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2012年9月22日(土)

サッカーゲームとしてのおもしろさに立ち返った『FIFA13』――開発の中心に携わる牧田・山下両氏に聞く

文:電撃オンライン

 エレクトロニック・アーツより10月18日に発売されるPS3/PS Vita/PSP/Xbox 360用サッカーゲーム『FIFA13 ワールドクラスサッカー』。

 東京ゲームショウ2012の開催にあわせて、『FIFA』シリーズの開発の中心に携わる牧田和也さんと山下崇彦さんの2人が来日。そこで電撃オンラインでは、本作の新要素とこれからの展望などについてお話を伺った。

▲9年間、『FIFA』シリーズの制作に携わった山下崇彦さん(左)と、エグゼグティブプロデューサーとして本作の開発をリードする牧田和也さん(右)。

■『FIFA13』になって何が変わったのか

――『FIFA13』の発売まで約1ヵ月となりましたが、今の心境をお聞かせください。

牧田和也氏(以下:敬称略):緊張感はあります。毎年そうなんですが、特に日本の場合はまだまだシリーズもこれからという感じなので。どこまで受け入れていただけるか、どこまで触っていただけるか、という点が未知数な部分もあるので、ワクワクでもありますが、同時に緊張感もかなりありますね。

――前作『FIFA12』と比較して『13』でもっとも大きく進化した部分はなんですか?

山下崇彦氏(以下:敬称略):プレイしていただければすぐにわかるかもしれませんが、ゲーム自体が非常におもしろくなっていると思います。これまでの『FIFA』シリーズはリアルシミュレーションとしてのサッカーを追及してきたのですが、『13』ではこれまで以上にゲームプレイが楽しくなりました。

――現在、『FIFA13』の体験版が配信中ですが、ユーザーの反響はいかがでしょうか?

牧田:日本のユーザーの意見については、現時点でまだ私の耳に届いていないのですが、海外のユーザーからはとてもポジティブに受け止めていただいています。ダウンロード数も『12』のときと比べて格段に増加していますね。

――新システムについてですが“アタッキング・インテリジェンス”の導入がゲームにどういった影響をもたらすのかをお聞かせください。

山下:アタッキング・インテリジェンスでは、AIが次の次のプレイ、すなわち2手先までを読んで行動します。これまでは次の1手までだったので、ボールが渡ってからいったん攻撃が停滞してしまうことがありました。しかし『13』では、AIがさらに先のプレーを予測できるので、スムーズに選手が走り込むことが可能となったんです。たとえば、パスがルーズボールになってしまった場合でも、ボールを落した瞬間に後ろから走り込んでくるだとか、ボールをはたいた瞬間にサイドの選手が走り込んでくれる、などといったプレイが可能となっています。

――ポジションごとにアタッキング・インテリジェンスは変化するのですか?

山下:そうですね。フォーメーションや選手の能力によって変化します。選手のスキルもたくさん用意されていますし。それから与えられたポジションですね。サイドバックだったらサイドラインを駆け上がってクロスを上げるプレイを意識する、また、ディフェンスのラインを上げるなどといった具合です。もちろんボールをもらいに来る動きも見せてくれると思います。

――次に“ファーストタッチ・コントロール”を導入した経緯をお聞かせください。

山下:『FIFA』シリーズではこれまで、思い通りのプレイ、気持ちのよいプレイというものにフォーカスを当てて作ってきたんですが、その弊害というか結果として、いつも思い通りのプレイができてしまうという、結果のバラエティの少なさが気になっていたんです。サッカーは何が起こるのかがわからないというのが重要な部分だと思いますので、それをどうにか表現できないか、と考えたのが導入のきっかけですね。

――リアルサッカーでテクニックがあると言われているアンドレア・ピルロ選手(イタリア代表・ユベントス所属)などを操作した際に、トラップの置き所などが非常によいと感じました。

山下:そうですね。第1にアタッキング・インテリジェンスの向上により、選手のポジショニングがよくなり、ボールの受け方を意識して行動してくれます。第2にはボールを受けるスキルですね。能力が高い選手は難しいボールを受けた場合でも、キレイにコントロールできるような表現になっていると思います。

――“コンプリート・ドリブル”は前作からどのように進化しましたか?

山下:『FIFA10』で360度のドリブルが可能になったのですが、これは速くスムーズなドリブルという意味では非常によく表現できたと思います。しかしドリブルの遅い部分、すごく遅いドリブルというのも、実際の試合のなかではよく見られますよね。

 今ですとアンドレス・イニエスタ選手(スペイン代表・FCバルセロナ所属)や、リオネル・メッシ選手(アルゼンチン代表・FCバルセロナ所属)などは、サイドを上がるにしても中央に切り込むにしても、すごく細かいタッチでボールをドリブルする。そうした、中に切り込む動きを『13』ではうまく表現できたと思います。

 このコンプリート・ドリブルにより顔の向きをボールに向けたままドリブルできるので、ボールをちょっとだけ動かしたり、サイドのためにスペースを空けたり、相手ディフェンスをほんろうしたりといった創造性豊かなドリブルができるようになりました。

――ちなみにコンプリート・ドリブルを強く実感できる選手はいますか?

山下:先ほどあげたイニエスタ選手など、サイドをドリブルで切り込むような選手はわかりやすいと思います。あとはメッシ選手。45度の角度から中に切り込んでいくような選手でも実感しやすいですね。

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