セガ新作RPG『シン・クロニクル』先行レビュー。絶望的な強さの敵、仲間の死――ダークファンタジーの王道を往く!

マスクド・イマイチ
公開日時

 セガは、12月15日配信予定の新作スマートフォン用RPG『シン・クロニクル(以下、シンクロ)』のクローズドβテストを、本日10月14日より開始しました。

 『シンクロ』は、同社が配信する『チェインクロニクル(以下、チェンクロ)』シリーズの後継作にあたる、iOS/Android向けのRPG。『チェンクロ』の開発を手がける松永純さんが本作の総合ディレクターを担当していますが、『チェンクロ』とは異なる新しい世界と物語、そしてゲームシステムになっています。

 この記事では、本日より始まった『シンクロ』クローズドβテストのプロローグ部分までの先行プレイレビューをお届けします。

 本作の世界観やシステムをいくつかの要素に分けて簡単に説明。ストーリー面のネタバレは極力避けているので、クローズドβテストに参加していない人も、ぜひご覧ください。

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世界観:ダークファンタジーの王道となり得る『シンクロ』

 『シンクロ』のプロローグは、以前の電撃オンラインの記事でもお伝えした通り。“ヘルドラ”と呼ばれる世界を舞台に、大陸の中心にあいた大穴“奈落”の深淵を目指す“境界騎士団”の隊員となって仲間たちと潜り、そこから這い上がってくる“黒の軍勢”と戦っていきます。

 RPG好きならワクワクするキーワードが多数盛り込まれており、さらに『チェンクロ』をプレイしている人なら聞き馴染みのあるワードもあり、期待度はより上昇。

 演出を含め、全体的に“ダークファンタジー”の世界観となっており、仲間たちが戦いへと赴く理由やその戦いで遭遇する悲哀など、重めの話が序盤から続いていきます。

 今回のCBTでプレイ可能なプロローグでも、ハードな描写が盛り込まれています。「このキャラが主人公の先輩的な存在になるのかな?」と思っていたキャラクターも容赦ない運命が訪れます。

 そこからは、常に「このキャラどうなるのかな?」、「これはフラグなのでは!?」とドキドキしながらストーリーを読むことに。

 このテイストが常に続くのであれば、“出会い”を主にした『チェンクロ』のストーリーとは一線を画すものになりそうですね。

 しかし、ガチャで仲間にしたキャラクターがパーティから離脱することなどは考えづらいので(むしろその展開も見てみたいですが)、どのような形でストーリーが鬱屈とした方面で展開していくのか期待したいところ。

キャラクター:N.P.Aさんのタッチが生かされたビジュアル面

 『シンクロ』のメインキャラクターデザインは、『チェンクロ』でも人気キャラクターのイラストを多数手がけるN.P.Aさんが担当。絵柄に統一感があり、ここも多くのイラストレーターが参加し、さまざまなタッチのキャラクターが登場していた『チェンクロ』とは異なる部分ですね。

  • ▲主人公
  • ▲セラ
  • ▲クロエ

 これにより世界観の統一がより強固なものとなっており、N.P.Aさんの描く人間の強さ、カッコよさ、かわいさ、セクシーさ、あらゆる要素が多数のキャラに散りばめられています。

 同氏のファンはもちろんのこと、この作品で初めて見るという人も、ファンタジー要素が好きな人からは好まれそうなテイストによくまとまっていると思います。

 また、キャラクターごとに個別のイベントイラストが用意されていることも確認できました。後述しますが、育成を根気よく続けることで☆2(確認できた最低レア)のキャラクターも☆5まで育てることができ、その際に個別のイラストが見られるというシステムに。

 “別れ”がストーリー展開の1つの注目ポイントとなりそうですが、一方で好きなキャラクターとふれあい育てる楽しさも併せ持つ本作。その楽しさが、より別れのつらさを際立たせる……そんなゲーム体験もありそうです。

ストーリー演出:スマホRPGでもリッチなストーリー体験を

 『シンクロ』では演出面が劇的に進化。ストーリー演出は、このゲーム最大の見どころとなりそうです。

 キャラの立ち絵に多くの表情差分が用意されているだけでなく、カメラの寄り引きや立ち位置によるぼかし、カットインといったエフェクトを重ねて、単調にならないよう各カットに工夫が施されていました。

 また、キャラクター以外の絵素材や、イベント一枚絵なども少なくない数が用意されており、世界観に引き込まれるリッチな作りに。

 今回のプロローグもバトルシーンから始まり、効果音やBGMも相まって、最初からクライマックスのような展開で、よいつかみとなっていました。

 フルボイスではありませんが、逆にテンポよくシナリオを読むことができるので、そこはシナリオのテキスト量とのバランスで感じ方が変わりそうです。

“究極の選択”――『シンクロ』が提供するRPGの選択の重み

 『シンクロ』のキーとなるのが、未来を予見する書物“クロニクル”を活用したストーリーテリングでしょう。

 主人公とクロニクルに封印されていた精霊である“ミュトス”だけしか見ることができない“クロニクル”の予知は、時として残酷な未来を見せてきます。この未来を回避するために、その原因となる“忌まわしき言葉”をプレイヤーの選択によって“希望”へと変えていくことに。

