2011年10月21日(金)
▲「あの頃は色々と振り回されて大変だった」と語る安宅氏(左)と千頭氏(右)。 |
一方、日本ファルコムでグラフィックデザイナーとして開始した千頭氏は、いくつものプロジェクトを渡り歩きながら、フリーのクリエイターとして独立。時には自宅作業も混ぜながらさまざまな方面からの仕事をこなしていた。
千頭 デザイナー職だったので専属でどこかのプロジェクトにかかわるということは少なかったですね。これまで40近いタイトルにかかわってきましたが、ゲーム中のテクスチャー部分だったり、エフェクト部分だったりと、ラインとして考えると同時進行で仕事をしていた感じです。格闘ゲームなども作りましたし、ほぼすべてのジャンルのゲームにかかわったと思います。
ゲームの制作現場のなかには想像を絶する現場もあり、つらかったと千頭氏は語る。
千頭 体調の悪くなった方の家にタクシーでやってきて会社に連れ戻したり、2週間泊まり込んで仕事をした後に土日で旅行に出かけている人を連れ戻そうとしたりとか……(笑)。
安宅 当時は自由な時代でしたね(笑)。
また、毎週のようにマスターアップが行われる現場もあった。この“毎週マスターアップ”という現象とはなんだろうか。
千頭 競馬の鞭みたいなものですかね……。ラストスパートだから寝ないで頑張れ……みたいな。実際にはあと2週間でマスターアップだから頑張ってと言われながら作業をして、毎週のようにマスターアップが伸びていき、2ヵ月後にようやく終わりました。
安宅 俗に言う“ズル伸び系のデスマーチ”ですよね。
千頭 開発に入ったとたんに業者さんが布団をたくさん持ってやってくるんですよ。フロアなども大きかったですし、規模の大きいチームでしたので、その布団の量はもうすごかったです。しかも運が悪いことに、僕は前のプロジェクトがマスターアップして休みなく助っ人として回されたんです。そうしたら布団が大量に置いてあるという……(笑)。この現場をきっかけに会社員を辞めて、自分の責任で仕事を選べるフリーになることにしました。
フリーになった千頭氏は、安宅氏が所属していた会社の下請け会社にディレクターとして招かれ、ゲームの制作を行っていた。安宅氏との出会いはこの頃、1998~99年あたりだった。
千頭 当時作っていたゲームのアルファ版を受け取りに来たのが安宅さんでした。
安宅 僕自身は何もよくわからないまま受け取りに行ってましたけどね。
千頭 当時、僕がいたチームは安宅さんのいた会社で寝泊まりしていたのですが、隣が応接室だったんです。応接室というと大抵の場合、テレビが置いてあるじゃないですか。そこに安宅さんが毎朝さきほど言っていた『DDR』のマットを持って入っていって、汗だくになって出てくるんです。
安宅 朝の準備体操です(笑)。その時はまだゲームを作ったりはあまりしていなくて、営業というか広報みたいなことをしていました。
そして、いよいよ千頭氏と安宅氏がともにゲーム制作の現場に携わることになる。当時PSで発売された『ウィザードリィ』の制作である。千頭氏はここでディレクターを務め、安宅氏は企画としてプロジェクトに参加する。当時、千頭氏はフリーだったため、制作会社にディレクターとして雇われていた。そこにクライアントのクライアントとなる会社から、自分の下に企画として安宅氏が来たのである。
千頭 クライアントが下に入るのは現場がやりにくいパターンですよね。指揮系統が混乱して作品も迷走しかねないので。以前のプロジェクトでも同様のことがあったので「またか……」と思いました。でも、実際はさらに奇妙な状況になりました。
当時、千頭氏と安宅氏は面識こそあったにせよ、このプロジェクトによって初めて顔を合わせて話した程度の間柄だったという。この制作チームは、安宅氏をのぞくほとんどが外注のメンバーで構成されており、休日は所属会社による状況だった。安宅氏はその時、ちょうど前のプロジェクトが終わったばかりで休暇を取っていたという。そこで安宅氏は驚くべき行動に出た。
安宅 休みを利用して千頭さんの家に泊まりに行きました。
当然ながら千頭氏は休暇ではない。「休みじゃないから」と言う千頭氏に、「鍵を渡してもらえればいい」と安宅氏は言った。
安宅 ここで“チーム ムラマサ”が誕生したってわけですよ。まだそういう名前はありませんでしたが。当時、千頭さんの自宅は八王子の近くの豊田にあったのですが、まさしく『ぼくのなつやすみ』状態でした。虫採り網を持ってかけまわっていましたね。
千頭 うちの前ではザリガニも採れましたからね。まあ、夏休みなのはいいのですが、安宅さんから会社に電話がかかってくるんですよ。しかもその内容が「エアコンのスイッチはどこ?」とか「お風呂のつけ方がわからない」とかですからね。で、エアコンのない開発室から仕事が終わって自宅に戻ると、エアコン全開でうつ伏せになってボーッとTVを見ている安宅さんが待っている……。
安宅 夏休みですからね。
千頭 「ご飯あるよ~」とか言ってくるんですが、一番最初に作っていたご飯が失敗したゴーヤチャンプルーでしたからね。
安宅 栄養があるって聞いたので作りました。でもレシピを見て作ったのに非常に不味いものが山のように出来上がりましたね。まぁ自分の料理の腕が原因なので、完全に自分のせいですが(笑)。
(C)2011 Experience Inc. Published by KADOKAWA GAMES
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