【ウマ娘が1.8倍楽しくなるお話 12】アグネスデジタルはこのコラムの最強になるかもしれない!! ってお話

柿ヶ瀬
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 柿ヶ瀬です。凱旋門賞は残念でしたが、コンディションの悪い中クロノジェネシスもディープボンドもよく走ったと思います。

 実力の差、というよりはやはり芝や地盤などを含めた環境の差という形ではあると思いますが、それをも越えていつか凱旋門賞を勝つのを見られる日が来ることを信じています。来年こそはパンパンの良馬場でやりたいですね。

このコラムで話したことがたくさん詰まっているウマ娘、登場

 というわけで、9月20日の更新で、星3育成ウマ娘・アグネスデジタルが登場しました。キャラクターとしてはトップクラスに尖っていておもしろく、しかし芝ダート両方A、マイル中距離A、先行差しに追込もなんとかなるまさにオールラウンダー、使い勝手のよさも抜群のウマ娘ですね。

 このアグネスデジタル、当コラムが過去に綴ってきた“この視点で見るとウマ娘はもっとおもしろくなる!”という要素が、これでもかとばかりに詰め込まれていて、アグネスデジタルのようにエンダァァァァァ~って悲鳴を上げてしまうレベルでした。

 そんな彼女の話を、当コラムでしないわけにはいかない。筆者はそう考え、連載初めて、1人のウマ娘だけにフォーカスを当てて紹介させていただこうと思います。

ウマ娘のデザインの理由がわかると気持ちいいし運営が空恐ろしくなるってお話

 当コラム第7回のタイトルです。さて、アグネスデジタルのキャラクターデザインは、冒頭でもお話した通り、登場する全ウマ娘の中でもトップクラスに尖っていると言って差し支えないでしょう。いわゆるウマ娘オタク……というには少々度を越してしまったようなところがある、なんと言うか、やべーやつです。

 しかし実はこれでもちょっと丸くなったのです、ウマ娘キャラクター名前予想クイズにおいてのアグネスデジタルはこんな感じ。

 受けか攻めか、までは今は言わないはずなので、だいぶ品行方正になった気はします(?)。さて、ではなぜアグネスデジタルがこんなキャラになっちゃったのか。それはアグネスデジタルの現役時代、2000年代前半まで遡ります。

 皆様もご存知の通り、アグネスデジタルはダートも芝も、距離もマイルを中心に1200から2000まで勝鞍があり、中央も地方も、はては海外でも大きな勲章を得てきた競走馬でした。

 JRAの制作する競走馬ポスター、ヒーロー列伝におけるキャッチコピーは“真の勇者は、戦場を選ばない。”なんともかっこいい。そしてウマ娘のアグネスデジタルにはあまり繋がらないフレーズでしょう。

 しかし、そんなアグネスデジタルでしたが、当時の2ちゃんねる競馬板など、インターネットの世界においてはこう呼ばれていました。

“変態”

 ……あまりにもあまりな呼ばれ方です。しかし擁護するならば、その変態というのはいやらしい意味ではなく、例えば格ゲーなどですごい動きをした時に“変態的だ”なんて言うことがありますが、それに近しいものであったと思います。

 通常ではない、普通ではない、常識では計れない。という意味においての“変態”。それがアグネスデジタルのインターネット上における最大級の評価でした。

 翻って、ウマ娘のアグネスデジタルです。

 ……断言は出来ません。あくまで筆者のいつもの妄想かもしれませんが、このキャラ付けは、やはり“変態”という呼ばれ方をモチーフにしたんじゃないの? と言わざるを得ません。どうしてこうなった。

名もなきウマ娘たちにもきっと名前があるんだよねっていうお話

 当コラム第5回のタイトルです。この回では名前は出ないけれども、どう考えても実在したあの競走馬がそこに存在している、その競走馬のことを知れば、ウマ娘のストーリーがもっともっと楽しくなる。というお話でした。

 アグネスデジタルのストーリーには過去のどれよりも大きい扱いで登場するウマ娘がいます。

 NHKマイルカップを1番人気で勝利した4番の後輩ウマ娘。そのモデルであろう馬の名をクロフネと言います。名前に反して芦毛の馬でした。アグネスデジタルを語る上で、クロフネは絶対に欠かせません。同じようにクロフネを語る上でアグネスデジタルは絶対に欠かせません。

 しかしこの2頭はライバルだったわけではありません。そもそも一度も同じレースで走ってはいないのです。しかし、それでも欠かせないのです。何故なら、アグネスデジタルがクロフネという馬の人生(馬生?)を間違いなく変えてしまったからです。

 2001年の秋、アグネスデジタルは前年勝利していたマイルチャンピオンシップへ行くと思われていましたが、急遽天皇賞(秋)に出走表明し、出走枠(当時天皇賞は外国産馬2頭までという制限があった)をクロフネから奪う形になりました。クロフネは有力視されていたこともあり、これに批判の声も多くあがりましたが、アグネスデジタルは見事優勝(2着オペラオー、3着ドトウ!)。「これならば納得でしょう、クロフネ陣営も!」とアナウンサーが実況する程度には批判されていたのは当時を知らなくても理解できると思います。ウマ娘においても同じような固有実況が出ますね。

