2013年2月1日(金)
続いて、赤緑のギルド“グルール一族(以下、グルール)”を紹介しましょう。グルールはラヴニカの郊外にある見捨てられた土地や遺跡を根城とする集団が、緩やかに結束したギルドです。
グルールに属する者たちは弱肉強食の原理を信条とし、強いものが生き残り、支配するべきという考え方を持ち、同じギルド内ですら激しい戦闘が繰り返されています。グルールのカードはクリーチャーもそうでない呪文も、どれも攻撃に特化したパワフルなカードが中心です。攻撃的でないカードは、グルールのカードではありません。
グルールのクリーチャーには“湧血”という能力を持つ者が多く存在します。
“湧血”は、コストを支払ってそのカードを捨てることで、攻撃クリーチャーを強化するというものです。攻撃的衝動があまりにも強いため、唱えられる前からそのパワーを戦場に送り込んでしまう、といったイメージでしょうか。
攻撃クリーチャーしか対象に取れないため守りには使うことができませんが、《巨大化》などの呪文に比べて“能力なので打ち消されない”“クリーチャーの頭数を減らさずにクリーチャー強化手段をデッキに投入できる”といったメリットがあります。クリーチャーを強化するだけといういたってシンプルな能力ですが、対戦する側にしてみると、タイミングは限定されるものの相手に手札があるだけで強化手段の存在を意識しなくてはならず、かといって除去をためらっていると、クリーチャー強化手段だったものが新たな脅威として戦場に出てくるといった具合になかなかの厄介さです。攻勢に出ている時は非常に頼もしい能力だと言えるでしょう。
▲“湧血”を持つカードがたくさん入っているデッキではクリーチャーのパワーを容易に上げられます。パワーが大きければ恩恵も大きくなるクリーチャーとの組み合わせが有効でしょう。 |
ここ数十年にわたって、グルールをまとめているのが《怒れる腹音鳴らし》です。この巨大なサイクロプスは炎樹族と呼ばれるグループの頭目であり、“敵をペースト状になるまで叩き潰し、それで自分の靴を磨く”と言われるほどの恐ろしい力を持ち、獰猛(どうもう)で凶暴なグルールの他部族の統率者たちからも敬意を払われています。
ただ、最近は彼にも少し衰えが見え始め、彼に挑む命知らずが増えてきており、それがグルール内の新たな火種となっています。
カードとしての《怒れる腹音鳴らし》は“トランプル”を持つ豪快な大型クリーチャーであるとともに、戦闘ダメージを与えるたびにデッキの上3枚から土地カードを手に入れるというカードアドバンテージを得る能力と、その土地カードを使ってクリーチャーやプレイヤーにダメージを与えるという小回りのきく能力を持っています。
7/6というパワーは戦闘ではまず負けない大きさで、“トランプル”も持つため攻撃さえできれば能力を誘発させることは簡単でしょう。また、彼が戦場にいるだけで引いた土地カードはすべてコストのかからない《灼熱の槍》となるので、《根囲い》や《地平の探求》といった土地カードをたくさん手札に入れるカードとは非常に相性がいいです。《怒れる腹音鳴らし》自身が8マナと重いので、必然的にデッキには土地を探して戦場や手札に持ってくるカードが入りますが、そういったカードも《怒れる腹音鳴らし》がいれば火力に変換されるのがよくかみ合っていますね。
《一族の誇示》はプレイヤーにまとまったダメージを与えつつ、同時に2体までのクリーチャーを除去することもできる優秀な火力呪文です。クリーチャー除去とプレイヤーへのダメージを同時に行えるため、一気に相手のライフ計算を崩すことができます。
《忌むべき者のかがり火》と似た効果ですが、“奇跡”でマナ・コストが軽くならない代わりに、中~大型のクリーチャーを除去しやすくなっています。6マナでプレイヤーに4点のダメージを与えつつ《ロクソドンの強打者》と《修復の天使》を除去できると考えると、なかなか使い勝手がよさそうな1枚と言えますね。
“魔除け”“魔鍵”と同様に、各ギルドに存在する“ギルド魔道士”の1枚です。あなたのクリーチャーすべてに“トランプル”を与える能力と、土地を4/4のクリーチャーにする能力を持っています。
“トランプル”を与える能力は地味に見えますが、トークンによるチャンプブロックを防ぐという点で重要です。“湧血”でアップしたパワーをムダなくプレイヤーへのダメージに変換できるので、グルールの他のカードと相性がいいのです。土地を4/4にする能力はもちろん強力で、十分な土地があれば、場に出てすぐこの能力を使うことで6マナ4/4の“速攻”クリーチャーのようにふるまうこともできます(※ギルド魔道士の2マナ+能力の3マナ+クリーチャー化させる土地1枚という計算です)。2マナと軽いながらも戦場に大きな影響を与えそうな1枚です。
4マナ4/4に“トランプル”と単体でも強力なクリーチャーですが、さらに“湧血”能力でパワーを上げつつ“トランプル”を付与することができます。
単体のコストパフォーマンスがよく、味方を強化するクリーチャーと言えば『ラヴニカへの回帰』に《死橋の大巨虫》がいましたが、それに比べるとパワーこそやや低いものの“湧血”のコストがきわめて軽いというのがメリットです。今後、赤緑のビートダウンデッキで《高原の狩りの達人》と席を争うことになりそうな、期待の新戦力と言えるのではないでしょうか。
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