News

2010年7月12日(月)

【まり探】『ゴースト トリック』は裏『逆転裁判』だった? 開発者インタビュー

文:電撃オンライン

●ゲームの難易度調節の基準はプロデューサーの竹下さん?

――次はシステムについて伺います。主人公・シセルが持つ“トリツク”“アヤツル”“死の4分前に戻って助ける”といった死者のチカラは、どんなキッカケで生まれたのでしょうか?

:群衆ミステリーを作りたいと思った時に、じゃあプレイヤーキャラクターはどこにいるんだろうと考えました。人々の生活をのぞき見る存在に、普通の生活をしている人間はなれませんよね。では、それを可能にする特別な存在とはなんだろうと。その時に出てきたアイデアが“ゴースト”でした。ゴーストが、世界の外側から劇場の舞台を見るように登場人物たちの生活を垣間見るというのが、このゲームのイメージだったんです。その場合プレイヤーは、外側から登場人物たちになにかしらの影響を与えなければいけないのですが、ゴーストにできることといえばやはり“トリツク”、“アヤツル”だろうと。だから、キッカケというよりは、“ゴースト”という存在からゲームに結びつけていきました。

 “死の4分前に戻って助ける”という要素は、制限時間を設けて集中できる部分を作りたかったからです。通常の状態では制限時間はありませんが、死の4分前に戻るところだけゲーム制がリアルタイムになって緊張感が増したのではないかと思っています。

『ゴースト トリック』 『ゴースト トリック』 『ゴースト トリック』
▲主人公のシセルは魂となり、死者のチカラを駆使してさまざまな人々の運命を変えていくことになる。

――制限時間を設けた代わりに、ゲームオーバーをなくしたのでしょうか?

:そうです。ゲームオーバーには“失敗”というイメージがありますけど、このゲームは4分の間に手がかりを見つけ出すことに楽しみがあるので、何度でもチャレンジできるような仕様にしました。

――各ステージのアイデア出しで苦労なさったことは?

:今回、“いかにしてシナリオとパズルが違和感なくきれいにつながるか”がゲームの上でのコンセプトだったので、シナリオとパズルの一体感を追求しました。シナリオ部分とパズル部分が、別物のようになってしまうことを避けたかったのです。なので、普通のパズルの作り方とは違って、シナリオの進行にからめた作りになっています。パズルを解くことで真相も見えてくる……そんな感じですね。

――難易度の調整が大変そうですよね……。

:そうですね~。こればかりはいろいろな人に遊んでもらうしかなかったんですけど、最終的な判断は“竹下さんが解けるか解けないか”でしていました(笑)。

竹下:そうですね。僕がプレイして2時間以上詰まった場合は、修正してもらいました(笑)。

――プレイで詰まった時の、攻略の極意を教えていただければと!

:一番の基本は吹き出しのヒントを見逃さないことですね。あとは、前回やったこととは違うことをやってみるといいと思います。

竹下:発想を変えてみたり、過去に解いてきたことを思い出してみたりすることが大事ですね。プレイしていく中で「こんなことができるんだ」と発見したことを思い出して、いろいろな動作を試してみることで道が開けると思います。

『ゴースト トリック』 『ゴースト トリック』
▲デバッグ中に竹下さんが詰まったという、回転するサンタのオモチャ。開発中は現在よりも回転速度が速かったとのことで、何度ストップをかけても止めたい方向と逆側に止まってしまったとか。今の絶妙な速度は、すべて竹下さんのおかげなのです。

――制作する中で、「これならイケるぞ!」って思われた瞬間はありましたか?

竹下:去年の東京ゲームショウでフューチャー賞をいただいたのですが、あの時は目に見える形で客観的な手応えを感じました。正直、賞をもらえるとは本当に思っていなかったので、純粋にうれしかったです。

:イケると思った瞬間は2回ほどありました。1回目はミサイルがしゃべることになった時です。実は最初、吹き出しでヒントを与えるシステムがなかったんです。それでわかりづらいという意見が挙がって、ヒントを入れようと思った時に、「死者にヒントを出してもらったらどうだろう。でも、ミサイルは犬だしなあ……」って悩んでいたら、「犬がしゃべってもいいんじゃないですか」ということになって。それが1つ目ですね。2つ目は、シナリオを最後まで書き終えて各ステージの調整期間に入り、そこでプレイしておもしろいと感じることができた時です。それでこのゲームはイケると思いました。結構ギリギリまで不安な状態だったんですが、最後の調整で納得のいくものになるにつれて、どんどんおもしろくなってきて、本当にホッとしました。

→次のページでは、プロモーション展開の苦労が語られる!(4ページ目へ)

(C)CAPCOM CO., LTD. 2010 ALL RIGHTS RESERVED.

データ

関連サイト