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2013年7月4日(木)

【ほぼ毎日特集】『獣電戦隊キョウリュウジャー』のおもちゃについて、ブレイブな開発者にインタビュー! 大人が楽しめるアイテムも!?(第12回)

文:カネキング

■“キョウリュウジン”の変形・合体シーンへのこだわり

――“キョウリュウジン”の変形・合体シーンが、自分でおもちゃを動かしているような映像になっていていつもワクワクするのですが、これは番組の制作サイドと連携を取って制作しているのでしょうか。

『獣電戦隊キョウリュウジャー』
▲ガブティラにステゴッチとドリケラがかみつき合体することで完成する“キョウリュウジン”。腕の部分が別の“獣電竜”と入れ替わることで、異なる形態に変形する仕組みです。

植田さん:はい。おもちゃの写真を1ポーズごとに撮って、それを東映さんにお渡しして、再現してもらうよう打ち合わせをしています。

――そんな工夫があるんですね!

ロイドさん:自分が買ったロボットを番組と同じように合体できるように、両社で擦り合わせて進めています。

植田さん:基本的な合体や変形の仕組みは、おもちゃでできないようなことは番組ではやらないという方針ですね。

――『キョウリュウジャー』は、特に合体シーンにリアリティがあると思いましたが、これにはどういったこだわりがあるのでしょうか。

植田さん:ロボの醍醐味は、変形と合体にあると思っています。前回の『ゴーバスターズ』では変形シーンをCGでやっていたのですが、今回は合体シーンをしっかり見せた方が迫力が出て子どもにも喜ばれるんじゃないかと思いました。そこでミニチュアを作成して、“物の感じ”が出るような合体シーンを見せています。ミニチュアといっても、かなり大きなものなのですが。それによって、重量感や“物っぽさ”が出ているんじゃないかなと思います。

――確かに、非常に迫力のあるシーンになっていると思います。他に、“キョウリュウジン”のおもちゃについて、制作時のこだわりなどはありますか?

植田さん:“獣電池”を使った連動を心がけて制作しています。持っていれば、なりきりアイテムでも遊べるし、ロボでも遊べる。すべてのアイテムが“獣電池”と連動するような仕組みになっています。

ロイドさん:それが今回の大きなテーマの1つでもあって、今までは連動アイテムというと、なりきりアイテムに使うのが主流だったと思うんですが、今回はロボにも使えるようにしようと考えたんです。“獣電池”は、そのコンセプトをもとに開発を進めました。

植田さん:あとは、ロボを買ってもらって、1年間ずっと安心して遊んでもらえるものにしたかったという想いもあります。もちろんこれまでも、合体ギミックがあるから安心して遊んでもらえるおもちゃではあったのですが、それとは別の軸でずっと遊べるギミックを取り入れました。

『獣電戦隊キョウリュウジャー』
▲ロボに“獣電池”を読み込むことで、さまざまなサウンドを楽しめます。手持ちの“獣電池”との連動遊びも、“キョウリュウジン”の魅力の1つです。

――言われてみると、なりきりアイテムとロボが連動している戦隊ってあまりなかったような気がしますね。

植田さん:『炎神戦隊ゴーオンジャー』のエンジンソウルや、『侍戦隊シンケンジャー』の秘伝ディスクもロボに使えはするのですが、ここまでしっかり連動して音が鳴るものはなかったと思います。

――“キョウリュウジン”は、これから登場する“獣電池”にも対応しているということでしょうか。

植田さん:はい。今後登場するすべての“獣電池”に対応しています。

――“プテライデンオー”の“デーボスインモード”は、番組で見ていてマントが非常にカッコよく感じたのですが、あのマントが商品化されることはないのでしょうか……。

『獣電戦隊キョウリュウジャー』
▲2号ロボの“プテライデンオー”。最初は敵に操られ、黒いマントを羽織って登場するのですが、これがとてもカッコよかったのです……。

植田さん:今のところないですね……。開発当初はマントをつける話もあったのですが、マントをつけて値段が高くなるよりも、ヒーローとしてのカッコイイ部分を、買いやすい価格で買ってもらったほうがいいと考えました。

