田中公平さんと日髙のり子さんの記念対談その2。親しくなったのは『トップをねらえ!』時代

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 作曲家・田中公平さんと、声優・日髙のり子さんのスペシャル対談をお届けします。

 今なお高い人気を誇るOVA『トップをねらえ!』や名作ゲーム『サクラ大戦』など数多くの楽曲を手がけてきた作曲家・田中公平さんと、『タッチ』や『らんま1/2』といった名作アニメでおなじみの声優・日髙のり子さん。

 ともに活動40周年を記念した企画として、対談を実施。その模様をお届けします。エンタメのみならず、各方面の第一線で活躍を続けられているレジェンド級のお2人によるトークは、ファンならずとも必見の内容となっています。

 インタビューは4日連続で公開されるのでお見逃しなく。

記念対談まとめ

親しくなったのは『トップをねらえ!』時代

――お2人が会うようになったきっかけは?

日髙:『サクラ大戦』に関してはゲームだけでなくショウとかもあって、OVAとかCDドラマとか年に何回かレコーディングがあるんですよね。レコーディングの時とか、取材を受ける時にご一緒したりとかで、お仕事で会う感じでしたね。

田中:プライベートでご飯食べに行ったりとかは全然なかったです。

  • ▲OVA『サクラ大戦 エコール・ド・巴里』

日髙:最近はむしろ『サクラ大戦』も一段落して、公平さんとご一緒させていただいているお仕事とかもない。会う機会がなくなってしまってから、1年に1回くらいご飯を食べに行くようになりました。

田中:やっぱり活動40周年が一緒なので。

日髙:そうそう、30周年コンサートにもゲストで行かせていただいたり、台湾に一緒に行ったりしましたね。

田中:台湾の国家音楽庁のメインコンサートホールって、日本人で出たのは久石譲さんと田中公平だけ。そこに日髙さんと井上喜久子さんが一緒という。

日髙:2人で『御旗のもとに』を歌ったりということをさせていただきました。

田中:台湾はまた行きたいですね。ご飯もおいしいし。

日髙:一番親しくなったのは『トップをねらえ!』のころだと思うんですけど。まだ私たちも若かったこともあって、私がやっているラジオ番組に庵野秀明さんとか公平さんとかがゲストで来てくださったんですよ。

 『はいぱぁナイト』という深夜放送を生でやっていたんですね。その時に公平さんが……。

田中:あれは酒飲んでいる時にいきなり電話がかかってくるから。

日髙:『トップをねらえ! 田中公平の世界』というアルバムが発売されて、そのお話をするのにご本人をお呼びしたら、本当にほろ酔いでいらっしゃったんです、生放送で(笑)。

 庵野さんは逆に、呼んでないのに遊びに来ちゃうの。それで控え室で「お腹が空いたからここでご飯頼んで食べてもいい?」って言うから「ココを何だと思っているんですか!!」って(笑)。

 『トップをねらえ!』が大ヒットしていたころだったので、庵野さんが来てくれればリスナーは大喜びだし、庵野さん自身もすごく乗ってくださいました。その時ラジオ番組だけの特別なあだ名を付けようってなったんですけど、庵野さんはよく口癖で「そそそそ、そそそそ」って言うんですよ。

 それと空母が好きということもあって、リスナーから募集したら“空母そそそそ”という名前が採用されちゃって、『ふしぎの海のナディア』の作詞のところには“空母そそそそ”と書いてあるんですよ(笑)。

――すごいですね。

日髙:なんて言うんでしょうね、番組を使って大人が本気で遊ぶみたいなことをしていて、そこでギュッと親しくなる。公平さんはご自身の初の名前が付いたアルバムだったので、「今回のアルバムはどんな内容になっているんですか?」って聞いたら、酔っているから「内容なんて何にもないよ~♪」とか言っちゃって、「それでいいんですか!?」って(笑)。

――ご一緒にお仕事をされてきたなかで、印象的だった出来事は?

田中:やっぱり『サクラ大戦』ですね。その前だと『チャイナさんの憂鬱』っていうOVAがあって、これもまたいい仕事でした。素晴らしい作品なんですよね。

日髙:原作コミックは鶴田謙二さんが描いているSFファンタジーですね。OVAでは私が主人公のチャイナさんの声と、主題歌とエンディングを歌っています。

田中:私が全部曲を書いているんですけど、日髙は……コレ言うとまた怒る?

日髙:公平さんの中で最大に気を遣った言い方。言葉遣いがちょっとくらいおかしくなってもいいから試しに聞いてみたいから、言ってみて!!(笑)

田中:え~と……日髙さんは言葉を表現するのがすごく得意なんですよ。だから、言葉を大事にしたいように曲を書きました。これがまず公式発言。

日髙:ははははははは(笑)。

田中:そうでないのは、“伸ばし”が苦手なんですよ。あんまり伸ばしすぎるとちょっとフラッとしたりする。だからこの曲に関しては、少しずつ言葉を切ったように曲を書いているんですよね。「手と…手を…あわ…せて」みたいな感じで。

日髙:ぽそっ、ぽそっと語りかけるように歌うみたいな感じでした。

田中:それができた時に「あ~~、日髙いいわ~~」って思ったの。さすが声優さんだし。

日髙:発音の粒立ちが特徴で、「手と」というのがキレイに出るんです。

田中:あの曲を「手ぇとぉ~~手ぇを~~あわ~~せ」みたいに書いていたら、いろいろと破綻が起きたかもしれない。

日髙:破綻!?(爆笑)

田中:コレ書いちゃダメよ? 公式発言までね。

日髙:全部書いていただいて、いっぺん怒られるというのもアリですよね(笑)。『チャイナさんの憂鬱』の「手と手を」の部分には配慮があったんですけどアレンジに配慮がないので。

田中:あれはね、キミが連れてきた人の仕事だから。

日髙:私が仲よくさせていただいている岸村さんというアレンジャーさんなんですけど……。

田中:変態なんですよ。

日髙:ち~が~う~!!(笑) 待って、私が言いかけてソコに落とすと、私が言ったみたいになっちゃうじゃない!

