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2013年5月15日(水)

『ブレイブリーデフォルト』の今だからこそ語れるインタビュー。お気に入りジョブの話題から、なぜかアネリーの裏話へ!?

文:そみん

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■ジョブに関する話題から、なぜかアネリーの誕生秘話へ!?

――『ブレイブリーデフォルト』と言えば、ジョブチェンジの自由度やゲーム性の高さも、非常にたくさんの支持を得ていると思います。そんなわけで、ここからは少しジョブについてお聞きしたいと思います。どんなジョブ編成でプレイをしましたか?

中原:僕はけっこう手堅い編成です。まずは“クレセントムーン”が便利なヴァルキリーがいて、物理攻撃要員として海賊を入れています。まあ、海賊については、イデアの衣装がかわいすぎてジョブチェンジさせたくないというのが大きな理由ですけど(笑)。ちなみにヴァルキリーは、リングアベルです。

 ちょっと特殊なところとして、ソードマスターは悔しくて使っていました。各所から「使えない」と言われることが多くて、「いや、何か使い道があるはずだ!」とがんばって使っていました。でも、結局は“クレセントムーン”に頼ることが多かったですが(笑)。

『ブレイブリーデフォルト』 『ブレイブリーデフォルト』
▲槍を得意とし、“ジャンプ”などのアビリティを使えるヴァルキリー。敵全体に攻撃できる“クレセントムーン”は非常に便利で強力だった。

――ソードマスターが得意とするカウンター系のアビリティは、敵に回すとかなりやっかいなんですけどね。ただ、カウンターは全体攻撃に弱いので、使いどころが難しいです……。高橋さんは先ほど、黒魔道士がお気に入りと言っていましたが、やはり黒魔法メインの編成なんですか?

浅野:高橋は効率厨なんですよ。

高橋:最初のほうは火属性に弱い敵が多いので、とにかく“ファイラ”で敵を焼き尽くす感じです。4人全員が黒魔道士になって、黒魔法を使いまくる流れです。

 3章ぐらいまでは少し入れ替わりがあるんですけど、最終的に戻ってくるのは召喚士ですね。ジョブレベル12で覚える“召喚ラッシュ”(召喚魔法の使用回数に応じてダメージが上昇する)が強くて、召喚魔法を使えば使うほど、信じられないくらい威力が上がっていくので、4人で召喚魔法を使いまくると、そのうち9,999ダメージしか出なくなります。だから、無敵(笑)。

 召喚魔法は全体攻撃なんですけど、魔人のアビリティの“コンバージェンス”(全体攻撃魔法を単体化にするかわりにダメージが上昇する)で単体攻撃にすると、さらに簡単に9,999ダメージが出ます。ザコ敵相手の時は全体攻撃のほうが便利ですけど、ボスと戦う時は基本的に単体が相手なので、かなり便利です。

浅野:やっぱり効率厨だね(笑)。

高橋:そうかもしれません(笑)。浅野はかなりバリエーション豊富な感じでプレイしていました。

浅野:新しいジョブを手に入れたら、とにかく使ってみないと気がすまないタイプです。あと、自分はバフ(パラメータを増減する効果のこと)が好きなので、必殺技を重ねまくるのはもちろん、スーパースターの“歌唱”や、時魔道士の“ヘイスガ”を使いまくってました。そして海賊は“甲羅割り”とか“牙折り”とか、相手のステータスを下げる技を使いまくるという(笑)。

 こうやってバフを重ねて楽しんでいる僕の横で、高橋は「こうやると簡単に9,999ダメージ出ますよ」なんて言ってくるという(笑)。こういう風に、すごくたくさんのジョブやアビリティがある中で、どれも強いし、生かせる道があるんですよ。こういう状況の中で最大ダメージの制限として“9,999”を設定したことは、意味があったかなと思います。

――たしかに最大ダメージが9,999以上になると、一番効率よく強いパターンだけを狙えばよくなってしまい、プレイヤーの戦術の幅が狭くなってしまう気がします。

高橋:もし9,999ダメージを超える限界突破ができるとしたら、シーフの“神速瞬撃”(行動速度が速いほど強力な攻撃。防御貫通)が最強だったんですよ。たしか理論上は15万ダメージくらい出て、「これでいいのでしょうか?」と報告したことがあります(笑)。

『ブレイブリーデフォルト』
▲パワーファイター型の海賊も人気ジョブの1つ。強力な攻撃アビリティを多数使えるので、ゲーム後半にお世話になった人も多いのでは?