ロイドさん:そこで、無理なくできる範囲で、バイザーを上げ下げできるギミックを搭載しました。

『獣電戦隊キョウリュウジャー』
▲悪の“デーボスインモード”は、バイザーのギミックで再現されています。

植田さん:大人はあぁいうのを見てカッコイイと思うと思うんですが……今回その部分のフォローはないかなと。

ロイドさん:正義のロボになるので、あまり悪の方面を追い掛けてもなと思いました。キャンペーンで“獣電池”を配るのはいいのですが、やはりマントをつけて価格が上げるのはやめようという判断です。

――おっしゃる通り、完全に大人目線でした……。ロボの合体のフォーメーションについてお聞きしたいのですが、たとえば『ゴーバスターズ』ならバスターマシンのCB-01が単機でロボに変形したり、『キョウリュウジャー』はガブティラが中央にいて、ステゴッチとドリケラが両手に合体したりとさまざまなバリエーションがあるかと思います。このフォーメーションも、毎年違うものにしようと意識しているのでしょうか。

ロイドさん:“ゴーカイオー”のように真ん中のメカに両腕両足が合体したり、“ゴーバスターオー”のようにレッドのメカがまずあって、そこに両腕と両足が合体したりと、毎回違うものになるように意識していますね。一周して似たようなパターンになってしまうこともありますが、新しい合体になるようつねに考えています。“キョウリュウジン”も“プテライデンオー”も違う変形をしますし、この後に出てくるものに関してもまた異なる変形になるよう心がけています。全部買った人が、それぞれの楽しみを見つけられるような作りにしていますね。

『獣電戦隊キョウリュウジャー』 『獣電戦隊キョウリュウジャー』 『獣電戦隊キョウリュウジャー』
▲2号ロボの“プテライデンオー”は、“キョウリュウジン”とは異なる変形・合体パターンになっています。具体的には、“獣電竜”形態の“プテラゴードン”から単体で“プテライデンオー”に変形した後、両腕に2体の“獣電竜”が合体することで、“プテライデンオーウエスタン”になります。

――3号ロボの登場が待ち遠しいです! ロボの合体というのは、最初にどう合体するかまでしっかり決めて開発されているのでしょうか。それとも、途中で変更したりする場合もあるのでしょうか。

植田さん:最初の段階で、最終ロボまで想定していますね。そこを決めないと、年末に出るロボと合体するジョイント部分などを用意できないので。

『獣電戦隊キョウリュウジャー』
▲“キョウリュウジン”の背中に“プテラゴードン”が合体して誕生する“ライデンキョウリュウジン”。こういった合体の仕組みが、最初の段階から想定されているとのこと。

ロイドさん:最初の段階ではまだ2号、3号ロボのデザインもできていないので、たとえば1号と2号を合体させたいとか、3号まで全部合体させたいとか、ざっくりとしたコンセプトを立てます。どうやって合体するのかは設計段階で決めていくんです。年間で登場するロボをまず決めて、そこからどこで登場して、最終的にどう合体していくかというスケジュールを決めていきます。

――番組が始まった時点では、どのくらいまで制作が進んでいるのでしょうか。

植田さん:始まった時点ではほとんど決まっていて、最後のロボのザインを詰めているぐらいですね。もちろん大枠は決まっているのですが、細かいディティールなどは適宜詰めていっています。

――そういえば“キョウリュウジン”というと、お父さんが子どもと遊んでいる一風変わったCMが非常に印象に残っているのですが、あのCMを作られた経緯を教えてもらえますか?

植田さん:スーパー戦隊シリーズは、巨大ロボ戦が魅力の1つだと思っていて、ロボを売りたいと考えていたんです。もちろん、子どもに欲しいと思ってもらえるものを作っているんですが、大人にも子どもに買ってあげたいなと思ってもらいたいと考えて、あのCMを作りました。わりとチャレンジングなCMでしたね(笑)。

→“キョウリュウジン”ヒットの理由を聞く(4ページ目へ)

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