2012年9月5日(水)
バンダイナムコゲームスから、9月6日に発売されるPSP/3DS用ソフト『ロストヒーローズ』の開発スタッフインタビューをお届けする。
|
|
---|
『ロストヒーローズ』は、『ウルトラマン』『仮面ライダー』『ガンダム』シリーズの新旧15キャラが、悪に完全支配された絶望の世界に立ち向かう“ヒーローRPG”。力や技を失い、圧倒的に劣勢なヒーローたちによる、重厚な長編クロスオーバーストーリーが展開する。プレイヤーは、15人のパーティキャラクターの中から好きな4人を選んで自由にパーティを編成し、さまざまなダンジョンを攻略していくことになる。
インタビューでは、本作のプロデューサー・小菅寛史氏、企画・ディレクター・プログラミングなどを担当した開発会社ランカースの代表取締役・星野光弘氏、3Dモデルやキャラクターモーション、エフェクトなどを担当したランカース・藤井昌典氏、ヒーローのキャラクターデザインやコンセプトアートなど、主に2Dイラストに携わった、ランカース・大河原正章氏の4名にお話を伺っている。開発経緯や作品の魅力、開発中のエピソードなどを聞いているので、本作の発売を楽しみに待っている人は、ぜひチェックしてほしい。(インタビュー中は敬称略)
――これまでのコンパチヒーローシリーズを見ると、今回のダンジョンRPGというジャンルはかなり珍しいと思うのですが、当初から『ロストヒーローズ』を本格ダンジョンRPGとして開発することを決めていたのでしょうか。
|
---|
▲左から大河原氏、藤井氏、星野氏、小菅氏。 |
小菅:過去のコンパチヒーローシリーズには、RPGやACTなどさまざまなジャンルのタイトルがありましたが、その中でも特にRPGの作品が好きだと言ってくださる人や、また新しいコンパチヒーローのRPGをプレイしたいというファンの声をいただいていました。なので、新コンパチヒーローシリーズとしてタイトルを展開していくことになった時には、“新しいRPG作品を提供したい”という考えがまずありました。
では、それをどういったゲームにしていこうかと考えていた時に、ちょうどランカースさんとのご縁がありました。そのご縁が、RPGの中でも「ダンジョンRPGはどうだろう?」と考えるきっかけになりました。そこで具体的に世界観やシナリオの方向性のイメージを広げていった時に、ダンジョンRPGだからこそのストーリーや世界観、そしてゲーム性的にも、今までのコンパチヒーローRPGとはまた違った遊びが提供できそうだと手ごたえを得ました。
それらのイメージを草案としてまとめた段階で、ランカースさんに「コンパチヒーローでダンジョンRPGを企画したいです」とご相談に参ったのがおおまかな経緯です。そこで「興味があります」とよい回答をいただいたので、具体的な企画書の形にして進めていきました。
――ランカースさんとしては、最初に“コンパチヒーローでダンジョンRPG”というお話が出てきた時に、どう思われました?
|
---|
星野:ビックリしました(笑)。「えー!?」って。これまでダンジョンRPGをずっと作ってきましたが、難易度やシステムも含めて難しいジャンルだと思うんですよ。でも、お話をいただいたのはコンパチヒーローなので、そこまでシビアにしないイメージ、どちらかと言うと“明るいお祭りっぽいイメージ”だったんです。
その中で、小菅さんから「シリアスでしっかりとした骨太なRPGを作りたい」とご相談を受けて、そこで本当に驚きました。ただ、そういうご相談を受けたからには、難易度も含めたダンジョンRPGとしての僕らの持ち味を取り入れ、本気で取り組んでいこうと思いました。そこからは、悪ノリと言ったら変ですが(笑)、「このキャラにあんなことをさせよう」と、どんどんアイデアが膨らんでいき、それらを企画書にまとめていきました。
――最初の段階から、“大人向けの路線”というのは決まっていたんですね。
小菅:最初から明確にイメージはしていました。コンパチヒーローと言えば、キャラクターがポイントになります。でも、逆に本格的なダンジョンRPGにキャラクター性を取り入れれば、これまでの作品との差別化を図れるだろうと。そのためにはストーリーやバトルの演出などを突き抜けたところまで持っていけるか? まずは、バトルの表現方法、演出部分の目指すべきところから目標を設定し、作り始めました。
――具体的なターゲットの年齢層を教えていただいてもよろしいですか?
星野:ターゲットの年齢層は20~30代で子どもたちではないです。それはシナリオだったり、テキストにルビが振っていないところにも表れていますが、だからといってやみくもに難しいゲームにはしていません。理不尽さはあまりなくて、システムによるストレスもないよう意識して作っています。例えば、どこからでも拠点に帰れるとか、戦闘のテンポのよさなど“遊びやすさ”については相当意識しています。
|
|
---|
――遊びやすさという部分で戦闘スキップがあると思いますが、戦闘スキップについては「ものすごく作り込まれているのに、こんなに飛ばせちゃっていいんだ」とビックリしました。でも、ボス戦はどうしても通常の速度で見てしまいます。
星野:見たくなるシチュエーションをユーザーそれぞれが持っていて、その時は飛ばさないはずなんですよ。それでいいと思うんです。
――編集部の一部では、オートマッピングやゲームオーバー時のリトライなど、「ちょっとヌルいんじゃないか?」という声もありました。
星野:実は開発途中には、コンフィグでヒドゥンモードという設定があったんです。それにすると、マップ自体が表示されなくなります。でも、それって一部のユーザーが楽しめるもので、結局トータルで見た時に“誰得”なのかなと思い、途中で廃止しました。
リトライは、1回ボスで負けて「ボスってどうしたら勝てるのかな?」と悩んでほしかったんです。ちゃんと攻略法があるんだと、気付いてほしいためのリトライです。最初はペナルティをつける案もあったのですが、そこでストレスを与えてもしょうがないだろうと排除しています。
――悔しいと思うことはあっても、ストレスでプレイを止めてしまうことはありませんでした。ボスが強い作品なので、リトライはありがたかったです。
小菅:“絶望襲来”が今回の世界観のコンセプトなので、ゲームプレイを通して、それをどこまで感じていただくか、ヌルくなく、とはいえ難しすぎず……バランスの置き方にはすごく気を使いました。
リトライの部分にも帰結するのですが、いつものように“ヒーローたちがパワー全開で悪をバンバン倒していくものでは決してない”です。今までの作品にあまりなかった“ヒーローたちのピンチ”や、“だんだんと力を取り戻していくこと”を、いかにプレイしながら感じていただけるようにするか。今作ではうまくまとめられたと思っています。
→かわいいよりもカッコよく! ヒーローの頭身は3と3.5の間に(2ページ目へ)
(C)石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映 (C)石森プロ・東映 (C)創通・サンライズ (C)創通・サンライズ・MBS (C)円谷プロ
※画面は3DS版の開発中のもの。
データ