中原:海賊の“一斉攻撃”(自身と瀕死の味方全員が攻撃する)や暗黒騎士の“暴走”(HPが1になるまで“暗黒”で攻撃し続ける)は、うまく利用すると隠しボスを1ターン撃破できるくらい強力ですが、それはそれでおもしろいので、あえて調整はしませんでした。“黄泉送り”(戦闘開始時に弱い敵を一掃する)もレベル上げに便利すぎる壊れアビリティだとわかってましたけど、いいかなと。

浅野:「ジョブレベル14で覚えるアビリティなんて、終盤までいかないと使われないからいいでしょ」なんて言ってたら、ガンガン使われてました(苦笑)。

高橋:ちなみに、これはアビリティの調整の際のやり取りに関する資料をプリントアウトしてきたものなんですけど……。

『ブレイブリーデフォルト』
▲極秘データが記載された貴重な開発資料。ほんの一部なのに、ものすごい量がプリントアウトされていた。

――こんなに小さい文字でビッシリと印刷されているのに、ものすごく莫大な枚数ですね。

中原:本当に最後の最後までやり取りをしましたから。ほら、ここに“110×→150○”と書かれてます。

浅野:開発の最終段階ですべてのアビリティを実装した後に、もう一度全部のアビリティを総ざらいでチェックしていったんですけど、ジョブの数もアビリティの数も多いから、あの時ばかりは徹夜で根を詰めてがんばりました。

中原:正直、徹夜になるとは思っていませんでしたけど、普通にやっていたら間に合わなかったですね。

浅野:特にBPの消費量とバフ系のパーセント調整については、最後の最後まで議論してました。あ、それからサポートアビリティのコストもそうです。

中原:BPやサポートアビリティのコストは1違うだけでも大きく変わるので。「こんなコストだと、絶対に誰も使いませんよ」などと言われながら最終調整をしました。

――この青い文字はなんでしょうね。“神速瞬撃”のところで、“●●を○○に変更すると、与えられる最大ダメージが3,333に減ってしまう”なんて書かれています。

中原:ああ、それは我々からの反論ですね。浅野さんや高橋さんから指示を受けて、基本的にはその形で調整をしていくんですけど、我々としても「ここだけは譲れません!」という場合がありますので、そういった形で何度もやり取りをしていきました。

宣伝部スタッフ(佐々木):バランス調整はかなりドラスティックな感じでしたけど、そこも含めてユーザーさんは楽しかったんだと思うし。強い技はもう、あからさまに強いんですけど、そこがいい(笑)。

高橋:“クレセントムーン”とか海賊の“倍々撃”(BPを消費する強力な攻撃アビリティ)とかは普通に強いので、使わなかった人はいなかったかもしれませんね。

――すっぴんの“ものまね”(直前のキャラクターと同じ行動をとる)も、便利で潜在能力が高いと思います。

高橋:基本的には、強いものばかりなんです。

中原:先ほども話しましたけど、浅野さんは整合性よりも派手さを選ぶことが多いので(笑)。

――たしかに、初期の数値と比べてだいたいの技の効果が2倍になっています(笑)。そういえば、カード形式でジョブをランダムで選んで遊ぶという記事を作ったんですけど、普段のプレイではあまり使わなかったジョブでボスに挑むのは新鮮で楽しかったです。

『ブレイブリーデフォルト』
▲企画記事の一環として、お手製のジョブカードを作り、ランダムでジョブを選んでプレイ! いろいろな発見がある、楽しいプレイができました。

浅野:けっこう、M気質がありますよね。

――ああ、たしかに縛りプレイとかは好きなので(笑)。昔ながらのゲーマーの性(さが)なのかもしれません。『ウィザードリィ』の座談会をやった時とか、大半の参加者が「難易度が高くないと『ウィザードリィ』じゃない!」と熱く語っていましたので。

中原:なるほど。たしかに濃いユーザーさんが多いですよね。

浅野:その一方で、今の若いカジュアル寄りのユーザーさんはS気質というか、「オレ強い!」という感覚や、ゲームを支配するほうに喜びを感じる傾向があると思います。

中原:それもあって、先ほどもお話したように、『ドラゴンクエストIX』のようにたくさんの人が楽しめるようなバランスにしていったんです。

――そういうお話を聞きつつ、あえて個人的な希望を述べさせていただきますと、それでももっと難しいバランスでも遊びたいです。ベリーハードモード的なものとかがあると、さらに遊びがいが出ますから。

浅野:うーん、そういった高難易度のものを導入したとして、それはアチーブメントや称号みたいなご褒美で大丈夫でしょうかね? 仮にベリーハードモードじゃないと見られないイベントがあったりすると、気軽にカジュアルに遊べなくなってしまうので、よくないと思うんですよね。かといって、アチーブメントレベルの見返りで、わざわざ遊んでもらえるんでしょうか。

高橋:モチベーションをどう誘導すればいいのかが難しいんですよね。

――そのあたりは、世代や趣味嗜好によって変わる部分もありますから。特に何周も何周も遊び込むような遊び方をするタイプだと、どんどん難易度を上げて挑戦したくなりますし。また、自分みたいにM気質だと、「こんなに難しいのをクリアしてやったぞ!」という達成感を味わいたくて、意地になって何度も挑戦することもあります。

宣伝部スタッフ(佐々木):じゃあ、『ブレイブリーデフォルト』に『ファイアーエムブレム 覚醒』の“ルナティック”レベルの難易度のモードがあったら、挑戦します?

