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2013年3月6日(水)

『真・三國無双7』開発者インタビューの後編! 新アクションやモードに込められた開発意図から、馬呼びの誕生秘話を掲載

文:電撃オンライン

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■2年に渡る開発やコラボを振り返る

――前作以上のコラボレーションを展開していると感じたのですが、それも“アルティメット”という所の一環なんでしょうか?

『真・三國無双7』

鈴木:勿論アルティメットということもあったんですが、本作はナンバリング『7』。ラッキー7は日本人にとっていい数字ということもあり、タイアップはたくさんやりたいと最初から決めていました。あとは広報スタッフが頑張ってくれましたね。ただ、実現できたのは一部で、ボツアイデアはいっぱいあります。

――あれでまだ一部なんですね。

鈴木:本当に一部ですね。肉まんのコラボはずっとやりたいといっているんですがなかなか叶わなくて……。

――なるほど。確かに『真・三國無双』といえば、肉まんですね。

鈴木:そう、肉まんなんですよ。絶対に話題になると思うんですけど、今まで1回もやれたことがないんです。記事にしていただいて、ぜひ先方から声をかけていただきたいです。

宮内:「求む、中華街!」みたいな。

(一同笑)

『真・三國無双7』
▲『嵐が丘』の裏面ジャケットにも、コラボ呂布がデザインされている。封入されるダウンロードコードで、オリジナル衣装が使用可能になる。

――布袋寅泰さんとタイアップは、開発チームの意向として布袋さんにしたいという流れがあったんでしょうか。

鈴木:あれは私の独断です。『真・三國無双』シリーズと言えばギターロック。ギターロックといえば布袋さんという流れですね。でも、相当有名な方なのでお話する時も「受けてもらえないのでは?」と半信半疑な状態でした。

宮内:ただ、いろいろとタイミングよく決まりました。

――布袋さんにとってもアーティスト活動30周年という、節目の年ですね。

鈴木:ロンドンで音入れが始まる時に布袋さんのスタッフの方から電話で、「どういう気持ちを込めたらいい?」と聞かれたので、「戦う男!」と伝えてもらい、できたのがあの曲『嵐が丘』です。

――コラボ情報を聞いた時に、マッチしているのか不安もあったのですが、エンディングを見た時に感動しました。

鈴木:プロモーション映像を公開した時のユーザーさんの反響も、とにかくよかったです。私もエンディングで感動しました。

宮内:“友よ”という歌詞の時に、最高のキャラクターが出てくる。あれはぜひ見ていただきたいです。

鈴木:曲が届いた時に、歌詞やメロディだけでも合うと思いました。布袋さんの曲を使わせていただいているPVがありますが、通常はあそこまで楽曲を長く使うことはないんですよ。ただ、曲がマッチしていたので、私が「曲にあわせてこういう構成にして、このタイミングでこういうカットにしてくれ」とオーダーしました。それもあって、かなりピッタリになったと思います。

――イベントに布袋さんがいらっしゃるのを聞いて、ドキドキしましたね。

鈴木:私もドキドキしました(笑)。すごいオーラでした。本当にうれしかったです。

宮内:私も舞台裏であいさつしてドキドキしました。握手していただいたのは、一生の宝です。

――本作では、勢力別に加えて武将ごとの映像と、これまで以上に膨大な量の動画を作られました。こちらは、今の時代にあわせてでしょうか?

鈴木:それはあります。私のプロモーション方針として、できる限りムービーを作りたいというのがあります。ただムービーを作るのは大変なので、いろいろなタイミングがあわないとできない。今回は広報からも「キャラクターのアクションムービーを毎週出しましょう」という案があったので、うまくいきました。とはいえ、ゲームの調整はギリギリまでかかるので、本当はもう少し早く公開したかったのですが、後ろにずれてしまいました。

宮内:調整している最中のものを映像で出したくないという意識が、開発チームにはあります。

――本作『7』を開発する上で苦労したところを教えてください。

『真・三國無双7』

宮内:やはり“ディファードライティング”は外せません。すべてを構築し直したので……『無双』シリーズは誤解されていて、“無双エンジン”みたいな言葉だけが独り歩きしているのですが、毎回エンジンを作り直しています。従来のものを超えようとしたら、データだけを足していくというアプローチでは絶対に超えられません。ω-force(オメガフォース)のポリシーとして『6』は『6』、次の『7』では作り直すということを毎回やっています。

 今回は、弊社として初めて“ディファードライティング”に挑戦したので、作り直すという面で、これまでとは意味合いが少し異なりました。わからなくても聞ける人がいなくて、自分たちで構築していく必要があったので、形になるまでかなり時間がかかりました。プロデューサーも「いつ、遊べるようになるんだ!」とやきもきしたと思います(苦笑)。

――鈴木プロデューサーは、以前ディレクターをされていました。そのようなドタバタを見ると、出ていって開発することはないのですか?

鈴木:最近は出ていっても足手まといですから。

宮内:出ていくも何も同じ部屋で仕事をしていますからね。直接担当者にどうなっているのかを聞いたり、アドバイスをしていたりします。ただ、プログラミングや実装の方法について口を出すことはないですね。

――餅は餅屋だと。

宮内:鈴木はもともとプログラマーなので、なんとなくで「無理です」というと「なんで無理なんだ?」と聞かれるので、説得するのが大変な一面もあります。

鈴木:プログラマーだった時のポリシーとして、最初に「できない」を言わないようにしていたんです。それもあって、プランナーがやりたいと言ってきたことに対して、ブログラマーができないと言っているのを聞くと「なぜできないの?」と聞きますね。

――そんな鈴木プロデューサーが本作で大変だったのは?

