ミッションコンプリート!!【O村の漫画野郎#41】

奥村勝彦
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 秋田書店の漫画編集者を経て、元『コミックビーム』編集総長もつとめた“O村”こと奥村勝彦さんが漫画界の歴史&激動の編集者人生を独自の視点で振り返る!

ミッションコンプリート!!

 あー。曽田君のOKをもらった俺は、秋田書店と講談社から多少の文句を言われつつも原稿を集めた。そりゃまあ、両社からすれば「なんでテメーらに!!」って言いたくなるだろうなあ……。

 俺は古巣の秋田書店にゃあ、できるだけ迷惑をかけねえように、今までやってきたつもりだ。ただ、この時は別。心底申し訳なく思ったが、活動の場を失うワケにはいかないもんな。


 そんで、『FIRE AND FORGET』は無事発売、しかも『め組の大吾』の最新刊と同時に。同じ漫画家の同じようなテーマの作品であるからして、当然、店頭ではレジ横にズラーッと並べられますわな。『め組の大吾』の横に。

 まさに営業要らず!! ……というか、小学館が営業してくれる。これこそコバンザメ作戦である。もちろん現実的にサクーッと売れた!!


 それと同時に、編集部のリストラに手を付けた。

 前にも書いたが、その当時編集部には10人以上の人数がいた。これは、どう考えても多すぎる。月刊誌にはそんな人数はいらないのだ。

 大変申し訳ねえけど、半数は他部署に移籍してもらったり、バイトの子には辞めてもらった。アスキーというかベンチャー企業の悪癖の一つであるのだが、やたら簡単に人を取り過ぎたのだ。で結局、調子が悪くなったら、リストラするハメになっちゃう。


 さらに、連載作品以外のコミックスを大量投入!! 俺も岩井も広瀬も前年度よりも多くの点数をフル回転で出しまくった!!


 んで、その年度は無事予算達成!! イエーイ!! やったぜ!! ……といいたいところだけど、それでやっとこさ白黒トントンなんだから、正直、あまりの大変さに失神寸前だった。

 実際問題、その後、毎年毎年トントン状況の綱渡り経営が長ーく続くのだが、とりあえずビームの最初の大ピンチは乗り切ったのだ。


 我々は、全くの新顔で雑誌はもちろん、コミックスだって誰も知らねえ。だから、ひたすらゲリラ戦を続けてチャンスを待つしかないんだよ。

 耐えて耐えて我慢し続けないと、そんなもん絶対巡ってこねえのよ。出来るだけカネを使わねえで、人数は最小限。

 ……ああ、なんか貧乏臭えことばっかり書いちまった。そんじゃ次回は、お待ちかねの個々の漫画作品について書こうじゃねえか。……待て!! 次回!!

(次回は4月5日掲載予定です)



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イラスト/桜玉吉

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