2013年2月8日(金)
バンダイナムコゲームスから発売されたPS3/PSP用ソフト『アクセル・ワールド』シリーズの最新情報をお届けする特集企画“週刊アクセル・ワールド”。その第33回となる今回は、本作の制作にかかわったキーマンたちによるスペシャル座談会をお届けする。
現在発売中のPS3/PSP用ソフト『アクセル・ワールド ―加速の頂点―』。本作は、、川原礫先生が執筆する電撃文庫『アクセル・ワールド』と、TVアニメ『アクセル・ワールド』をもとにしたSLGで、シナリオは川原先生が総監修を行った。プレイヤーは、物語の主人公・ハルユキとなって、タクムやチユリ、黒雪姫といった《ネガ・ネビュラス》のメンバーたちと交流しながら、学園生活を楽しんだり、《加速世界》で戦ったりしながら、《加速世界》の頂点を目指すことになる。
PS3/PSP用ソフト『アクセル・ワールド ―銀翼の覚醒―』に続くゲーム化第2弾となる本作は、前作以上にオリジナル要素が豊富で、原作とは異なる“もう1つの『アクセル・ワールド』”が体験できる作品だ。今回の座談会に参加するのは、原作者・川原礫先生と黒雪姫役・三澤紗千香さん、本作のプロデューサーの二見鷹介さん、そして担当編集の三木一馬電撃文庫副編集長。本作の発売前のタイミングでいろいろなことを語ってもらった。まだ買っていない人もすでに遊んだという人も、ぜひチェックしてもらいたい。
――まず最初に、『加速の頂点』ではどんな物語が展開するのでしょうか。
二見:前作の『銀翼の覚醒』では、アニメで描かれた能美のエピソードまでをゲームならではの形で描きました。そして『加速の頂点』では、その先のお話となっています。まだアニメでは描かれていないところを描きつつ、ゲームオリジナルの『アクセル・ワールド』としてのエンディングまでを描きました。ゲームを作る段階からきちんとエンディングを描きたいという思いがあって、それが実現できたのいうのは本当によかったと思います。
――ゲームオリジナルの展開で、気になったところなどはありましたか?
川原:まず最初の感想が、“僕の想定していた原作のラストとかぶらなくてよかったな”と(笑)。
▲三澤紗千香さん |
三澤:もう『アクセル・ワールド』はラストまで考えているんですか、スゴイ!
川原:『加速の頂点』はすごい展開になっていますよ。僕も想像していない形の物語が描かれていて、なんて言えばいいのか……。それに、まさか黒雪姫先輩が留学してしまうなんて!
三澤:私もいただいた台本を読んでみた時、本当に驚きました! え、これって先生も本当にOK出しちゃったのって。本当に急展開なお話で、ゲームをプレイしないと損だよって思うくらい濃密に物語が詰まっていますよね。収録中は台本のページをめくってめくっても驚きの展開があって、ずっとビックリしていました(笑)。
二見:ifの物語を楽しめるのがゲームのいいところですから(笑)。『加速の頂点』のシナリオは、本作のディレクターが『銀翼の覚醒』の初期のころから、『アクセル・ワールド』のエンディングをゲームで描くとすれば、どういう形が一番いいのかと、かなり綿密に考えていました。
――ゲームのシナリオを考えている間に、原作小説も刊行されていきますし、それに合わせてシナリオも変更したりしたんでしょうか。
二見:ゲームでは《白の王》のお話をやらせてもらったのですが、実は一時期は《白の王》をゲームに登場させられなかったんです。
▲《白の王》ホワイト・コスモス |
三木:その時は小説よりも先にゲームに出すのはどうかなって思っただけなんです。すいません!
二見:でも、小説でも《白の王》が登場するということで、最終的にはOKになりましたよね。NGが出た後だったので、そこからOKが出た時はホントに驚きました(笑)。
三木:メディアミックスって難しいですよね(笑)。
――ゲーム版の《白の王》は、原作と同じキャラクターなのでしょうか?