『真・三國無双7』

鈴木:物量が一番大変そうに見えるんですが、それは筋道を立てればなんとかなる。まあ大抵、途中にアクシデントが起きて、後半にしわ寄せが来るんですが(笑)。個人的には技術的なところが一番大変だったと思いますね。

 “ディファードライティング”を使って、描写を向上させたうえで、フレームレートを安定させた。処理は60フレームで、描写を切り替えていくというシステムを構築してくれた。両方がマッチするように作るのが大変だったと思います。

――今や『無双』シリーズは多岐に渡っていますが、他のシリーズとの差別化をするうえで考えていることはありますか?

鈴木:三国志はいろいろな魅力的な武将がいて、ドラマを織り成している。まるで大河ドラマのようなキャッチフレーズですが、本当にそうだと思っています。三国志を好きな人もたくさんいらっしゃいますし、聞きかじったくらいの人でも武将の名前やエピソードを多少は知っている。有名なものからマイナーなものまである、魅力的な人物やエピソードをたくさん描いていくことは意識してます。

 なので、私がプロデュースしているうちは、キャラクターは増え続けると思います(笑)。

『真・三國無双7』

宮内:私は、三国志はそれほど詳しくはないんです。でも、コーエーに入社した当時から見てきました。うちの会社のタイトルは、「ゲームを遊ぶことで歴史が好きになりました」とユーザーさんからの意見が昔から本当に多い。SLGの『三國志』や『信長の野望』で興味を持ち、日本史や世界史がおもしろくなったというふうに言ってくださることもよくあるんです。ゲームがきっかけで勉強につながる、希有なゲームメーカーだと思っています。

 ただ、何十年も作っている中で、ユーザーの方のゲームに対する趣向は変わってくる。現在の若い人は骨太なSLGよりも、爽快なACTを求めていると思うので、私たちが『三國志』や『信長の野望』で与えてもらった興味、関心を『真・三國無双』が与えられるように、という意識はつねに持っています。そのため、あまり武将のイメージが崩れてしまうようなデフォルメは個人的には好きではないんです。史実と区別して、“ここからはifだ”というのをわかりやすく提示していきたいと思っています。

――『電撃PlayStation』とのコラボについてお聞きします。ポリタンがかなりインパクトのあるものになっていますが……。

宮内:ポリタンはすごいですね。動いているところを見た時に、私は感動しました。

鈴木:さらに背中に武将が乗りますからね。

宮内:誰に向けてなのかはまったくわかりませんが、1人で「勝った!」と思いました(笑)。ポリタンの手の動きもすごくいいので、ぜひ使っていただきたいです。

――ポリタンとコラボ武器“双轟雷刃”は、ステータスがよくて使いやすいですね。

宮内:コラボ関係は見た目が好きでも、性能がそこそこで使ってもらえないことが多い。ただ、あまり強くしすぎてしまうと、コラボに乗れないユーザーさんにとってはストレスになってしまう。その兼ね合いは苦労しますね。

――デザインで苦労はしませんでしたか?

鈴木:“電撃”なので、稲妻や雷をモチーフにデザインしました。どのコラボもデザインのうえでの苦労はありませんでしたね。

『真・三國無双7』 『真・三國無双7』
▲発売中の『電撃PlayStation Vol.537』に付属するプロダクトコードをPlayStation Storeに入力することで、支援獣のポリタンと、コラボ武器“双轟雷刃”が使用可能になる。

――最後に読者の方へ、本作の魅力を語っていただければと思います。

宮内:今回は、ストーリーモードや将星モードはもちろんですが、アクション面でもやり込んでいただけることをコンセプトに開発しました。DLCもこれからはどんどん公開していく予定なのでぜひ長くプレイしてください。

鈴木:魅力は2つあります。まずはifの要素です。本当にたくさん散りばめているので、三国志好きな人は、自分の思いに従って史実とは違う展開を探してみてほしいです。知らない方でも、ストーリーモードを進めていくと誰かが亡くなったりした時に、それをくつがえすようにプレイしていただければ、今までにない展開が待っています。

 もう1つは武器系統です。新たに個性的な武器がたくさん追加されています。ぜひ、いろいろな遊びを探っていただいて、好きな武将でいろんな武器を使って楽しんでいただければ幸いです。

『真・三國無双7』
▲シリーズ集大成として、さまざまな要素を盛り込み開発された『真・三國無双7』。ダウンロードコンテンツも配信されるので、あわせて楽しんでみては?

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データ

▼『真・三國無双7』ダウンロード版
■メーカー:コーエーテクモゲームス
■対応機種:PS3
■ジャンル:ACT
■発売日:2013年2月28日
■価格:6,600円(税込)
▼『電撃PlayStation Vol.537』
■発行:アスキー・メディアワークス
■発売日:2013年2月28日
■定価:690円(税込)
 
■『電撃PlayStation Vol.537』の購入はこちら
Amazon.co.jp

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