――ええと……さすがに“ルナティック”は厳しいですね。感覚的には、“ハード”くらいの歯ごたえを希望します。

宣伝部スタッフ(佐々木):だから、『ブレイブリーデフォルト』のファンは、その難しさをすごく求めているわけではないと思うんですよ。仮に基本の難易度が“イージー”でも、それをクリアした後に想像力を積み重ねていく遊び方ができるようになっていて、その価値を用意してあげれば、難易度は関係ないと思います。逆に、そうやってユーザーを誘導してあげれば、“ルナティック”レベルも遊んでくれるようになるわけですし。

浅野:もちろん、そういった厳しい難易度の中でどう戦うか、どう越えていくかという喜びや楽しさはあると思いますけど。洋ゲーの考え方ではありますが、“ゲームで、プレイヤーに対して罰を与えてはならない”という約束事があります。

 逆になぜ日本のゲームは、プレイヤーに罰を与えるのか? そういった考え方は『ブレイブリーデフォルト』を作っている時にも意識したんですけど、日本のゲーム好きって、なぜか罰が好きというか、M的な考え方が多いと思うんですよ。いろいろと考え方があると思いますが、日本の昔からのゲーム好きの方は成熟していると思います。

中原:日本人は逆境から力や知恵を尽くして立ち向かうのが好きで、アメリカ人は最初からスーパーヒーローで大活躍するのが好きだと聞いたことがあります。そういったところは、ゲームの違いにもなっているのかなと思います。日本のゲームは主人公が農民や一般人で、冒険を通じて勇者になっていくという成長譚が好まれますけど、海外ではちょっと違うと思いますし。

――日本人は、バッドエンドが好きなのも特殊ですよね。

中原:たしかに、ちょっと暗い話も好みますね。

――『ブレイブリーデフォルト』の真終章のエンディングも、ラストのティズの演出が反響を呼びました。

中原:ティズがどうなったのかは我々の口からは言いませんけど、シナリオミーティングであの演出の案が出た時は、けっこう賛否両論ありました。自分みたいに『ウルトラマン』や『あしたのジョー』世代はああいうシチュエーションに燃えますけど、若い世代がどう感じるかは読めなかったので。

高橋:いろいろと話し合いを経て、ある程度はユーザーさんに解釈を委ねる形になっています。

浅野:ティズのエピソードの後に、エアリーのお姉ちゃん的な存在が出てくることも、ユーザーさんの混乱を招いてしまったようですが(苦笑)。

――いわゆる“アネリー”の存在ですね。

浅野:あそこはちょっと、わかりにくかったかもしれませんね。オープニングやエンディングに出てくるエアリーと同じ外見の存在と、ティズたちと冒険していたエアリーは別の存在なんですよ。

高橋:なので、最初と最後のムービーの部分は、エアリー役の津村まことさんに似た声質の方に演じてもらうといったミスリードを仕掛けていたんですけど、一部の方はその声の違いにも気付いたようで、さすがだと思いました。

『ブレイブリーデフォルト』 『ブレイブリーデフォルト』
▲ゲーム開始時に登場するエアリーらしき存在は、実はエアリーじゃなかった!? 演じている声優も、エアリーとは別の方を使っているとのこと。

→ジョブ衣装の原点はコスプレ!?
学生服、ナース、猫耳といったキーワードが続出!

(C)2012 SQUARE ENIX CO., LTD.All Rights Reserved.
MAIN CHARACTER DESIGN:Akihiko Yoshida.

データ

▼『ブレイブリーデフォルト』ダウンロード版
■メーカー:スクウェア・エニックス
■対応機種:3DS
■ジャンル:RPG
■発売日:2012年11月1日
■価格:5,400円(税込)
▼BD『ルクセンダルク紀行』
■販売元:ポニーキャニオン
■品番:PCXP-50136
■発売日:2013年3月20日
■定価:7,350(税込)
 
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Amazon.co.jp
▼DVD『ルクセンダルク紀行』
■販売元:ポニーキャニオン
■品番:PCBP-52110
■発売日:2013年3月20日
■定価:7,350(税込)
 
■DVD『ルクセンダルク紀行』の購入はこちら
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