 システムとしては、ストーリーを読み進めていくなかで“セラ”と“クロエ”に関する選択肢を選び好感度を上げることで、特殊なストーリーイベントが発生。プロローグ部分では“未熟な騎士団”という言葉が“騎士の教え”、“猜疑心”という言葉が“絆”に変化しました。

 これらは“鍵の言葉”と呼ばれ、各話の終盤で“クロニクル”の予知を絶望から希望へと変える力を持っています。

 シンプルに言ってしまえば、ストーリーを読み進め、選択肢を選び、絆を上げ、キーワードを入手し、各話ラストの選択肢へと向かう……ということですが、物語への没入感は非常に高いものになっています。

 選択肢を選ぶというRPGの基本となる要素に、さらに強い意味を持たせているのは演出と展開のもたらすクリエイターサイドの技だと感じました。

 また、今回のプロローグラストの選択肢は、“騎士の教え”と“絆”、それぞれの言葉を行動として示すことに。この各話最後の選択肢はそれまで以上に重要なものとなっており、選択の結果手に入るアイテムやキャラクターが変化します。

 選択肢を一度選んだ後にも黒地に赤文字の最終確認が入るなど、プレイヤーにより強い決断を迫ってきます。

 プレイレビューの都合上、両方の選択肢の結果を覗いてみましたが、その後の物語の演出が大きく変わっており、ゲームコンセプトの“究極の選択”という言葉どおり選びごたえのある選択肢となっていたと思います。

探索:3Dマップのオート移動には改善の余地あり

 本作では、APを使用して3Dのマップに挑むことになりますが、このマップ探索はかなりシンプルに感じました。

 序盤のストーリーマップだからかもしれませんが、基本的には分岐が少なく、よく言えばストレスを感じない、悪く言えばやや簡単に思える作りとなっています。

 探索の移動はオートで進めることもできますが、落ちている宝箱や薬草を無視して歩いてしまうので、ここは改善点だと思われます。

 オート機能が改善されるのなら、戦闘前のアタック(成功すれば先制ダメージなどの効果)を無視してしまえば、マップ開幕後オートボタンを押すだけでバトル以外の探索自体は終わってしまいます。

 この辺のあっさり感を、ありがたいと感じるか物足りないと感じるかは好みが分かれるところでしょう。

戦闘:丁寧に作られた王道のコマンドバトル

 バトルは『チェンクロ』のようなアクション性はなく、基本的にはコマンド選択式のターンバトルとなっています。何かしらのRPGを触れている人なら、すんなりシステムは理解できるでしょう。

 ターンが回ってくると、BP(行動値)が割り振られ、BPを1使用するスキル、BPを3使用するスキルの組み合わせなどで敵を攻撃することに。

 キャラクターによっては、攻撃以外にBPを利用してバフ(強化)スキルなどを使用することもできました。使用できるスキルは育成によって増やすことも可能です。

 敵への攻撃を続けていくと、画面右下の“オーバードライブゲージ”が溜まり、マックスになると強力な“オーバードライブ”を発動することができます。このゲージは敵の弱点を突くことでより多く溜まるので、ボスの弱点を突けるパーティを組むことも戦略の1つとなりそう。

 ちなみに“オーバードライブ”技は、固有の演出が入りますがシンプルなものとなっており、「スキップしたいな~」というほどの長さでなかったのには好感が持てました。

 画面下には味方と敵の行動順が表示されており、先に行動する敵から倒せば必然的に優位となります。

 味方の行動順になっても行動をパスすることができるのは確認できましたが、これで次に回ってくる行動順を早めたりできるかは確認できませんでした。スキルなどで味方の行動順を早めたり敵の行動順を遅らせたりできると、戦略に幅が出そうですね。

 また、例えば敵が次ターンに強力な攻撃をしてくる場合はアイコンが変わるなど、行動順がわかることで戦略的にバトルを戦うことができればよりおもしろくなるかも。

育成:低レアでも育てていけば高レア級の活躍が?

 事前情報では『シンクロ』は戦闘に参加することでしか経験値が入らないとのことでしたが、レベルの上限も初期状態では低く、先行プレイしたプロローグ部分でレベルがMAXになるキャラも見られました。

 レベルの上限はストーリーの進行状況で変わり、次章に行けば上限が解放されます。また、各界層の“運命の言葉”の取得でも上限が上がるそうです。

 一方で、“アビリティパネル”と呼ばれる成長要素を開放するのに必要な“パネルPt”は、プロローグの時点でも足りない印象。

 おそらく、レベルを上げること自体は容易ですが、好きなキャラクターを使い続けて“アビリティパネル”を開放し、より強くしていくという部分に重点を置いているように思えました。

 また、同じキャラクターを入手した際に手に入る“宿星”というアイテムを使用して、キャラクターの☆を覚醒させて上げることができます。☆を上げることで新たなスキルを解放できるようになるほか、☆5に覚醒する際の“覚醒の物語”ではキャラクター固有のイベントスチルも見られるので、育成にも力が入ります。

 ほかにもパーティ全体を強化できる“精霊”や後述する武器など、キャラクターの能力を補助する要素は多いようです。プレイ初期はこれらの要素が一気に解放されるので、やることが多く感じるかもしれませんが、それだけキャラクターを強化する楽しみは大きそうです。

武器強化:ハクスラ要素をより高める部分。強化失敗のリスクも?