 しかしアグネスデジタルがクロフネの人生を変えたのは、出走枠を奪ったところで終わった話ではありません。

 クロフネは天皇賞(秋)に出走できなくなったため、ダートのGⅢ“武蔵野ステークス”に出走します。初のダートとなったその武蔵野ステークスで、9馬身差の大圧勝。続いてGI“ジャパンカップダート(現在のチャンピオンズカップ)”に出走し、こちらも7馬身差の大楽勝。その後故障で引退してしまいますが、もしかしたらダート歴代最強だったのでは? と幻想を抱かせるような馬となり、引退後の種牡馬生活も含めてアグネスデジタルが人生を変えたと言っていい馬でした。

 クロフネは今年亡くなりましたが、現在競馬界を沸かせているアイドルホース、白毛の最強馬ことソダシの父親でもあります。まもなく行われる秋華賞で走る真っ白な姿を見て、クロフネという名前を思い出してもらえると嬉しいですね。

ウマ娘って馬の話でもあるけど、きっと人の話でもあるんだよねってお話

 当コラム第6回のタイトルです。この回のコラムでは馬主や騎手のエピソードを紹介しましたが、調教師のはあまりないと言っていましたが、アグネスデジタルはこれまで封印したものを全て出したかのように調教師のエピソードが盛り込まれています。

 その調教師の名は白井寿昭氏(現在は引退)。前回のGIイラストコラムでも紹介したように、アグネスデジタル以外にもスペシャルウィークなどを管理した名伯楽の一人です。この白井調教師、調教師としての能力ももちろん素晴らしいのですが、キャラクターとして癖が強く、これまたインターネットの世界において擦られ、もとい、愛され、こう呼ばれていました。

“白井最強”

 白井最強ってなんだよ? ということに関しては、各自で検索していただきたいと思いますが、本当に細かく白井調教師のネタが散りばめられているのです。主だったところでは、キャラストーリー3話のこのセリフ。

 なんでその例えでマンドリン? 普通ならギターでは? これは白井先生が大学時代に所属していたクラブがマンドリンのクラブだったから。そうでなければ絶対に出ない例えです。いや普通そのネタ拾います!?

 続いて先程のクロフネ絡みのお話。天皇賞(秋)を前にクロフネ、もとい、NHKマイルカップを勝ったあの子のチャンスを奪ってでも天皇賞(秋)に出走すると腹に決めるイベントですが、そのタイトル。

「今回だけはどうしても」

 これは天皇賞(秋)に出走を決めた際に白井先生が言った「今回だけはどうしても使いたい」から。そして天皇賞(秋)でアグネスデジタルが叫ぶ「観客席に向かって走れええ!」。これも天皇賞(秋)のパドックで四位洋文騎手に白井先生が指示したという一言(馬場が荒れていたのでいいところを走らせろという意味だったようです)から――。

 主だったところだけでもこの通り。割とド直球を投げてくるパターンが多い関係者ネタですが、まさかここまでガッツリやるとは。それだけ“白井最強”というネタが、ウマ娘を楽しむような競馬好き(つまり我々のような人間の)に膾炙していたかという証左かもしれません。

 また、育成ウマ娘・アグネスデジタルの肩書“超特急!フルカラー特殊PP”ですが、同人誌を書くようなオタク、という意味だけでなく、馬主の渡辺孝男氏が印刷関係のお仕事をされていることからの連想も含められている可能性があります。これは妄想の範囲ですが、ここまで色々張り巡らせられているところを考えると……。と思ってしまうのは仕方のないことではないでしょうか。

ウマ娘のアグネスデジタルは、表も裏もおもしろい!

 アグネスデジタル、そうでなくってもメチャクチャおもしろいキャラなんですよ。ウマ娘オタクで、うるさくて、頭ピンクで、でもかわいくて。

 だけどそんな裏に、こういう知ってればもっとおもしろい! っていうネタも沢山散りばめられています。ネットのネタが多いのも、オタクキャラをちょっと想像させて、これもまた運営の掌の上かな……って思ったりも。

……と言いますかですね。これまでは色々こういうネットのネタってこのコラムでは表立って言わないようにしてきたんです。出すときも、分かる人だけニヤリとできるように出してきてたつもりだったんですよ。でもですね、アグネスデジタルでこんなにあからさまなことやってきたら、こっちもちゃんと説明しなきゃいけなくなるじゃないですか!

 ともあれ、今回はそんなアグネスデジタルの濃ゆいネタを交えながら、これまでの中から3つのコラムとリンクさせましたが、本当は勝負服の話も、今と昔で競馬が違ってる話も、一緒に走ったライバルたちとの関係性の話も、色々話せるんです。ですが、今回はこのあたりにしておこうと思います。

 1頭にフォーカスを当てるというのはこのコラムでは初めてのことでしたが、アグネスデジタル1頭をフォーカスしつつ、当コラムのおさらいもできたのではないかと思います。ぜひみなさんもアグネスデジタルを、競走馬としてもウマ娘としても、知っていただけたらなと思います。

 また次回もこういった“楽しみ方”を提示していければと思いますのでお時間ありましたらぜひご一読いただきたければ幸いです!

 それではまた!



【コラム】ウマ娘が1.8倍楽しくなるお話

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