2010年8月27日(金)
――ただ裏を返せば、うまく潜在的な顧客やショップとの間をつなぎ直せれば、それなりに堅実な需要は見込めるはずだと。
谷村氏:かつてのように、1作品のヒットで10万本といった数字に戻るわけではないと思いますが、それなりに事業として回ると見ています。PCパッケージゲームの現状を嘆いている人が大勢いるうちに、新しいアプローチ方法を確立するしかないですね。
――実際、大作のシリーズもので、ファンの期待を裏切らないできだったとして4~5万本というあたりが、おそらく現在のセールスの上限数値ですよね。1万5000本くらいでスマッシュヒットだと言われるのが、PCパッケージゲームの現状だと思われます。『戦ノ国』の目標販売本数は、どのくらいを目標に考えていますか?
谷村氏:2万本を目指しています。出せば売れるという商売ではありませんので、打てる手はどんどん打っていくつもりです。そして実際に届くかどうかはともかく、現実的に目指せる目標として2万本という数字を意識しています。
石川氏:市場の潜在的な可能性とマーケティングが合致すれば、達成できる目標だと考えています。逆に1万を割り込むところに目標を据えると、かけられるコストや制作期間の問題から、本格的な新作タイトルの開発は無理、ということになりかねませんしね。
――作品の規模や開発工程を工夫していっても、確かに開発予算の節減には限界がありますよね。
石川氏:ただ一方でゲームのデザイン側も、売り方やプロモーションを内包して取り組まざるを得ない時代だと認識しています。詳しくは後で述べますが、今度の新作『戦ノ国』で僕が年表のシステムにこだわってテキストで吐き出せるようにしているのは、プレイした人から未プレイの人に、『戦ノ国』のどこがおもしろいのか伝えやすくする必要があると考えたからです。
誰かのプレイの結果が年表という形で吐き出され、それがブログなどに貼り付けられれば、ゲームシステムなどを事細かに語らなくてもイメージが伝わると思います。人の目を引くフックをゲーム自体のなかに仕込むことを考えていかないといけない。もともと戦国モノは比較的イメージしやすい素材ですが、だからこそほかの作品にない体験を盛り込まないといけない、と考えました。
――PCが一つのメディアに成長したことを、逆に利用することも考えていかなきゃ、というわけですね。
石川氏:はい。そういう側面もあります。PCゲームは非常にマニアックに作られるのが常でしたから、プレイヤー同士で会話が成立すればそれでよし、というところに留まっていたと思います。話題の作り方という意味では、任天堂さんをはじめとする家庭用ゲームメーカーに大いに学ぶべきところがありますね。なにしろ、いったんPCゲームをプレイしなくなっている人を狙うのですから。
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