田中:それがいいね(笑)。

日髙:歌の入り口が全然分からなくて、曲が流れていつ歌い出せばいいのか分からない感じだったんですよ。すごくキレイなんですけれども、生で歌う時は本当にイチかバチかみたいな感じで難しかったです。

田中:彼が本当におもしろいのは他人がやらないアレンジをするところなので、私は野放しにします。そうすると、そういうことが起きるの。

日髙:本当にね、ビックリしちゃった。だから自分の中で「イチ、ニ、サン、シ……」ってテンポ数えながらでしたね。

田中:仙台で私がピアノを演奏した時はもう完璧に出てましたけどね。

 東日本大震災の後なんですけど、2人で仙台までチャリティに行ったんですよ。被災地を3カ所くらい回って、仙台でライブをして石巻まで行ったんですけど、それがもうドタバタ(笑)。

日髙:すべてが震災で流されてしまったところに行ったのですが、復興の象徴みたいなマルシェという場所があったんですね。そこはちょっとした食べ物とかも売っていて、市民の方たちがそこで心を癒やす。

 そこで屋外ライブをやってくださいということだったのですが、用意してあったキーボードが……。

田中:弾いてみたら3音までしか同時に出ないの。ドミソだったら出るんだけど、両手でジャンって弾いても3音しか出ない!

日髙:譜面を見ながら弾いていたんですけど、海のそばだったので風が強くて、私が歌いながら途中で譜面を押さえるという感じになっちゃっいました(笑)。

田中:そういうドタバタだったんだけど、子どもたちは喜んでくれたなあ。

日髙:その時は地元の方が喜んでくださるならば何でもやりたいという気持ちだったので、お客さんもスタッフの方々も喜んでくださったという、いい思い出ですね。

田中:あれは日髙さんだったからよかったんだよね。違う人だったら、そんなことまでやらないよね。

日髙:キーボードの前の譜面を押さえるということは、公平さんが正面を向いて弾いているので、私はお客さんにお尻を向ける形で歌っているわけです。「コレでいいのか?」って顔だけ横に向けるみたいな、すごく不思議な感じだったんですよ。

 あとは小さなカフェでもやりましたね。

田中:カフェモーツァルトね。40人くらい入る場所でした。

日髙:そこはちゃんとピアノが置いてあって屋内なので、安心して歌えるところでした。『サクラ大戦』だけじゃなくて『ワンピース』も歌ったり。

田中:いっぱい歌ったね。『炎の転校生』とかもね。地元のファンはみんな喜んでくれた。

日髙:そういうところに行くと、公平さんの気持ちはお客さんに楽しんでもらおうという方に行っているので、レコーディングや稽古場での鋭い視線とは全然違うんです。何があっても許してくれるような感じになっていて、譜面が飛ぼうが音を外そうが関係ないみたいな感じ。

田中:それでいいんです。失敗したらもう1回やればいい。うははは(笑)。

日髙:そういう意味では、お仕事の一面だけじゃなくて、いろいろな面を見ている感じはありますね。

田中:年中会っているわけではなくて、節々で対談があったり、公演があったりですが、そういうところではいっぱい語れることはありますよね。

日髙:それがちょっと印象に残るものばかりだったりするので、そういう意味では数にしたらそんなに会ってないと思うんですけど、なんとなくずっと一緒にやっている気持ちになりますね。

田中:僕ら作曲家ってその作品で友だちになっても、作品が終わったら会わないことがすごく多いんです。だから、日髙さんとは本当にご縁があるんですよ。

日髙:『トップをねらえ! ~Fly High~』を他の声優さんや他のアーティストの方と一緒に歌えば、この曲を歌うというところで公平さんのことを思い出したりするじゃないですか。「ガンバスタ~!」って歌っているのは公平さんなんだなとか、いろいろなことを思い出すんですよね。

田中:お金がなかったから私がやったんですよ(笑)。

日髙:そういうことも含めて、みんな若かったからこそいい作品を作ろうと工夫をしていた時代で、そこからご一緒している方たちってどんな風に成長されても、初心を忘れていないところがある。いつでもそこに帰れる感じがあるのが素敵な関係だなって思いますね。

 公平さんもヒット作いっぱい持って大作曲家だなとか、庵野さんもすごい有名な監督さんになられたなと思うけれども、一番最初の出会いを忘れてないので。

日髙のり子さん最新情報

『デビュー40周年記念ライブ Dramatic Night』(12月1日に無料配信)

 日髙のり子YouTubeチャンネルにて、期間限定でアーカイブ配信中。

『40周年記念アルバム「Noriko Hidaka All Time Best~40 Dramatic Songs~」』
■発売日:2020年12月2日
■定価:3,800円(税別)
■品番:PCCG01953
■発売:ポニーキャニオン

デビュー40周年記念楽曲『ドラマ』配信中

 配信サイト一覧

2021年2月11日 ストリーミングライブ開催予定

 その他の詳細情報は、日髙のり子OFFICIAL WEBSITE(norikohidaka.com)で確認のこと。

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