2010年8月27日(金)
――本日はよろしくお願いします。『空母決戦』のリリース時点でいくつかのメディアにSi-phonブランドの戦略が載りましたね。「潜在的なマーケットサイズから見て、あまりにも多くのメーカーが撤退してしまったので、そこにビジネスチャンスを見ている」と。これは具体的に言うと、どういった人にSi-phonブランドのストラテジーゲームを買ってもらおうというお考えなのでしょうか?
Si-phon代表 谷村勝一郎氏(以下、谷村氏):かつてMS-DOS時代にPCゲームを楽しんでいた人が、最も大きなターゲット集団ということになります。年齢で見ると40代を中心に、30代後半から50代前半といったところですね。初回作である『空母決戦』の登録ユーザー数で見ると、40代が全体の52%を占め、30代が20%、50代が17%という内訳でした。
有限会社エレメンツ 取締役社長 石川淳一氏(以下、石川氏):潜在的なゲームプラットフォームとしての人口で言えば、PCはたいへん大きいんですね。そしてストラテジーゲームに馴染んでいる層を狙うことを考えたとき、家庭用ゲーム機だと「ニンテンドーDSは持っているが、Xbox 360は持っていない」といったプラットフォームの問題が生じてしまいます。それがないのはWindowsプラットフォームの魅力ではあります。
――しかし、縮小を続けている市場であえて勝負に出ることは、普通に考えればリスキーな選択肢だと思います。そこを製品の魅力で押し返すことは可能なのでしょうか?
谷村氏:この十数年、国産PCゲームが後退していったのは一面、“遊ぶに値するタイトルがない”という思いを多くの人が抱いた結果だと思っています。MS-DOS時代に比べてPCは格段に普及しましたし、MS-DOS時代にPCを使っていた人が、いま使っていないはずはありません。それでPCゲームが買われないのは、家族を持って10代20代の頃のように時間が割けなくなった、手持ちのPCではスペックが足りないなど、個々に理由があるはずです。そこをきちんと汲んで、世代のニーズにふさわしいゲームを作れば、事業として成立する余地は十分にあると思います。
石川氏:ユーザーを獲得できる潜在的な可能性はあるんですが、どちらかというと顧客接点そのものが問題だと思っています。例えば地方に行ってしまうと、福岡ですらちょっとマイナーなタイトルまできちんと並んだPCゲーム売り場はなかなかありません。『空母決戦』を最初に出したとき、Si-phonのお膝元である長崎ではどこにも売っていないという現実が起きているわけです。つまり、顧客となり得る人に、どうやって商品と情報を送り届けるかという問題でもあります。
谷村氏:ゲームを制作することは、極論すれば費用さえかければ可能です。ただし、告知の接点、販売の接点については、漠然と努力しただけではなんともなりません。かつての『ログイン』のように、PCゲーマーに広く認知されたメディアがなくなり、いまはWebメディアがゲームの情報を担っていますが、40代以上のオールドゲーマーの多くは、そうしたWebメディアの情報を追いかけてすらいないのです。
――確かにPCの使い方そのものに、世代間ギャップがあるのかもしれませんね。
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