2011年7月20日(水)
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――先ほどの構え撃ちについてお話を伺いたいと思います。キャノン系の武器に構え撃ちが入ったのは、やはり強力だからですか?
まあ、単純にカッコいいんでというのもありますが(笑)。それと戦術の中での役割的な話で、狙撃手はオーソドックスなキャラクターとして居たほうがいいよね、という話があったんですよ。でも、たとえば4脚タイプじゃないと狙撃手はできない、という風にするのは違うだろうと。じゃあ、2脚タイプで狙撃手をするならどんな個性付けをしよう? と考えた時に、昔あった構え撃ちというのをもう1回やろうか、という話になりました。
昔の構え撃ちは、強力な武器が使える代わりに動けなくなるというメリット、デメリットがあった。けれど、結局デメリットの方があまりに大きすぎるので、あまり使われていなかったと思います。それをある程度打破するために、『ACV』は一部の脚に盾が付いていて、構え時にそれを展開することで防御力が上がる、という要素を付けています。構え撃ちが、実際にどれくらい使われるかはやってみないとわからないですが、男の子は強い弾をバカンバカン撃つのも好きだろうと(笑)。
――ただそれでも、構えを一切気にしなくていいタンクタイプが、キャノン系武器を使う時の選択肢とはなりませんかね?
ただタンクは、ブーストドライブという三角飛びみたいなアクションができないんですよ。跳ねるような脚がないので。だから、高いところに行くのがかなり難しいです。それからタンクは、ブーストチャージ(脚を使ったキック攻撃)が非常に強力です。タンクの場合は体当たりですね。ブーストチャージは、ちゃんとスピードと重量とでダメージが変わるようにしています。なるべく遠くから高速で突っ込んで、タイミングよくバーン! とやると、即死は極端にしても、比例してダメージが上がる。うまく使うと、かなりいい感じですよ。
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――重量と速度では、どちらが大事なのでしょうか。
今のところはスピードです。立ち止まってる状態からも蹴れますが、それだとかなり威力が落ちます。これがアリになると、ストンピングみたいに蹴り続けることができてしまうので。それはダメだろうと。スピードの方が重要というのは、最後まで変わらないでしょうね。
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――カッコよさの話もありましたが、今回は構えた時や、ハンガー武器の切り替え時など、メカらしい動きの作り込みが感動モノですよね。逆に、戦闘と直接関係ない部分を作り込む時間があるなら、早く出してほしいという声が上がるかもしれないくらい(笑)。
いや、メカを感じる細部のアニメーションは大事だと思いますよ。特に日本人はかなり機械好きだと思いますし、おそらく世界で一番ロボットになじみがある民族ですからね。ハンガー武器の切り替えアクションも、そこのアニメーションを作ってる人間に、「これが、このゲームの萌えポイントだから!」と言ってるので(笑)。気合を入れて、やってもらっています。
――たとえがわかりやすい(笑)。萌えポイントが、ハンガーの武器を取る時の動きというのも、フロム・ソフトウェアさんらしいといいますか。
でも機械の魅力って、そういうところだと思うんですよ。よどみなく適切に動いている感じというか。カメラでオートフォーカスした時、レンズがウィンウィンって。あの動き、意味もなくカッコいいじゃないですか。それだけ何回もやってみたくなる(笑)。あれがポイントだと思うんですよ。
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――ガレージで、メカの細かな動きがいろいろと見られるようになっているのも、やはりそういった部分ですか?
ガレージは毎回凝りたいとは思っているのですが、できないことも多くて。『ラストレイヴン』などは、凝っていたほうだと思いますが。ただ今回は時間をもらえたので、かなり作りましたね。『グランツーリスモ』などもそうですけど、自分のマシンをニヤニヤしながら見てたいじゃないですか(笑)。
――それはありますね(笑)。そうして妄想やテクニックを詰め込んだ機体を実際に自分で動かす……男のロマンを感じます。
でも、僕らとしてはロマンよりもリアル寄りの考え方をしているんですよ。ここでいうリアルは、現実という意味ではなくて、ACやそれを支える設定とか世界観とか、そういう大きなウソを最初に肯定してもらった上で、「その世界観の中では本当に起こりうる」、「こんなことが起きないとウソだ」っていう意味でのリアルです。フィクションでは全部そうだと思うんですけど、世界観の上でつじつまが合うこととか、存在しうる見た目とかを毎回考えながら作っているので。
――なるほど。けれどフィクションであることを踏まえても、『ACV』は「もしかしたら本当にあるかも」と思わせる感じがちょっと強くなりましたよね。
そういう意味では、まだまだですけどね。それでもいくつかはやれたかなと。格納武器なんかは特に。突然、どこからともなく武器が出てくるというのが、納得できないというか、やっぱり気になっていたので。一応、コアだったり脚だったりに入れている設定だったのですが、だったらちゃんとその動きを見せないとダメですよね。だから『ACV』は、そういう不満だった部分をいじることもしています。
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――どのようなところですか?
たとえば気付いている人も多いと思うんですが、今回のタンクは、今までとは大きくデザインを変えています。今までのタンクって、脚部の真ん中あたりにコアが載っていたんですね。それと、タンクの上にポンとコアが載っていたので、腰の部分がきゅっと狭まっていて、正面から見たフォルムが砂時計みたいな体型だった。
その2つが、僕はすごく嫌だったんです。単純にカッコ悪いし、細いところが弱点にしか見えないし。頑丈にしたいからタンクなのに、明らかに細い弱点部分があるっていう。こういうものが本当にあったとしても、こうはならないだろうと。もっと一体感のあるデザインじゃないと現実味がない。
――すると『ACV』では、どのような部分を意識されているのでしょうか。
今回はまず、接続部分の構造を変更して、コアが脚部に埋没しているようなデザインにしているんです。コアを後ろ側に持っていったのは、武器を持った状態で、上半身部分が脚の面積内に納まる感じにしたかったからですね。コアが真ん中にあると、武器を持たせた時に前につんのめりそうな感じになっていたので。
タンクは硬いイメージがあるし、実際そうなので、ギュッとまとまった感じのものを作りたかった。けっこうカッコいい感じには、なったんじゃないかなと思います。
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