2012年11月22日(木)
先日、『ファイナルファンタジーXIV(以下、旧FFXIV)』のサーバーがすべて閉じられ、『旧FFXIV』の世界はそこで一旦幕を閉じた。その後公開されたムービーは、世界の崩壊と次へ繋がる希望を示していた。
『ファイナルファンタジーXIV』は今後、『新生ファイナルファンタジーXIV(以下、新生FFXIV)』としてよみがえる。現在αテストが行われている『新生FFXIV』について、そして今後の展開についてプロデューサー兼ディレクターを務めるスクウェア・エニックスの吉田直樹さんにお話を伺った。
▲プロデューサー兼ディレクターを務める吉田直樹さん。 |
なお、11月29日発売の『電撃PlayStation Vol.531』では、『新生FFXIV』の紹介および本インタビューを抜粋して掲載している。興味がある人はあわせてそちらもご覧いただきたい。
――ついに11月11日に『旧FFXIV』はFINALを迎えました。吉田さんがプロジェクトを引き継いで約2年、両方を同時進行させるという大変な作業でしたが、振り返ってみていかがですか?
吉田直樹さん(以下敬称略):まずはストレートにホッとしているという感想でしょうか。そもそも、こんな巨大なプロジェクトのプロデューサーとディレクターを、僕1人が兼任すること自体が異常ですからね(苦笑)。しかも、『旧FFXIV』はアップデートではありますが、ほぼ作り直しする状態でしたから。
それでも『旧FFXIV』が、当初予定していた『FF』らしい最後のトレーラーを公開できたのは感慨深いです。もちろん「まだまだ」というお声があるのは理解しています。ですが、最初予定していたものよりも、だいぶテコ入れができた部分もあって……。正直もっとダメだと思っていた部分も多かったですし。
そこに関しては、お客様から見ると物足りない部分があったと思いますが、全力を尽くした自分としては1つの大きな仕事を達成できたという気持ちはあります。もちろんこれは、多くのプレイヤーの皆さまに支えていただいたからこそやり遂げられましたことです。本当にありがとうございます。
――いちユーザーとしても、吉田さん体制になってからどんどんよくなるのを肌で感じ、そして楽しませていただきました。ちなみにこの2年間での思い出はありますか?
吉田:今振り返ると、細かく思い出せないぐらいいろいろありすぎましたね(笑)。ただ、あれからもう2年も経ったのかなと。感覚的にはボタンを1回押したら2年経っていた、というくらい、時間が経つのが早かったですね(笑)。僕は誰よりも寝ていないはずなのですが、そう感じるほど時間があっという間に過ぎるほど濃い2年でした。
経験という部分で、これから僕があと何年現役で仕事をするかわかりませんが、これ以上の喜びも苦労もないのかなと。でも、もう二度とこんな仕事できないと思います(笑)。あとは、これでようやく『新生FFXIV』に集中できるという喜びも、もちろんあります。
――『旧FFXIV』ではいろいろとやりたかった部分が実装できず、もどかしかったと思いますが、その想いは『新生FFXIV』に色濃く反映されているのでしょうか?
吉田:正直なところ『旧FFXIV』と『新生FFXIV』は別のゲームです。今『新生FFXIV』ではαテストを公開していますが、このレベルは本来できてあたり前のレベルだと思います。『FF』という強力なタイトルがグローバルスタンダードで、MMORPGというビジネス&ゲームジャンルとして登場するならば、今のαが最低ラインだと考えています。『旧FFXIV』と『新生FFXIV』のαテストを比べると、似てはいても何もかも違う。
『旧FFXIV』ではイメージした基礎がまったく達成できなかったからこそ、『新生FFXIV』を作り直すことにしました。ですので『旧FFXIV』との比較というのは難しいですね。とくにサーバー周りは本当に厳しかった。検索もできないし、マッチングもできないし、人を増やせばパンクしてしまう。コンテンツを新しく作りたくてもできない。となると、サーバー自体を作り変える必要がありますし、サーバーを作り直すぐらいならばゲーム自体も作りなおした方がいいと。
よくMMORPGのサーバーは、地球に例えられるんですよ。寿命がきた地球にいくら何かを新しく作っても、地球自体が吹き飛んだらそこで終わりですよね。結局は地球をしっかり作らないと、コンテンツを追加しても意味がないんです。
――たしかにα版を体験すると、いかにサーバーがしっかり作られているのかを感じます。
吉田:ありがとうございます。でもα版は最低ラインなんですよね。ここからさらに『FF』らしくなっていって、『XIV』というナンバリングタイトルであるという意味が問われてくるんです。このα版にコンテンツを載せて『新生FFXIV』でしかできない体験を、今後のβ版を通してお見せしていくつもりです。
少し話は変わるのですが、日本全体もなんとなく「がんばっても無理なものは無理」という雰囲気があるような気がするなーと。そこはプロデューサーレターLIVEでもお話しましたが「世界で戦いたいし、負けたくない」んです。お客様に支えられて、自分たちも死ぬ思いをしてここまで来て、勝負できるだけの土台はできたかなと思います。惨敗だったら完全に僕の責任ですが、やるなら徹底的にやってみたいと思っています。
『新生FFXIV』はどういうストーリーが展開していく?→(2ページ目へ)
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