田中公平さんと日髙のり子さんの記念対談その3。お互いに聞いてみたいことは?
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作曲家・田中公平さんと、声優・日髙のり子さんのスペシャル対談をお届けします。
今なお高い人気を誇るOVA『トップをねらえ!』や名作ゲーム『サクラ大戦』など数多くの楽曲を手がけてきた作曲家・田中公平さんと、『タッチ』や『らんま1/2』といった名作アニメでおなじみの声優・日髙のり子さん。
ともに活動40周年を記念した企画として、対談を実施。その模様をお届けします。エンタメのみならず、各方面の第一線で活躍を続けられているレジェンド級のお2人によるトークは、ファンならずとも必見の内容となっています。
インタビューは4日連続で公開されるのでお見逃しなく。
記念対談まとめ
お互いに聞いてみたいことは?
――これまでに聞けなかったことで、聞いてみたいことはありますか?
田中:声優さんってオーディションいっぱい受けなければいけないけれど、日髙は日髙として受けているの? それとも役に合せていく方なの?
日髙:役に合せていきます。オーディションを受ける時に、例えば原作を読んでいてキャラクターの声が頭の中に流れたら、自分がイメージした声に寄せていくという感じですね。だから想像どおりに声を出すのがなかなか難しくて、なじむまでにすごく時間がかかったりとかはあります。
田中:ジャンはすごく苦労しただろうけど、芸幅は広まったよね。
日髙:確かに。でも、『ふしぎの海のナディア』のジャンがすごくうまくいったのは、その前に『ピーターパン』を1年間やっていたからというのもあるんです。
田中:なるほど! 私はナディアをやるものだとずっと思っていました。
日髙:ああ、それをずっと言っていたものね。また公平さんと一緒だと思ったら……。
田中:私がその前にNHKで1年間『秘密の花園』というのをやっていたんですよ。だから、NHK側から大河ドラマみたいに2年続けてやってはダメだと言われてペケになったの。それで、「鷺巣詩郎くんならいいんじゃない」みたいな話をしていて、『ふしぎの海のナディア』の作曲は彼になったわけです。
『我らの万能潜水艦ノーチラス号』とか『たびたちのうた』とか、書いてはいるんですけどね、もし私が『ふしぎの海のナディア』をメインで担当していたら、もっと歌を作っていたと思います。
日髙:壮大な曲が生まれましたよね~。
田中:日髙さんに関しては日髙のり子というすごい個性があるじゃないですか? それでずっと押し通していくのかと思うと、「やっぱりちゃんと変えているんだ、すごいな」と感じます。
私がこの業界に入った時、渡辺宙明先生に言われたんですよ、「キミみたいなちゃんとした人が来てくれてよかった」と。同じように私は、日髙さんが声優として来てくれて本当によかったと思っている。中川翔子さんもそうなんだけど、あなたたちがこの業界に来てくれて世界が広がったんですよ。ボクにとっては大功労者です。
日髙:『タッチ』の初期のころは「へただ」と言われることも多かったんですけど、『となりのトトロ』くらいの時に「急にうまくなったね」と言う人もいました。自分としてはやっていることは変わらないんだけど、思い描いたものをそのとおりに出せるようになったのが『となりのトトロ』のころだったのかも知れないです。
田中:“自分の中の日髙”というものを操縦できるようになったのね。
日髙:そうなんです。『タッチ』のころは当たりハズレが結構あって、「すごくうまい時とすごくダメな時があるのはなぜ?」と言われた時に「ああ、痛いところ突かれたな」と感じました。
キャラクターと重なって自在に動ける時があれば、どんなに頑張ってもキャラクターとの距離が空いてしまう時もある。そんなに近づけなかった時のオンエアを見ると、思わずテレビを消しちゃうこともあったんですよ。
田中:そうなんだ?
日髙:自分の中で思ったとおりにできるようになったということから、演じ分けができるようになったのかもしれない。
――日髙さんから田中さんに聞いてみたいことは?
日髙:公平さんって朝早く起きて、すぐにお仕事をされる。ある意味で、ものすごく規則正しいんですよね。
田中:曲を書けるんですよ、私。今日書かなければいけない曲は書けるんです。「書ける!」って決めているんです。
日髙:自分で決めたことは曲げずにやるってすごく素晴らしいことなんですが、私にしてみれば、毎日規則正しくそれをされていることが信じられないというか、「疲れないのかな?」と思っちゃうんです。
田中:疲れないよ。私は、ほとんど休まない人なんですよね。休みの日は何をしていいか分からない時があるくらいで(笑)。
日髙:え゛ぇぇぇ~!? 私は休み、好きですけど……。
田中:皆さん、好きですよね。私は365日、作曲家です。「休みの時はどうしようかな、じゃあ勉強しよう」とYouTubeを見たり、曲を聴いたりしているよ。
日髙:そんな風に人って生きられるのかなと思いますね。なかなか曲が出てこなくて苦しかったことってありますか?
