2013年6月17日(月)
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松下:じゃあ、さっそくキャラ人気投票の結果について感想をお聞きしていきます。まずは、いわゆる赤ちゃんですね。ファンの中では“赤さん”で定着しているようですが。
藤坂:あれね、モデルを作るのが簡単だからって理由で採用されたような気が……。
松下:んんー? いきなり夢がないお話になりそうな空気。
藤坂:たしか、あの赤ちゃんと、新宿で戦う母は、著作権フリーのモデルをベースにしています。だから、僕らがイチから作ったものじゃなかったと記憶しています。
松下:今語られる衝撃の事実ってやつですね。
柴:ちょっと! 僕、それ聞いてないですよ(笑)。まぁ、フリー素材だったらいいんですけど。ユーザーさんにとっても、開発陣にとっても、ある意味トラウマを与えたキャラがいきなりランキングされるあたり、さすがですね(苦笑)。
松下:さすがは『DOD』、恐ろしい子……。
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柴:ゴーレム、いいデザインだよね。ほんとにいい。
藤坂:ちなみに、モンスターやゴーレム、ドラゴンのデザインは、僕じゃなくて長谷川さん(※)の担当なんですよ。
※長谷川さん:元キャビア所属のデザイナー・長谷川太郎さん。『DOD1』『DOD2』に登場するドラゴンやクリーチャーは、氏のデザインによるもの。
柴:長谷川さんのデザイン、本当にかっこいいですよね。今見ても、ちっとも古くなってない。
藤坂:ちなみに僕、すごく長谷川さんに影響を受けた部分があります。『DOD1』をやるまでは、ファンタジーってあまり知らなかったんです。
松下:今や、ファンタジーを描かせたら随一じゃないですか。
藤坂:最近はそういうお仕事ばかりですけど、本来僕はSFとかのほうが好きなんです。
柴:そういえば、最初のほうの衣装とかはすごかったよね。「これじゃ受けないよ?」って感じの、コテコテなデザインという感じで。
藤坂:いや、本当に手探りだったので(苦笑)。ただ、長谷川さんはファンタジーにすごく造詣が深い方でした。その手の本をよく読んだり、ボードゲームをコレクションしたりしていて、自分なりのファンタジー観を確立されていたんですよ。そういう人が身近にいてくれたので、それを参考にというか、足がかりにさせてもらえた部分はありました。王道を教えてもらいましたね。
柴:あ、今思い出した。最初の仕様では、ゴーレムは全身を出して操作できるって話だったんですよね。途中で仕様変更になっちゃったけど。
藤坂:いや、出たじゃない。手だけだけど。
柴:手だけじゃん(笑)。しかも、かなりギリギリになってようやく盛り込まれたくらいの勢いだったし。僕、楽しみにしてたのになあ。
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柴:次はブラックドラゴン。これもいいですねー。
藤坂:いいですよねー。
柴:僕がこのゲームを手掛けていて、最初に「あ、これいける」って思ったのが、ブラックドラゴンの登場ムービーを見た時なんです。足をこう、カッと開いて突っ込んでくるのを見た瞬間に、商品としての手ごたえを感じました。
藤坂:足がね、お腹のところにこう……何か抱えてるみたいな感じになってるじゃないですか。この発想が、長谷川さんのデザイナーとしての力を証明していると思うんですよ。
柴:超秀逸だよね。
藤坂:デザイナーとして一番大事なものを持っている。憧れますよ。
松下:イウヴァルト対カイム、そしてブラックドラゴン対アンヘルで戦うムービーとか、最高にかっこいいですもんね。ちなみに今回、ブラックドラゴンとレグナは、あえて投票先を分けさせていただきました。
柴:はい。分けていいと思います。『DOD1』のブラックドラゴンと、『DOD2』のレグナは、立ち位置というか、役割がまったく違いますから。
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松下:次は『DOD2』のキャラですね。ジスモア総統閣下。
柴:ジスモアは僕、一番好きなキャラかも。立木文彦さんが演じる声も、壮絶な生き様とかも含めて。何より絵が一番いいですよね。
藤坂:悪い奴ですよ、でも。
柴:そうは言うけど、あなたも喜んで描いてたじゃない。
松下:藤坂さんはおっさんを描くのが好きなイメージありますね。僕だけでしょうか。
柴:いや、間違ってないんじゃない?
