2009年9月14日(月)
コミック版『狼と香辛料』の作画を手掛ける小梅けいと先生と、TVアニメ『狼と香辛料II』で賢狼・ホロを演じる声優・小清水亜美さんの対談をお届けする。
コミック版『狼と香辛料』は、支倉凍砂先生が手掛ける電撃文庫『狼と香辛料』(アスキー・メディアワークス刊)のコミカライズ作品。コミック誌『電撃マ王』に連載されており、これまでにコミックス3巻までがリリースされている。
また、小清水さんが出演する『狼と香辛料II』は、そのアニメ化作品。高橋丈夫さんが監督を、荒川稔久さんが脚本を担当しており、アニメーション制作はブレインズ・ベース/マーヴィージャックとなっている。またアニメイトTVでは、ロレンス役の福山潤さんと小清水さんがパーソナリティを務めるWebラジオ『小清水亜美・福山潤のオオカミックラジオII』が配信中。興味がある人は、ぜひチェックしてもらいたい。
では以下に、『電撃マ王9月号』に掲載された小梅けいと先生と小清水亜美さんの対談を全文掲載する。小冊子では泣く泣くカットされてしまった部分もノーカットとなっているので、小説やコミック、アニメで『狼と香辛料』を楽しんでいる人はもちろん、もう小冊子を読んでしまったという人もぜひチェックしてもらいたい。
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▲コミック版『狼と香辛料』を手に持つ小清水さん(写真左)と小梅先生(写真右) |
小梅けいと(以下、小梅)先生:8月号のインタビューを読ませていただいたのですが、小清水さんはホロの内面描写の演技にかなりこだわっていますよね。マンガを担当している身としては、こういう部分をぜひ描いてみたいと思っているんですが、いかんせん難しく……。シーンによっては、自分なりに解釈したホロの様子や心情を描いているところもありますが、やっぱり不安に思って原作者の支倉先生に聞いてみたこともありました。アニメは、2幕まで拝見させていただきました。第1幕の最初で、荷馬車の上でホロがロレンスに寄りかかって甘えるシーンがあるじゃないですか。あれはいいですね。ひと目でホロがかわいいなって(笑)。小清水さんにお聞きしたいのですが、ホロとしては、ロレンスのことをどのくらいのポジションに置いていると考えていますか?
小清水亜美(以下、小清水)さん:1期のころは、ホロとロレンスが出会ったばかりということもあって、仲はいいですけどちょっとカベがある感じでした。友だち以上だけど恋人未満みたいな。それが2期では、序盤から距離がすごく縮まったように思えるんですよね。
小梅先生:僕もそう思いました。冒頭で、ホロが仲間の狼のもとへではなく、ロレンスの方へ走りよっていきますよね(笑)。
小清水さん:そうなんですよ(笑)。1期から2期の間には物語的にも少し時間が経過しているので、その間にいろいろあったんだろうなって。今は、結構先の話までアフレコを終えているんですけど、ここでの2人は家族に近い状態になっている気がしますね。そばにいて当たり前……という表現とはちょっと違うかもしれませんが、ロレンスのことは好きだし、隣にいてほしいという気持ちはあると思います。ただ、恋人のようにラブラブなのかというと、それとも微妙に違うんですよね。すごく独特な関係というか、ひと言では言いにくいのですが……。そんな距離感を表現するのが、本当に難しいです。
小梅先生:将来的には、ホロの恋愛感情みたいなものがでてきたらいいなとか、そういうのはありますか?
小清水さん:そうですね。ただ、ホロは恋愛感情のようなものは出せないのかなって思っています。
小梅先生:それは“ホロの暗い一面みたいなもの”の絡みですか?
小清水さん:それはもちろんありますし、ホロってどうやってもロレンスより長生きしちゃうじゃないですか。劇中でもそのことを言っているんですけど、そういう部分がホロには根付いちゃっているんじゃないかと思うんですよ。どんなに好きになっても自分の方が長生きしてしまって、最後はまた1人になってしまう。だからこそ、相手を好きになってしまうのが不安なんじゃないかって。
小梅先生:確かにそうですね。個人的な願望としては、ホロのその感情が決壊して、ロレンスと結ばれてほしいなって思います。
小清水さん:そうですね。ホロが歯止めをかけているところは、ロレンス次第でどうにでもなると思うんですよ。ホロを受け止められるくらいの器の大きさをロレンスが見せられればですけど(笑)。ただ、2期に入ってからのロレンスは、ホロが欲しい言葉とかを、さりげなく言うようにはなってきているんですね。目を見てはなかなか言えませんけど。ホロに対して子どもっぽいところもあるんですけど、ロレンスってもともとは大人な人じゃないですか。そんな子どもっぽいところが少しずつ成長してきているなぁと感じます。だから、この先ホロとの関係がどこまで続いていくのかはとても楽しみです。ホロの寿命がロレンスと同じくらいだとしたら、一番幸せなんだろうなとは思うんですけどね。
小梅先生:もしホロみたいな女の子が近くにいたらどうしますか?
小清水さん:近くというか、ホロがお姉ちゃんだったらいいですね。妹の私をかまってくれそうですし、困った時に相談すれば、直接何かをしてくれるわけではないんですけど、ちゃんと答えにつながるヒントをくれたりとかしてくれそうですよね。ヒントはあげるけど答えは自分で見つけなさいみたいな(笑)。身近な存在としてホロがいたら、とても心強いですし、もっともっといろんなことができそうですよね。ただ、彼氏とホロを出会わせると、ホロがステキすぎて全部持っていかれそうですよね(笑)。小梅先生の場合はホロが近くにいたらどうですか?
小梅先生:まず食費の心配をしますね。とりあえずは『狼と香辛料』の印税でまかなおうかなと(笑)。印税の半分くらいはホロに権利があると思いますし(笑)。
(C)支倉凍砂/アスキー・メディアワークス/「狼と香辛料II」製作委員会
(C)2009 「狼と香辛料II」製作委員会/ASCII MEDIA WORKS Inc.