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2010年8月27日(金)

【経営者は語る第9回】縮小するPCゲーム市場の可能性に着目するSi-phon

文:電撃オンライン

■10時間で終わって繰り返し楽しめるという“新しさ”

――では、新作の『戦ノ国』について、既存の戦国ストラテジーと違う部分、先ほどお聞きしたSi-phonの販売戦略に沿った部分を中心に教えてください。

『【経営者は語る第9回】Si-phon』 『【経営者は語る第9回】Si-phon』
▲si-phonがオールドゲーマーをメインターゲットに据えて8月27日に発売する、戦国ゲーム『戦ノ国』。10時間で終わるスピーディな進行ながら、幅広い展開が特徴だという。

谷村氏:戦国ストラテジーは20年以上かけて開拓されてきたジャンルですから、普通のやり方でゲームを作っても、二番煎じな印象が付きまといます。そこで新たに考えたのは“天下を統一するだけがエンディングじゃない”ゲームにすることです。ゲーム内で自分が担当していない大名家が天下統一に向かって邁進しているとき、それに協力して重きを成すのも一案ですし、最後まで抵抗を続けるのも一つのプレイスタイルだと思います。それらすべてをエンディングに包括したかったのです。

 そして戦国ストラテジーではシリーズ物が代を重ねた結果ボリュームによる差別化が行われ、プレイに100時間くらいを要する作品も多くなっています。それがプレイヤーを選ぶ結果になっていると思いますので、1プレイが10時間くらいで終わるようにしました。これなら週末二日で十分に終わらせられますし、平日にプレイするとしても1日2時間ずつで一巡できます。繰り返し楽しんでもらえたらな、と。とりわけ、きちんと最後まで遊べないと、ゲームのおもしろさは伝わりません。

石川氏:社会人に楽しめる作品にしたいというのが、Si-phonのブランドとして重視しているポイントです。とはいえ短時間で終わる戦国モノが、『信長の野望』シリーズや『天下統一』シリーズの劣化版みたいなものに終わっては困ります。そこで考えたポイントは二点あり、一点目は日本統一レースに勝とうが負けようが、プレイに費やした時間を無駄に終わらせない仕組みを作れないか、ということでした。もう一つは――僕がゲームを作るうえで課題だと考えている事柄なんですが――あるゲームをプレイしたときの楽しさが、同じゲームをプレイした人以外にも伝えられるようでないといけない。そうしないと、周囲に広がっていかないと思うのです。

 そう考える中で出てきたのが“単に勝ち負けじゃなくて、そのプレイヤーのやったことが歴史にどんな影響を与えたかが語られる”という、年表形式のエンディングでした。

――プレイ時間の短縮に関しては、内政ルールをシンプルにしたことが、すでに製品情報として出ていますね。

石川氏:はい、内政については大名家全体として大方針だけ、例えば“農業をやや重視する”“商業を重視する”といったことを決めれれば、あとは自動で発展していくようにしました。兵力の増強についてもそうで、自動で増えて俸禄の割合に従って各武将に配分されます。さらに自家が大きくなったら、手に入れた国々を知行地として配下の武将に与えることで“譜代大名”に取立て、運営方針ごと任せてしまえます。直轄地が増えていくと内政の効率が低下していくように設定していますから、むしろ配下の武将に積極的に任せたほうがいいんです。

 国には“安定度”というパラメータを設定していて、これが低いと国内にまだ反抗的な領主が残っていたり、村々が抵抗を続けていたりという状況を表しています。安定度が低いと、いくら石高の高い国であっても収入が減るのです。そして安定度を上げる“統治”コマンドは、戦争関連と同じカテゴリー、タイミングで発動できるようになっていますので、ここも武将と配下の兵力の使いどころになっています。

『【経営者は語る第9回】Si-phon』 『【経営者は語る第9回】Si-phon』
▲内政については優先課題を数字で振り分けるだけと、シンプル。各武将が率いる兵力の上限は俸禄/知行高で決まり、損害は自動で補充される

――農業、商業、鉱業が分かれているとなると、それぞれの収入も分かれているわけですよね。

石川氏:収入源は分かれていますが、ゲーム内では“財”ないし“財力”という数値に一本化しています。つまり収入源の違いは“財”が入ってくるタイミングと量の違いですね。

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