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2012年6月1日(金)

会員数600万人以上を誇る『ドラゴンコレクション』の生みの親に聞く大ヒットの秘密とゲーム作りのこだわり

文:電撃オンライン

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■ソーシャルゲーム制作スタジオが創設! 兼吉氏が求める人材とは?

――今年4月に、主要ソーシャルゲームを制作・運営する制作スタジオ“ドラコレスタジオ”が創設されたと聞きました。創設の理由や狙いについて教えてください。

兼吉:会社としてソーシャルゲームにも注力していくということが明確になったというところでしょうか。そもそも当社は、内製でソーシャルゲームを制作してきました。まだまだ多くのゲームメーカーがソーシャルゲームを外注に出していることを考えると、かなり先駆けた展開だと感じています。

――ドラコレスタジオは、『ドラゴンコレクション』だけを作り続けるところなのでしょうか? それとも、他のソーシャルゲームも制作していくのでしょうか?

兼吉:ソーシャルゲーム全般という形になります。ただ、ソーシャルゲームに限ったわけでなく、オンラインでつながっているフィールドであれば、なんでもやっていくつもりです。

――スタジオを作る際に意識した部分を教えてください。

兼吉:今までのコンシューマゲームの制作部署ですと、各自の机がパーティションで区切られて、個々でコツコツとやっていく形でしたが、それを払拭したいと考えました。ソーシャルゲームを制作するに際して、スピード感がある意思疎通を行うことは大事ですし、コミュニケーションが取りやすいオフィス環境も重要だと思っていたんですよ。『戦国コレクション』チームはスタジオ化の前から自主的にパーティションを外していたんですが、その結果として、かなり意思疎通がしやすくなった前例もありましたので。

『ドラゴンコレクション』 『ドラゴンコレクション』 『ドラゴンコレクション』
▲とにかく明るい雰囲気のオフィス。スタッフ同士での意思疎通がしやすいように、パーティションもほとんどない設計となっている。

――ゲームの制作現場としては、ちょっと珍しい感じがします。

兼吉:とにかくコミュニケーションに起点をおいたオフィス環境作りというものを行いました。お客様の反応に迅速に対応したい時、パーティションがあるだけで話しにくかったりするので、その場ですぐに対応できるようにしたいといった意図があります。ちなみに会議室も壁がなかったり、ガラスで中が見えるようになっていたりと、オープンな作りとなっています。

『ドラゴンコレクション』 『ドラゴンコレクション』
▲会議室とは思えないほどオープンな作りが印象的。働きやすい環境作りを重視して、スタジオのデザインにも気を配ったとのこと。

――ちょっと余談になりますが、スタジオの施設面で自慢したい部分などはありますか?

兼吉:新設したばかりなので、とてもきれいで広いですね。設置しているモニターの大きさは、ちょっと自慢できるかもしれません(笑)。あとは、制作スタッフが快適に仕事をできるような設備にも力を入れました。集中して仕事をしつつ、合間合間できっちりとリフレッシュして仕事に戻れるように、リフレッシュスペースは充実させましたね。

『ドラゴンコレクション』 『ドラゴンコレクション』
▲非常に大きなモニターが設置されたスペース。主に社内でのプレゼンなどに使われるようだ。▲仕事の合間に利用できるリフレッシュスペース。休むことも大事だと考え、くつろげる空間となっている。

――ちょっと失礼な質問で恐縮ですが、一般的にソーシャルゲームは少人数でも作れるといったイメージがあると思います。実際のところはどうなのでしょうか?

兼吉:パッケージゲームでの大作と比べて、小さい規模で形にできることは事実だと思います。それこそ、システムを組むだけなら、数人でちょっと時間をかければ形にできるでしょうね。ただ、作品を立ち上げるからには末永く大事にしていきたいですし、クオリティも高めていきたいです。そうなると必然的に、制作や運営における体制作りをしっかりとしておく必要があり、規模に応じてスタッフ人数も必要になります。『ドラゴンコレクション』を例にすると、600万人以上のお客様に楽しんでいただくために継続的にクオリティを維持することは、とても労力やランニングコストがかかるんですよね。正直なところ、人手は今も不足しています。即戦力は大歓迎ですね。

――パッケージゲームとソーシャルゲームで、現場に求められる素養に違いはあるのでしょうか?

兼吉:個人的には、どちらもゲームを作ることに変わりはないので、根本的な部分で違いはないと思っています。もちろん、職種に応じた最低限のスキルや、ソーシャルゲームならではの特徴を理解して、それに対応できるだけの能力は必要になると思いますけど、一番大事にしたいのは“おもしろいゲームを作りたい”という気持ちだと思います。

――技術よりも情熱が大事だということですか?

兼吉:極論を言うと、技術って後からでも習得できるものなんですよ。もちろん、中途採用などを行う際にはスキル面もチェックしますけど、自分としては“一緒に楽しく、おもしろいゲームを作れる人”を大事にしたいです。あとは、最低限のコミュニケーション能力ですかね。個人が決められた部分を担当するコンシューマゲームの制作でも重要になりますが、ソーシャルゲームのスピード感で制作をする場合には、周囲と交流を深めることが必要不可欠になります。

――兼吉さんから見て、コナミデジタルエンタテインメントという会社はどんな会社ですか?

兼吉:お客様を大切にしたいという精神は強いと思います。あとはチャレンジ精神ですね。新しいことに果敢にチャレンジしていく人が評価される会社です。社内にはさまざまなノウハウがありますから、挑戦したいと思ったことを形にしやすいのも特徴だと思いますね。どんな分野でも絶対に自分たちの力でヒットコンテンツを生み出すことのできる会社だと思います。社内のノウハウ共有の仕組みがしっかりとできていて、1つの成功を次の成功へとつなげることに、とても長けた会社なんです。

――入社後にはどんな作品に携わられたのですか?

兼吉:小島秀夫のチームに入り、『メタルギア ソリッド』シリーズの制作に参加しました。中でも『メタルギア ソリッド 3 サブシスタンス』のオンライン部分を担当した経験は、今に大きく生きています。

――最後に、今後の『ドラゴンコレクション』の展開について教えてください。

兼吉:今後加えていきたい機能は、すでにかなりの数をリストアップしています。なんでもかんでも反映させてしまうと収拾がつかないので、どれが本当にお客様にとって便利なのかをしっかりと見極めて対応していくつもりです。

――『ドラゴンコレクション2』のような、シリーズの続編的な展開はありうるのでしょうか?

兼吉:パッケージゲームではないので、『2』のようなナンバリングで分けた形での続編として展開するのは問題が多そうな気がします。これまで遊んでくれたお客様の方々のプレイ結果をどうするべきかを考えるだけでも、対応が大変ですから。なんにせよ、これからも『ドラゴンコレクション』は、お客様からの意見を大事にして必要なものを実装していくという形で進化を続けたいと考えています。

『ドラゴンコレクション』
▲技術よりも、よりよいゲームをお客様に届けたいという気持ちが大事だと語る兼吉氏。かつてディレクターを務めた『ドラゴンコレクション』は、今後もお客様の意見を聞きながら進化させていきたいとのこと。

(C)Konami Digital Entertainment

■『ドラゴンコレクション』URL
 http://pf.gree.jp/1

『ドラゴンコレクション』
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