めてだったので貴重な体験でした。

――田中さんの日髙さんに対する第一印象はいかがでしたか?

田中:もう太陽ですね。私も同類なのですごく話が合って、いくらでもしゃべれるんですよ。5時間くらいしゃべるんですけど、絶対に帰ってから疲れるんですよ。

日髙:確かにね~、分かる。

田中:旦那さんも言っていたものね、「夫婦の会話の割合が1:9ですか?」って聞いたら「0:10です」って。

日髙:無口な人だと思っていたけど違ったのかな? 私がしゃべっていたからか!? アレ~?(笑)

田中:本当に機転が利いて時間配分もすごく考えてくれて、MCを任せても何の心配もないので、すごく楽ですよ。

 私のコンサートでもMCをやってもらいますけど、私は好きなことを言って茶々を入れていればいいだけ。

日髙:しゃべる方は全然お任せくださいって。でも、歌になると急に緊張してコチコチになります。「公平さん、こっちを見てニコニコしても、私は笑えないから!」って。

(一同笑)

日髙のり子さん最新情報

『デビュー40周年記念ライブ Dramatic Night』(12月1日に無料配信)

 日髙のり子YouTubeチャンネルにて、期間限定でアーカイブ配信中。

『40周年記念アルバム「Noriko Hidaka All Time Best~40 Dramatic Songs~」』
■発売日:2020年12月2日
■定価:3,800円(税別)
■品番:PCCG01953
■発売:ポニーキャニオン

デビュー40周年記念楽曲『ドラマ』配信中

 配信サイト一覧

2021年2月11日 ストリーミングライブ開催予定

 その他の詳細情報は、日髙のり子OFFICIAL WEBSITE(norikohidaka.com)で確認のこと。

(C)SEGA

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

関連する記事一覧はこちら