田中:ありますけど、必ず出てくるんです(笑)。「曲ができなかったらどうするんですか?」という質問があるんですよ。鷺巣くんと2人で同時に答えたのが「出てきます。出てこなくなったら辞めます」って。
それはもう過去の自分よりいいモノが出てくると信じている。
日髙:その信じる力がすごく強いんですよね。
田中:天才だと思っちゃダメなんですよ、絶対に。天才だから出てくるんじゃないんですよ。“すごく頑張るから出てくる”んですよ。
日髙:秀才タイプなんだ。
田中:鷺巣は天才だと思うけどね。私は神様に作曲だけをやれと言われているので、そのために毎日を生きている感じですね。それが使命だと思っています。
日髙:スゴイな~~と思う。
田中:別にすごくはないですよ(笑)。おもしろくない人生かも知れないけど、一直線だもの。
日髙:一直線ですね。私は声優をやったり、ナレーションをやったり、番組パーソナリティをやったり、いろいろなことが楽しい。だから決められたセリフをしゃべっていれば今度は自由にしゃべれる場が欲しいと思うし、自由にしゃべれる場ばかりやっていると決められたセリフをしゃべってみたいと思うし、つねにない物ねだりをしている感じですね。
バラエティに富んでいる方がワクワクする感じがあるので、私が一直線だったら息が詰まって悩みすぎて、穴を掘って「ワ~ッ!」って叫びたくなるかもしれない。
田中:それは人の生き方なので、それぞれでいいのです。私と日髙さんってすごい似ているんですよ。いつでも機嫌がいいじゃん?
日髙:なんていうか、仕事は楽しくやりたいという気持ちがすごく強い感じですね。
田中:そう、楽しくやった方がいい。真剣な顔をしてやっている人もそれはいいんですよ。苦虫をかみつぶしたような顔をして曲を書いていてもいいし、すごいおもしろいって思いながら曲を書いていてもいいんです。
日髙:じゃあ、「これはすごいおもしろい!」って書いたけど、「でも一般には受けないかも知れない」と止めたものはありますか?
田中:よくあります。私が何で劇伴を早く作り終えるかというと、レコーディングまでの3週間くらいの時間でもう一回見直した時に、止めようとかできるからなんです。
日髙:公平さんが自分で楽しいと思って作る曲はすごく難しそうなイメージ。
田中:うん、むっちゃ難しい(笑)。それは歌手に合せるので、「日髙さんならこれくらいのレベル……のちょっと上」と想定して書くんですよ。
日髙:そうそうそう、その愛情がいらないんだけどね。
(一同笑)
日髙:「成長してほしいと思うから、実力よりもちょっと難しいのにした」って言うんだけど、私は「あ~、楽しい楽しい♪」ってやりたいから、1回くらいは据え置きの曲でいいです。「ちょっと上にしておいたから」と言われて、心の中で「その愛情は必要な~い」っていつも思ってる(笑)。
田中:そうか~(笑)。
日髙:あのね、私だけはいらない! 他の人にはしていいので。
田中:わかりました、今度新曲を作る時にはそうします。
日髙:そうしたら、もしかしたら「楽し~い!!」ってキラキラがいっぱい入るかも知れないじゃないですか。
田中:なるほどね、それはあるよね。『エリカおはようダンス』みたいなの録ろうか?
日髙:そう! そういうのがいいかもしれない(笑)。
日髙のり子さん最新情報
『デビュー40周年記念ライブ Dramatic Night』(12月1日に無料配信)
日髙のり子YouTubeチャンネルにて、期間限定でアーカイブ配信中。
『40周年記念アルバム「Noriko Hidaka All Time Best~40 Dramatic Songs~」』
■発売日:2020年12月2日
■定価:3,800円(税別)
■品番:PCCG01953
■発売:ポニーキャニオン
デビュー40周年記念楽曲『ドラマ』配信中
2021年2月11日 ストリーミングライブ開催予定
その他の詳細情報は、日髙のり子OFFICIAL WEBSITE(norikohidaka.com)で確認のこと。
(C)SEGA
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- 発売:ポニーキャニオン
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- 定価:3,800円(税別)
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