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2011年12月28日(水)

【通好みゲームメーカー 会社案内 Vol.4 ケイブ編】浅田氏が『インスタントブレイン』で伝えたかったこと、そして梅本氏への思い

文:megane

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2012年、ケイブは何をリリースしていくのか

――『インスタントブレイン』が発売されて、これで発表されているタイトルはすべて発売し終わったと思いますが、今後はどういったタイトルを展開していくのでしょうか?

浅田 ケイブとしては、これからもXbox 360でタイトルを出していく予定です。Xbox 360向けタイトルは何本かありますが、そのうちの1本を紹介できるのは、年明けくらいですね。ただ、Xbox 360の現状を考えると、国内だけを見据えてというのはなかなか難しい状況ではあると思います。これまで、自分が出してきたタイトルはすべてXbox 360に向けたものでしたが、市場の状況を見ると他のプラットフォームにも合わせた展開を本当に考えなければいけないかな、と思います。もしかしたら、もう遅いかもしれませんが……。

 他のプラットフォームというのは、家庭用機のみではなく、スマートフォンなども対象です。家庭用に向けてゲームを制作されている人は、こういったスマートフォン向けのタイトルを作ることに抵抗のある人が結構いるんですが、自分はそういったプラットフォームでも気にしないんです。それよりも重要なのは、幅広いプラットフォームでいかに触ってもらう人を増やせるか、ということだと思います。それが、会社の利益にもつながっていくのではないかと思うんです。もちろんXbox 360にも注力していきますが、今はほかのプラットフォームにも展開していく転換期なのかなと。

 こういったスマートフォンでゲームを作ることは、今だけの一時のブームかもしれません。でも逆に言えば、今体験しておくことが、すごく重要なことだと思っているんです。例えば自分が今、PCエンジンやドリームキャストのゲームを作りたいと思っても、なかなか作れません。スマートフォンを1つのハードとして考えて、今のうちに試しておくのは悪くない、と個人的には思っています。

 とはいえ何度も言いますが、Xbox 360向けにゲームを作らないわけではないですよ。Xbox 360はXbox 360として“適切な市場”があると思いますし、ユーザーさんもいらっしゃるんで、これからも作り続けていくと思います。

――それはTeam ASDFとしても、もちろん同じような感じですよね。

浅田 そうですね。プラットフォームに限らず、ちょっとトゲがあるような作品を作っていきたいと思っています。ちょうど今、いくつかの企画がありますし、他のメーカーさんから「ちょっとやってみませんか?」というようなオファーもいただいていますので、どれにしようかなと考えているところです。

 逆にこの記事を読んだゲーム業界の方で、「浅田にこれをやらせてみたい」と思うものがありましたら、どしどし浅田までオファーをください。待ってます。


日本でのXbox 360の現状について

――浅田さんはXbox 360に向けてタイトルを作っている開発者の中でも物申す開発者として有名ですが、そんな浅田さんから見た、日本でのXbox 360の現状について教えてください。

浅田 そうですね、自分はおそらくこれまでマイクロソフトに対して、一番物申している人物の1人なんじゃないかと思います。相当ケンカしてますからね(笑)。ただ、仲の悪いケンカではないんですよ。「それはおかしいだろ」と思う点を本気で言い合っているから、ケンカになっているというわけで、仲が悪いわけではないんです。東京ゲームショウのあとのパーティなどもちゃんとお呼ばれしていますし!

 ケイブとしては、2009年に『デススマイルズ』を発売してXbox 360に参入したわけなんですが、当時から現在までを見ていると、あそこ(2009年)が日本でのXbox 360の最高潮の時期だったのではと思います。

 ハードの販売台数が累計100万台を越えてからの伸びは非常に遅いですよね。とはいえ、他のハードと比べると辛い状況にはありますが、既存のユーザーさんを大事にしつつ、新しいユーザーさんを取っていくという方向以外に、やりようはないと思っています。

 それで何をすれば、両方のユーザーさんを大事にしていけるのかというと、やはり引きのタイトルを集めつつ、Xbox 360というハードはこんなにいいハードなんだ、というところをアピールしていかないとダメだと思っています。

 とはいえ、Xbox 360って機能的な一番のウリは、やはりゲームだと思うんです。ゲーマーに特化したハードという売り方が合っているのではと思います。最近のライト層向けの売り方ももちろん大切ですが、やはりズレている部分もあるのではないかと思いますね。

 もっとゲーマー向けに掘り下げるやり方もあると思いますが、逆に掘り下げていくと今度は広がりがなくなってしまうので、なかなか難しいですね……。ただ、1つ思うのは、国内でがんばっていくなら、ファーストパーティである日本マイクロソフトががんばってソフトを出していく必要があるのではないでしょうか。国内制作の大作というと、2007年に発売された『ロストオデッセイ』以降、何もないですよね。もっと出してほしいんです。だからこそ『Jockey’s Road』なんですよ!

――うまくつなげてきましたね(笑)

浅田 まぁ、それはそれとして、Xbox 360で今でも遊んでいるユーザーさんというのは、すごくXbox 360に対して愛があるユーザーさんだと思います。「一番好きなハードはXbox 360」と言えるユーザーさんが非常に多いと思いますし、イベントなどに来てくれるユーザーさんも、よく見る顔がいっぱいいるんですね。

 そんなユーザーがたくさんついているハードというのは、やはりどこかに大きな魅力があると思いますし、売れないということはないと思うんですよ。今言ってもちょっと遅すぎたかもしれませんが……。ただ、皆さんに勘違いしてほしくないことがあります。よく「日本マイクロソフトはわかってない」という意見が聞きますが、そんなことはないんですよ。わかってはいるんですよ。わかってはいるんですけど外資系なんで……海の向こうにお伺いを立てないといけない。自分の口からフォローするのもアレなんですけど(笑)。

 とはいえ、開発者的な立場から言わせていただくと、昔よりもだいぶやりやすくなりました。融通が効くようになったというか……。ですので、今後もマイクロソフトさんとは一緒にやっていきたいと思っています。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 これまで、アーケードからXbox 360に向けて良質なシューティングゲームを数多く移植してきたケイブおよび浅田氏。年明け頃から新たな展開を見せるということで、期待したいところです。また、インタビュー中に語っていたスマートフォンなどの他のプラットフォームへの展開にも注目ですね。

(C)2011 CAVE Interactive CO.,LTD.

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