2013年5月16日(木)
昨年11月から今年の2月にかけて行った、ファン投票で2012年のベストゲームを選ぶ電撃オンラインアワード2012。そのコンシューマゲーム部門でトップに輝いた『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー』の開発者インタビューをお届けします。
お話をお聞きしたのは、本作の開発スタッフであるプロデューサーの浅野智也さん(スクウェア・エニックス)、アシスタントプロデューサーの高橋真志さん(スクウェア・エニックス)、ディレクターの中原顕介さん(シリコンスタジオ)。2012年10月11日の発売から約半年を経た今だからこそ語れる、ぶっちゃけ気味の内容もお聞きしてきました。
今回お届けするのは、ジョブに関するトークや今後の展開などについて。“100の改善案アンケート”を受けたバランス調整の裏話も必見です!
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※この記事には若干のネタバレが含まれていますので、まだ真終章をクリアしていない人はご注意ください。
――ジョブの話の派生ですけど、ジョブごとのグラフィック変化のバリエーションが多くて、着せ替え的な楽しみも味わえました。
▲左から浅野プロデューサー、中原ディレクター、高橋アシスタントプロデューサー。 |
浅野:同じジョブでも、男女でデザインが違ったりしますから。
中原:開発の初期は、もうちょっとジョブのグラフィックを減らすつもりだったんですよ。メインジョブとサポートジョブのような分け方をして、メインジョブだけグラフィックを変える形にしようと。そうすると、ジョブごとの衣装デザインの数が減るので、開発がスムーズに進められますから。
特に本当に初期の頃は、メインの4人以外もパーティメンバーになって、ジョブチェンジもできる形を含めて開発をしていたので、ある程度は汎用的なグラフィックを用意しておきたかったんですよ。それこそ、ダッツやラッツがパーティメンバーになる可能性もありましたから。
――あの2人が仲間になる可能性もあったんですか!?
高橋:案としてはありました。それこそ、開発の初期にテスト用に作ったキャラクターのモデリングは、ダッツやラッツが一番最初でした。この2人は身長差や体格差が激しいので、バトル中にならべた時は大変でしたね(苦笑)。ただ、仲間のキャラクターを入れ替え可能な形にするよりも、キャラクターを固定にしてジョブチェンジを利用する遊び方のほうが今回のゲーム性に適していると判断して、パーティメンバーを入れ替えない形にシフトしていきました。
中原:まあ、それは余談ですけど、ジョブの種類が多くなることはわかっていたので、あまりデザインを増やしたくなかったんです。でも、実際に開発していくと、誰がどんなジョブなのかを把握する際にはグラフィックの差別化をするのが一番だと思い、覚悟を決めてジョブごとに衣装を変える形にしました。
――女性キャラは特に、かわいい衣装が多いですよね。個人的にはセーラー服なんかも見てみたかったです。
中原:開発中には、そういう案もありましたよ(笑)。具体的には、同じような衣装がかぶらないようにアイデアを並べて、それを各ジョブに振り分けていくような流れでした。チャイナドレスとか学生服とかゴスロリファッションとか、コスプレ的に人気のキーワードを浅野さんのほうで洗い出されて、そこからジョブを決めるなど、わりとファッション重視で考えていきました。
高橋:当時の資料を見ると、チアリーディング、ナース、猫耳、巫女なんて言葉が並んでますね。
――結果的に、ジョブの衣装のバリエーションはすごく多彩になっていますよね。しかも、バトル中だけでなく、会話イベントなどの時でもちゃんとジョブに応じたグラフィックになっているのがうれしかったです。
▲ジョブごとの衣装はバリエーション豊富。まさにコスプレや着せ替え的な感覚を味わえる。 |
高橋:狩人の動物マスクでシリアスなイベントが始まると、ちょっと残念な気持ちになりますけど(笑)。
中原:キャラクターデザインの吉田明彦さんからは、「NHKの人形劇みたいになると楽しそうだね」なんて話があったんですけど、まさにそういう形に仕上がった気がします。開発中は、イベント中のキャラクターモデルを“すっぴん”に固定するという案もあったんですけど、やっぱりジョブの違いを反映する形にして正解だったと思います。これもまた、本当にイバラの道でしたけど(苦笑)。
高橋:どうしてもジョブごとにサイズの違いが出てくるので、不自然に見えてしまうケースもありうるんですよ。4人全員が黒魔道士だと、大きな帽子がぶつかりあってしまうかもしれません。でも、それを踏まえてキャラを離すと、今度は普通のジョブの時にばらけて見えてしまうわけで。
中原:ある程度は調整しつつ、ある程度は割り切った形です。それでも、とにかくグラフィックデータの制作とイベント作成作業が大変でした。
――プレイヤーのジョブ選びがイベントグラフィックにも反映される形は、本当に大事だと思います。人それぞれのプレイ経験が違ってきますから。
高橋:人によっては、特定のイベントを見る時には外見重視でジョブを編成していると聞きますし、今の形にできて、よかったと思います。
中原:自分がプレイしていてイデアが母親と再会した時、イデアが狩人で動物マスクをしていたんですけど、そんな状態の娘を見てイデアだとわかった母親に驚きました(笑)。そういうネタ的な部分も含めて、うまくいったと思います。
――ちなみに、ジョブのボツネタなどはたくさんありましたか?
中原:以前のインタビューでもお話したように、プレイ時間といったやり込み要素や“レベル●デス”みたいな数値に関連したアビリティを使う算術士ぐらいです。
高橋:そういえば、以前に『光の4戦士』の時に海外で“加えたいジョブのアンケート”を取ったんですけど、弁護士という声が意外と多くて、ちょっと驚いた覚えがあります。やっぱり、国民性ってあるんですよね。
中原:ジョブ名については、いくつか変わったものがあります。海賊は、一時期は海軍将校だったんですけど、ちょっと言葉が硬いのと、某超人気漫画を想起してしまうので、普通に今の海賊に落ち着きました。
高橋:さらに余談ですけど、ジョブチェンジするのに必要な“アスタリスク”という言葉は、初期のプロジェクト名から来ているんですよ。浅野の発案で、“光の戦士”の“光”のイメージから輝く星を意味するアスタリスクをプロジェクト名に使ったんです。また、アスタリスクの記号である“*”が“光”という漢字に似ていたのも、プロジェクト名として選んだ理由の1つです。
中原:ゲーム中でも、一時期はアスタリスキューブという呼び方だったんですけど、語呂が悪いのでアスタリスクと呼ぶようになりました。
→続編が出るとしたらどう変わる?
“100の改善案”の反響などについてトーク(2ページ目へ)
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MAIN CHARACTER DESIGN:Akihiko Yoshida.
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