2010年6月25日(金)
7月14日に稼働するSNKプレイモアの業務用格闘ゲーム『ザ・キング・オブ・ファイターズ XIII(以下、KOF XIII)』。本作を手がけた開発スタッフにインタビューを行った。
『KOF XIII』は、同社が展開する2D対戦格闘ゲーム『ザ・キング・オブ・ファイターズ(以下 KOF)』シリーズの最新作。3月にベルサール秋葉原で開催されたイベントで、これまで続いてきた“アッシュ編”が完結すること、新キャラ・新システムを追加することが発表されている。
今回お話を伺ったのは、プロデューサーの久木野雅昭さんとゲームデザインディレクターの山本圭さん。新システムやキャラクターなど、さまざまなことを質問した。『KOF』シリーズのファンや、『KOF XIII』の稼動を心待ちにしている人はぜひご覧いただきたい。(インタビュー中の名前は敬称略)
▲左がプロデューサーの久木野さんで、右がゲームデザインディレクターの山本さん。本作にかける意気込みについて、アッシュの炎と同じくらい熱く語ってくれた。 |
――まず最初の質問です。本作の開発はいつから、どういう経緯でスタートしたのでしょうか?
久木野:『KOF XIII』の開発動機は、前作で実装していないアッシュ編のストーリーを完結させること、シリーズ最高作を目指してすべてを再構築することです。『KOF』シリーズの場合、明確にいつからスタートというのを決めるのは難しいですね。ストーリーの設定から言えばそれこそ構想何年……となりますので。
本作を開発する上で、“最高の『KOF』を作る”ということが最大の課題でした。前作『KOF XII』でリブート(再構築)した2Dドットグラフィックスをベースに、すべてをよりブラシュアップし、充実させました。そういう意味では『KOF XII』からすでに始まっていると言えます。
――今作の売りを教えてください。
久木野:ずばり“KOFイズム”ですね。我々が提唱する“KOFイズム”とはキャラクター、ゲーム性、ストーリーの3本柱で構成されています。もう少し具体的に言うと“人気キャラクターの参戦・追加”、“シリーズ従来の対戦のかけ引きで楽しむことができるゲームシステム”、“アッシュ編の完結というストーリー搭載”という内容を反映させています。
これまでのシリーズをプレイしたことがある人や『KOF』を知っている方が実際に『KOF XIII』をプレイしてみた時に、「そうだ、これが『KOF』!」と納得して、あるいは懐かしさに似た感覚を思い出してもらえるような作品です。そして『KOF XIII』の中に、『KOF』コアの部分にあたる“KOFイズム”をひしひしとリアルに感じられる作品に仕上がっていると自信を持っています。
――なるほど。制作する際にこだわったところはどこですか?
山本:たくさんありすぎて、簡単にはすべてを説明しつくせないのですが……(笑)。特にシステム面でのこだわりは、設計するにあたって、どのバトルシステムでも「KOFユーザーが共感できる、従来のプレイヤーが違和感なく楽しめる」という点についてこだわり抜きました。実際にプレイしやすさを感じていただけると思います。
――確かにすんなり入っていけました。KOFイズムの最後のポイントであるストーリーですが、シナリオが気になっているファンも多いと思うのですが。
山本:すでに公開されているストーリーやムービーなどを見ていただくと、いろいろと気になる点が多いとは思いますが、“翠(エメラルド)の炎が暗黒に染まる決着のXIII(サーティーン)”というコピーにつきます。また、アッシュというキャラクターの動向にご注目ください。
――“遥けし彼の地より出づる者”の目的について、言える範囲で教えてください。
山本:それは、稼働後のお楽しみということで!
――わかりました(笑)。そのストーリーですが、アッシュは主人公にもかかわらず、1人で参戦しています。これはチームに依存せず、アッシュが入っていると彼を中心にストーリーが進行するということなのでしょうか?
山本:そうですね、あえて“チームとして参加していない”というところに注目していてください。アッシュの言動1つ1つが要チェックです。
――PVの中で、「『KOF』史上最高のバランス」と記されていましたが、ゲームバランスはどういう着地点を狙っていますか?
山本:各キャラクターの持ち味(特徴)をさらに特化させていますので、そのキャラクターたちを自分のプレイスタイルに合わせて生かす選択をしたり、相手キャラに合わせてキャラを選択したりというように、チームの組み方でゲームバランスが取れるようにしています。とても基本的なことですが、プレイヤーがよりプレイしやすく、より対戦を楽しめるというところが最終的な狙いです。
――遊んでみて、スピード感が増しているように感じました。初心者にとっては、少しテンポが速いと感じるように思ったのですが。
久木野:スピード感についてですが、アニメーションのパターン表示によって、より直感的にキャラクターを動かせるようになったと思います。またゲームと演出の見せ方のメリハリによって、心地よいテンポを目指しています。攻撃やコンボの組み立てもしやすくしている点も、スピード感とゲームのテンポを上げる要因になっているかと。
質問の答えですが、コアユーザーの方は攻撃の組み立てと駆け引きを高いレベルで楽しめる。一方でライトユーザーの方は、キャラクター性をいかした派手な技や攻撃を楽しんでいただけるようになっています。
山本:スピードは、ただ単に速くなったというわけではありません。画面がワイドになった点やシステムが増えたことにより、その結果「横の移動距離が延びた」、また「システムが増えたことにより、従来とは違う展開の可能性が増えた」というところから、プレイヤーが考えることが増えて忙しくなったので、感覚的により速く感じるのだと思います。ここは従来のシリーズから変わった点ですので、何回かプレイして慣れれば、速くは感じなくなると思いますし、初心者の方も適応できるのではないかと思います。
(C)SNK PLAYMORE
※『ザ・キング・オブ・ファイターズ』は株式会社SNKプレイモアの登録商標です。
※画面は開発中のものです。