 ダンジョンで入手した武器は、クリア後に武器種やグレードが明らかに。今回はほぼチュートリアルのダンジョンのみなので強力なグレードの武器は確認できませんでしたが、初期武器に比べれば飛躍的に攻撃力が上がりました。

 キャラクターが装備できる武器は、打・突・魔などの属性が割り振られており、前述した“オーバードライブゲージ”の存在によって、敵の弱点に合わせてそれぞれの武器を得意とするパーティで挑む必要がありそう。

 武器の強化は、ゴールドやアイテムを使用して行えます。アイテムは入手することができなかったので確認できませんでしたが、ゴールドを使用して繰り返し強化していくと強化に失敗することも。

 強化段階によって成功率が変わるようですが、この要素がアイテムにも適用されるとややストレスに感じるかもしれません。武器をロストすることはないようですが、アイテムを無駄にする可能性はありそうなので、それだけのリターンが武器強化にあるといいなと感じました。

ガチャ:仲間と出会うのはやっぱり“酒場”!

 仲間キャラクターとの出会いは、『チェンクロ』でもおなじみの“酒場”でのガチャとなります。

 ガチャからは仲間キャラクター以外にもパーティを強化する“精霊”が排出されますが、入手できたジェムで10連を2回ほど回したところ、キャラクターのほうが多く排出されたのは好感触。

 キーキャラクター(メインストーリーに深く関わるキャラクター)とそうでないキャラクターの扱いの差なども気になりますが、高レアリティの排出率が高めとなっているので、配布次第のところもありますが、無課金や微課金でもそこそこ遊べるように感じました。イベントガチャなども開催されるようですが、ストーリーでのキャラクター追加が多くなるとよりうれしいところ。

 あと細かいところになりますが、『チェンクロ』からの改善点として10連ガチャの結果を1枚のスクリーンショットに収められるのは、SNSを利用してプレイヤー同士であれこれ話すのに役立つと思った部分。そういったところも含めてのスマホゲームの楽しみ方であるので、この仕様は地味にうれしく思いましたね。

総評:丁寧な出来は好感触。ストーリー展開や運営方針に注目!

 ……と、ここまで『シンクロ』の各要素を個別に見てきましたが、総評すると「丁寧に作られた最新のスマホRPG」ということになります。

 プレイヤーごとに好みが分かれる世界観やキャラクターですが、最近のゲームプレイヤーの最大公約数を狙ってまとめられており、「みんなが好きそう!」という近年人気の要素が随所に散りばめられています。それらの要素が、これまで以上にリッチな演出でプレイヤーに提供されるので、物語により深く入り込めました。

 バトルや強化などのシステム要素については、ややオーソドックスではありますが、安心して遊べる作りに。ちょっとしたスパイスがあれば、バトルはもっとおもしろくなるのではないでしょうか。

 強化要素については今回のプレイ範囲ではわからないところも多かったんですが、好みの低レアのキャラクターを育てて、どこまで最前線で戦わせられるかは気になるところ。

 全キャラクターにストーリーがあるというのは『チェンクロ』の魅力の1つでもありますが、『シンクロ』ではさらに進化してイベントスチルも付いているというのだから、低レアキャラクターの攻略・育成にも気合いが入りますね。

 キモとなるストーリー進行の選択肢については、未知数なところも。プロローグでは、大きな選択は1つだけでしたが、今後各話でこういった大きな選択が重なっていった場合、ストーリーに触れたプレイヤーの感想は無数に枝分かれしていくものと思われます。

 そう考えると『シンクロ』のストーリーが評価されるべきタイミングは、ある程度物語が進んだときになる可能性が高いのではないでしょうか。そこまでプレイヤーの興味やモチベーションを引っ張っていけるか、注目が集まります。

 スマホRPGというものは、ストーリー提供やイベント・ガチャ更新の頻度などはもちろん、1日でどれぐらいゲームに触れる時間をユーザーに求めてくるか、イベントを完走するのにどれぐらいの熱量が必要か、新キャラを入手するのにどれぐらいの課金が必要かなど、ゲーム内容に加えて運営方針もユーザーにとってかなり重要な要素となります。

 多くのゲームタイトルが存在する現在、プレイヤーの一番のゲームになるためにはさまざまな要素が影響します。願わくば、本作のキモとなるストーリーについては、『シンクロ』が多くのプレイヤーの一番になることを期待したいですね。


©SEGA

シン・クロニクル

  • メーカー: セガ
  • 対応端末: iOS
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2021年12月15日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

シン・クロニクル

  • メーカー: セガ
  • 対応端末: Android
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2021年12月15日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

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