2011年1月6日(木)
バンダイナムコゲームスから、2011年1月20日に発売されるPSP用ソフト『ヴィーナス&ブレイブス ~魔女と女神と滅びの予言~(以下、ヴィーナス&ブレイブス)』。特集第6回となる今回は、本作のプロデューサー・川島健太郎さんへのインタビュー前編をお届けする。また、電撃オンライン内の特集ページで募集していた、ユーザーの皆さんからの質問も交えてお話を聞いているので、投稿した人はぜひチェックしてほしい。
●川島健太郎さん プロフィール
『ヴィーナス&ブレイブス』ではプロデューサーを務める。もともとスポーツゲームを作りたくてナムコ(現バンダイナムコゲームス)に入社。『ファミスタ』などのスポーツゲームを制作した後に、PS2『7(セブン)~モールモースの騎兵隊~』やPS2『ヴィーナス&ブレイブス ~魔女と女神と滅びの予言~』を制作。近年ではWii『FRAGILE~さよなら月の廃墟~』を手掛けた他、iPhoneアプリなどの制作にも携わっている。
――“移植してほしい!”という声が多かったかと思いますが、今回、PSP版を発売するに至った経緯を教えてください。(まじあ†ほりっくさん)
実は、会社の中で「『ヴィーナス&ブレイブス』をリメイクしないか?」というお誘いをいただいたことが何回かありました。ある時、会社の偉い人に会議室に呼ばれまして、PS2版の売り上げ推移を記入したエクセル表を見せられまして。数値を見てみると、PlayStation 2 the Best版の『ヴィーナス&ブレイブス』が発売されて4年ぐらいになるのですが、いまだにリピートがかかり続けていたんです。普通のタイトルの場合だと、発売されて1~2年経つとリピートはなくなるのですが、『ヴィーナス&ブレイブス』は毎月毎月数百本単位で売れていたんです。そこで、一定のお客さんが遊びたいと思ってくださっているなら、それに答える必要があるだろうと。だったら、今はPSPもありますし「PSPで出たら、私はずっと電車の中でやっているだろうな」と個人的にも思いましたので、じゃあPSPでもう1回出してみようかと決めました。
――機種にPSPを選んだ理由というのは?
やっぱりS・RPGは電車の中でプレイするのが最高だとよく思います。ベッドの中で寝そべりながらダラダラやったり、据え置き機と違っていろいろなシーンで気軽にじっくり楽しめるという意味で、PSPはベストだと思います。そういう意味では、PSPというハードがあったからこそできたことだと思います。
――ファンからの要望も、すごく多かったとお聞きしましたが?
会社に手紙やメールを送ってくださる熱心なファンがいらっしゃったり、“たのみこむ”で本作の続編や移植、サントラ発売の要望が長い間ありました。また“COMIC CITY”という同人誌即売会で、『7(セブン)~モールモースの騎兵隊~(以下、7)』10周年、『ヴィーナス&ブレイブス』7周年を記念するイベントを有志の方がされていて。こういったイベントが地道に続いていた、というのも背景にあります。
――『7』ではなく、なぜ『ヴィーナス&ブレイブス』のPSP版発売なのでしょうか?(たっきーさん)
『7』の移植は検討の中にはありました。『ヴィーナス&ブレイブス』はたくさんのキャラクターが登場して、群像劇みたいなことが描かれていきますが、もともとそういうことをやりたくて作っているんです。主要キャラクターが5~6人いる、というゲームはたくさんありましたが、時代時代でヒーローがどんどん変わっていくような群像ドラマ・歴史絵巻のようなゲームが他にたまたまなかったので、「だったら『ヴィーナス&ブレイブス』を先にやってみよう」ということから、『7』ではなく『ヴィーナス&ブレイブス』を開発することになりました。
――PSP版を制作する上で、注意した点や心がけた点があれば教えてください。
PSP版を作ろうと考えた時に、一番最初に考えたのが“大きく変える”か“できるだけ当時のものを再現する”かの2つだったんですね。実は最初にいろいろと絵を作って、どういうものが画面栄えするか試してみたんです。PSPの画面に出しながらレイアウトなどを検討したのですが、PS2版の一枚絵をPSPで出してみると、PSPの表現力がとても高かったのでことの他キレイだったんです。じゃあ、このキレイなままで表示できるなら、できるだけPS2版のインターフェースやレイアウトを崩さないようにして、そっくりそのままPSPで遊べるようにしようとしました。
――PSP版では、新規ビジュアルや追加イベントCGなどは入っているのでしょうか?(れいなさん)
イベントに関しては『テイルズ オブ』シリーズのキャラクターが参戦するものが追加されたり、『ヴィーナス&ブレイブス』を作っている時に、時間が足りなくていれ切れなかったイベントのアイデアが入っています。『7』を作る前に、プレイステーションでそのプロトタイプとなるゲームを作っていたんですよ。その時に入っていたり、アイディアとしてあったイベントを10種類ほどランダムイベントに追加しています。その部分のグラフィックに関しては、新しく描き下ろしています。
――プロトタイプになったゲームというのは、世には出なかったんですか?
これは“せつない”話なんですよ(笑)。一番最初に『7』の企画書を社内で配った時に、誰からも賛同してもらえなかったんです。それでがっかりして、先輩のプログラマーと2人で勝手に作っていたんです。その時は、上司から「別の仕事を手伝ってよ」とかいろいろ言われていたのですが、一切無視して2人でそのゲームだけを作っていましたよ。今思うとよくクビにならなかったと思います。それで、そのゲームはでき上がった後に、売るわけにもいかないので会社の中でたくさん配りました。
それとは別に、『7』の元になっているゲームは『ファミスタ64』のモードの中に入っているんです。日本列島に毎年宇宙人が攻めてくるという設定で、一年間に日本列島のさまざまなところを旅して、プロ野球選手たちを集めて宇宙人を撃退するチームを編成します。それで、大晦日に宇宙人と野球をして勝つと地球が守られる、というモードなんです。宇宙人は毎年攻めてくるので、だんだんと選手がピークを迎えていって、代替わりをさせないといけなくなる。
――完全に『7』ですね。
野球になっている『7』なんです。そのモードが基本的なベースになっています。そのころから『7』みたいなゲームを4本くらい作っていますので、きっとこういうゲームが好きでしょうがないんでしょうね。
――そのころのアイデアが、今回追加要素として収録されているというわけですか?
そうです。10年越しにようやく入ったイベントもあります。“武者修行”というイベントは『7』にはありますが、『ヴィーナス&ブレイブス』では強力すぎて入れなかったんです。それが戻ったりしているので、ゲーム性という意味では十数年かけて同じようなルールのゲームを調整し続けているような感じですね。その最新版が今回のPSP版『ヴィーナス&ブレイブス』です。
――体験版に『Waltz for Ariah』が収録されていませんでしたが、製品版には収録されますか?(雪菜さん)
製品版ではバッチリ入っているので、心配されているかたはご安心ください。
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