二見:僕らの認識としては、世界観の統一はしているんですけど今回の《白の王》は、あくまでもゲーム版のキャラクターであると考えています。ですから、今後原作でどうなるのかとかは、僕らも全然わからないんです。
川原:すいません、僕も正直、そこは書いてみないとどうなるのか、予想もつきません! ゲームで登場する《白の王》はゲームオリジナルの《白の王》として、楽しんでもらえればと思います。
――本作は、かなり衝撃的な物語が展開しますが、最初にそのシナリオやプロットを読んだ時の感想は?
三木:バンダイナムコゲームスさんとガイズウェアさんが手がけるゲームは、いろいろと原作に切り込んできてくれる作品だというのは、別のゲームでお世話になった時から思っていました。今回のプロットを最初にいただいて、それを川原さんにお渡しした時に、どういうリアクションになるのかというのは、気になりましたけど、原作が1つのルートしか描けないのに対して、ifを楽しめるのがゲームのいいところであろうと。そういうifを許容してくれる原作者さんなら、今回のゲームのシナリオも喜んでくれるのではないかと思いました。
川原:正直なことを言うと、僕はいちプレイヤーとしてゲームを楽しみたいので、シナリオの監修は実はしたくないんですよ(笑)。『銀翼の覚醒』をプレイしてみて思ったんですけど、デートシーンでもどの選択肢がよくて、どれがダメとか全部わかっちゃってるんですよね。ゲームをプレイした時のドキドキ感がすごく少ないんです(笑)。
三木:強くてニューゲーム状態じゃないですか(笑)。
川原:それと、本作のシナリオでは大活躍ですけど、原作だとこの青い人が活躍する可能性って、ものすごく低いんですよ。こんな見せ場をまさかゲームでいただけることになるなんてって。
――シアン・パイルがまさかのディザスター化ですからね。最初に知った時はこちらも驚きました。
川原:見せ場は少ないタクムですが、なぜかファンに愛されていますからね。
三澤:そこまで言わなくても……(笑)。
川原:だって、タクムの必殺技はいっぱいるのに原作だと1回しか使われていなかったりしますし。原作7~8巻にかけて、少しだけ輝いたんですけど、それっきり何もなくて……。まさかゲームでここまで羽ばたけることになるなんて、原作者としても本当にうれしいです。
▲アッシュ・ローラー |
――シアン・ディザスターはビジュアルも衝撃的ですよね。他にも気になるキャラクターというと、謡が本格的に物語に登場してきたり、アッシュ・ローラーの現実世界での姿が登場してきたりしますよね。
二見:これは先ほどの三木さんの考え方とも通じているのですが、本作はマルチエンディングになっていて、少し未来の姿を描いたキャラ別のエンディングも用意させていただきました。このエンディングは完全なifなんですが、三木さんからの提案で、《ブレイン・バースト》をやらない未来の姿も描いたりしています。それと、三木さんからは妊娠はないんですかと(笑)。
三木:だって二見さんとあろう人がですよ(笑)。
二見:僕としたことが、育みエンドがないのは確かにありえないですよねと。(チラッとあるイラストを三澤さんに見せる)
三澤:この女の子、すごくカワイイですね! 後ろにいるハルユキと黒雪姫も、あまり変わっていないように見えて、すこし大人びていたりして、お母さんうれしいです(笑)!
二見:こういう未来があってもいいんじゃないかなっていうエンディングを、他のキャラクターでも描いています。
三澤:どんなエンディングなのか、気になりますね!
二見:物語をまとめるエンディングとは別に、キャラクター別のエンディングも取り入れているので、そこは楽しみにしていてください。
(C)川原 礫/アスキー・メディアワークス/AW Project (C)2013 NBGI
※画面は監修中及び開発中のものです。
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