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来たぜアメリカ!!【O村の漫画野郎#36】

奥村勝彦
公開日時
最終更新

 秋田書店の漫画編集者を経て、元『コミックビーム』編集総長もつとめた“O村”こと奥村勝彦さんが漫画界の歴史&激動の編集者人生を独自の視点で振り返る!

来たぜアメリカ!!

 あー。そんなワケで初の渡米である。もちろんニューヨークにいる岩井を引っ張ってくるのが主目的なのだが、一応は観光目的というタテマエである。

 だけんども失敗したら結構ダメージでけえよなあ……と思いながら飛行機に乗ったのだが、俺は3列シートの通路側の席。隣の2席は、思いっきり太ったアメリカ人夫婦であった。

 もちろんエコノミーなので、彼らの体は席からハミ出しており、俺の席の3割ぐらいは彼(夫の方)の体に占拠された。仕方が無いので俺は通路側に体を傾けていたのだが、さらに不幸なことに我々の担当CAは、ウーピー・ゴールドバーグそっくりのこれまた遠慮なく太ったオバサンだった。

 結果的に彼女が通路を通るたびに、俺の頭は彼女の腕にボヨンとぶつかるハメになった。なのでウトウトしかけても30分に一回はボヨンと起こされた。

 深夜になって夜食っつーことで、赤いキツネのミニカップをウーピーから出されたのだが、食べ方がわからないのか、隣の夫婦が俺を鬼のように凝視してくる!!


 おーい、たかがこんなもん食うのに緊張させねえでくれよー!! そして30分に1回、ウーピーからのラリアット!!

 結局、アメリカに着くまで一睡も出来ねえでやんの。……幸先は無茶苦茶悪い。アメリカ恐るべし!


 んで、まずは大学時代の友人が住んでいるワシントンへ。そこで2日ほど友人宅で泊めてもらいつつ、昔から行ってみたかった実銃の射撃場へ。

 何丁か撃ってみたが、正直言って、こんなモンかって感じで思ったほど面白くはなかったなあ。

 それより隣のブースで、ぎゃあぎゃあ騒ぎながら撃ちまくっていた黒人の若い二人組を見ている方が面白かった。受付の兄ちゃんもパンクスで、ものすげーテキトーな態度だったんで、アメリカの銃に対する感覚って日本じゃ考えられないほど、ポピュラーなんだなって思った。

 やっぱ、こと銃器に対する考え方は、日本の方が絶対にマトモなんだよな。


 まあ、そんな感じでテキトーに観光しつつ、列車でニューヨーク。どうにか岩井と合流し、美術館行きーの、メジャーリーグ観ーの、胃を壊して鍋焼きうどん食べーのした。


 さて、さて、さて、そろそろ本題に入らねばならない。このまま帰ったら、何の意味もない。

 岩井の住むアパ-トで最後の夜に、話は徐々にシリアスなトーンになりつつあった。よし、チャンスである!! ……待て!! 次回!!

(次回は3月1日掲載予定です)



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イラスト/桜玉吉

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