藤坂:おっさん、もっといっぱい描かせてもらいたいですね。
柴:とか言いながら、なんでじっとジスモアのイラストを見つめてるわけ?
藤坂:いや、なんでこんなデザインにしたんだろうって。今さらだけど(笑)。
松下:え? かっこいいと思いますけど。
柴:ある意味でかっこいい性格じゃない。権力欲の塊で。こんな大人になりたいわー。
松下:いや、こんな大人になっちゃダメですよ柴さん(笑)。
藤坂:でも、ジスモアは個人的に僕も大好きなんですよ。典型的な悪者っぽい悪者っていいですよね。
柴:わかりやすくていいですよね。
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柴:お次はヤハですか。ROLLYさんが演じたキャラですね。
松下:ベストマッチなキャスティングでしたよね。あれって柴さんが選んだんですか?
柴:はい。キャスティングはほとんど僕ですね。神の見えざる手が働く時がたまにありましたけど……(汗)。
松下:ゲームにROLLYさんを起用するって、すごい発想だと思います。ROLLYさんしかり、ザンポ役の我修院達也さんしかり、なかなかそこに考えがいかないと思うんですけど。
柴:我修院さんは、元々僕が大好きな俳優さんだったんですよ。僕、映画監督の石井克人さん(※)にすごく憧れてるんですけど、その石井さんがよく起用されることから、我修院さんに興味を抱いたんです。それはそうと、こうして見ると藤坂さんのイラストは『DOD2』で開花した感じがしますよね。イラストレーションとしてもそうだし、キャラクターデザインとしてもそう。
※石井克人さん:映画やアニメの監督、CMディレクターなどをこなすクリエイター。代表作は『鮫肌男と桃尻女』など。
松下:たしかに、キャラの表情とかにも独特の艶が出てきたというか。衣服やアクセサリーのディテールもそうですけど、なんというか“藤坂節”みたいなものができあがっている気がします。
柴:『DOD1』の時は、まだ手探りな感じが見て取れるんだけど、『DOD2』は今見ても全然古くないんですよね。
藤坂:『DOD1』があっての『DOD2』ですから。僕は元々、工業デザイン学科の出身なので、それなりにデザインに関しての持論やプライドは持って作業していました。でも、『DOD1』では初めて、デザインしたものをイラストとして“魅せる”必要が出てきまして。初体験だけあって、今見るとすごくイモっぽいですよね。『DOD1』のキャラは特に。
松下:柴さんのお話のように、『DOD1』の時は手探りだったと?
藤坂:手探りでしたね。『DOD1』のパブイラストとかもうね、今見ると死にたくなるかな。オエッてなります(笑)。
柴:でも、『DOD2』の時は、もう完成してるじゃない。すごく魅力的だと思います。
藤坂:魅力的かどうかはわからないけど、僕なりにイラストをちゃんと描こうとして描いたって自負はありますね。イラストを見てくださる人の目を意識して描くっていうのは、デザインとはまたちょっと違うスキルが必要だということを、『DOD1』で経験したからこそだと思うんですけど。ごめんなさい、ヤハとは関係なくなっちゃいましたかね。
柴:いや、素晴らしいデザイン論でしたよ。
染谷:カシャシャシャ(柴さんの横顔をカメラの連写機能を使って撮っている)
柴:あの、僕よりも、せっかく藤坂さんがいい話をしていたんですから、藤坂さんを撮るべきでは?
染谷:カシャシャシャ、カシャシャシャ(慌てて、カメラの連写機能で藤坂さんを撮り始める)
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Character Design : Kimihiko Fujisaka.
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