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富、権力、名声…欲望の象徴が物語の主軸となった経緯(ネタバレ控えめ)【オクトラ大陸の覇者シナリオ秘話インタビュー2】

タダツグ
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 スクウェア・エニックスのiOS/Android用RPG『OCTOPATH TRAVELER(オクトパストラベラー) 大陸の覇者』の開発者インタビューをお届けします。

 本作が2月4日に配信100日を迎えたことを記念し、開発ディレクターの鈴木裕人氏とメインシナリオを担当された普津澤画乃新(ふつざわ かくのしん)氏へのインタビューを、複数回に渡ってお届けします。

※ストーリーのネタバレが含まれますので、ご注意ください。

  • ▲開発ディレクターの鈴木裕人氏。
  • ▲メインシナリオを担当した普津澤画乃新氏。

“富・権力・名声”と欲望の象徴が物語の主軸となった経緯

――ここであらためての確認になるのですが、普津澤さんはCS版『オクトパストラベラー』のシナリオも手掛けておられるんですよね?

普津澤:はい。前作ではプリムロゼ、アーフェン、トレサのストーリーを担当していました。鈴木をはじめ『大陸の覇者』の開発・運営チームは、前作の世界観や設定をものすごく大切にしてくれていまして。

 前作から3年前のオルステラ大陸を舞台とした物語を描くなら、前作のシナリオを書いた人間がチームに入ったほうがファンに喜ばれるゲームに近づけるという信念がひしひしと伝わってきたんですよね。

 僕自身もそのとおりだと考えていましたので、前作の世界設定はもちろん、遊んでいただいた方に好いてもらえた部分を大切にしつつ、物語を作ることを心がけました。

鈴木D:ちなみに“権力を極めし者”のシナリオに関しては、別のシナリオライターさん(羽多野 大氏)に物語を構築してもらいました。

 それを開発チーム内でゲームに合わせて調整してから普津澤に渡して、ほかの物語との整合性やキャラクター性などを調整してもらい、完成稿にした形です。

――なるほど。そんな『大陸の覇者』ですが、前作にない要素として“富・権力・名声”という、人間の欲望の象徴のような言葉が物語やキャラクター性の主軸となっています。これにはどのような意図があるのでしょう?

鈴木D:実は、企画当初は“名声”というパラメータだけの予定でした。

 『大陸の覇者』のゲームサイクルを設計するにあたって、プレイヤーキャラがどんどん増えていくところが前作との大きな違いであり、最初に頭を抱えた部分でした。

 我々としてはただキャラを増やすだけではなく、彼ら一人ひとりに“旅人”として世界と接点を持ってほしいと考えていたのですが、それをどう実現すればいいか悩んでいまして。

――キャラが増えていくというのは、本作が運営型のゲームである以上避けては通れない設計でしょうけど、登場人物すべてに世界との接点を持たせるというのはなかなかハードルが高そうです。

鈴木D:ええ。そういった悩みを浅野(※浅野智也氏。CS版『オクトパストラベラー』の企画・プロデュースを手掛けたシリーズの生みの親的存在)に相談したところ、“名声”のパラメータに着目されまして。

 これが1つだけでは道筋が一本しか作れないからおもしろくないし、いっそ増やしてみたほうが『オクトパストラベラー』らしくなるのではと言われたんですよ。

 そこから“富・権力・名声”といった、現実世界にも通じる人間の欲求をゲームサイクルに盛り込むことで表現の幅が広がるのでは……というアイデアが生まれて、今の仕様に落ち着くことになりました。

――“名声”だけだとただのパラメータでしかなかったかもしれませんが、それを人間の根源的な欲求である3つに分けたことで、システム的にも世界観的にも奥行きが生まれたように感じますね。

鈴木D:これは裏話的なエピソードなんですけど。町に居るNPCも“富・権力・名声”の影響を受けるわけですが、最初はこれがもっと生々しい仕様でした。

 たとえば旅団の“権力”の影響力が上昇した場合、“権力”を重んじるNPCが向こうから挨拶してくるとか……。

――権力者に媚びてくる感じですか! それはたしかに生々しいですね。

鈴木D:残念ながら工数の関係で削除を余儀なくされましたけど、実現できていれば「うちの旅団も大きくなったなぁ」と実感できる部分だったと思います。

――各キャラの影響力については、どのようにして設定されているのでしょう。シナリオチームのメンバーが「こいつは富を重視しているに違いない」というような感じで考えていたりするのでしょうか?

鈴木D:そもそも本作のシナリオチームは、メインシナリオを担当しているチームとトラベラーストーリーを担当しているチームに分かれていて、どちらも僕と木寺(※木寺康博氏。本作の運営ディレクターを務める)が見ています。

――では、影響力の設定はおもにトラベラーストーリーのチームと鈴木さんや木寺さんがお話しながら決めている感じなんですかね。

鈴木D:はい。各キャラに設定されている影響力は、わかりやすくいえばそのキャラが大切にしているものなんです。

 なかには3つの影響力から1つに絞りづらいキャラも存在しますが、その場合はトラベラーストーリーの内容を踏まえ、軸がどの方向を向いているかを照らし合わせて決めたりしています。

――わかりやすくいえば、“富”を重視しているキャラはお金を手に入れることを重視しているってところでしょうか?

鈴木D:必ずしもそうではないですね。お金という力を手に入れたとき、それを誰かに施してあげたいと考える人もいるわけで。

 “富は与える力”でもあるんですよ。物語の冒頭で、それを説明しているシーンがあったかと思うのですが。

――指輪を手に入れたあと、自分が求める力を聞かれるシーンの時でしょうか。大事なところなのにちょっとうろ覚えで申し訳ないです……。

鈴木D:いえいえ。“富は与える力”、“権力は戦う力”、“名声は信じる力”と説明するシーンがあったと思うのですが、影響力というものは各キャラがなんらかの力を手にしたとき、それをどのように使いたいと考えているかを重視して設定しています。

――極端な話、3つの影響力すべてがすべてを内包しているともいえますよね。富を得ることが名声や権力を得ることに繋がるシチュエーションだってあるわけで。

鈴木D:そういう側面もありますね。ですので、あくまで最も重んじているものと解釈いただければ。

 “富・権力・名声”は人間が根源的に求める力ではあるのですが、力を手に入れたとして、それをいい方向に使う人間もいれば、悪い方向に使う人間もいるわけです。



――ヘルミニアやタイタス、アーギュストなんかは、完全に悪い方向に使っていますよね。メインストーリーでは、力を悪い方向に使う人間の物語が描かれているってことでしょうか。逆にそれに対抗する勢力である旅団の構成員たちは、力をいい方向に使う人間が集まっている、と。

鈴木D:そうですね。トラベラーストーリーはメインストーリーと違って、手に入れた力をいい方向に使っていたり、それによって希望が生まれたりするところにフォーカスが当たっているものも多いです。

 普津澤さんもトラベラーストーリーをたくさん手掛けていれば、電車に乗るのが辛くなることはなかったかもしれませんね……(苦笑)。

普津澤:なるほど(笑)。

『オクトラ』シナリオ秘話インタビュー

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OCTOPATH TRAVELER 大陸の覇者

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応端末: iOS
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2020年10月28日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

OCTOPATH TRAVELER 大陸の覇者

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応端末: Android
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2020年10月28日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

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