2013年11月15日(金)
――敵地に潜入するというのがシリーズの共通点だと思いますが、その緊張感というのは今回、これまでの作品とは全然違うものになりそうですね。
そうですね。今回は前後左右、上からも下からも敵に見られていますから。かなり大変ですよ。
――まず敵兵を双眼鏡でチェックしてタグを付け、周囲を把握してから潜入ルートを自分で考えてプレイするということですね。
「このへんにターゲットがいそう」とかいう情報がマップに表示されていったりもしますので、それも活用しながら慎重に行動してほしいですね。ちなみに、敵に発見されると基地中の敵兵が警戒態勢になって、自分1人をたくさんの敵兵たちが探しに来るんです。そのときマップを確認すると、最後に発見された場所が赤く表示されます。最後に発見された場所をめがけて敵兵が集まるので、そこにいたら絶対にピンチになります。そこで普通でしたらジッとしたくなりますが違うんです。
ぼくたちは特殊部隊の人たちと一緒に訓練をしたこともあるんですが、こういったときに生き残るコツというのは、移動し続けることだそうです。敵に見つかったら、その場所からすぐに逃げて、違うところで態勢を立て直すそうです。ここも今までの『MGS』シリーズとは違いますね。今までのシリーズ作品では逃げ場所がありませんでしたから。
『MGS GZ』の場合はステージ全体が1つの基地なので、どこかを爆発させても基地内に敵がいるということになりますし、普通の警戒状態ではありません。普段はあくびとかしている敵兵たちが、何かあったらいっぱい来て、普段チェックしないようなところまでチェックするようになります。だから、なるべく敵兵に見つからないように、こっそり潜入したほうがいいです。
発見されたらとにかく走って逃げて、移動しながら撃って、敵兵と離れたら態勢を整える、というのが一番です。もし戦闘になった場合、基地にいる敵兵を全員倒したら出てこなくなりますが、そうなる前にまずこちらが倒されてしまいますし。
敵兵はこちらを見つけると、プレイヤーが見えている間はずっと追ってきますが、走り去って敵兵がこちらを見失ったら、最後に見失った場所に敵兵が集まってきます。その後、その周辺をある程度探したあとにその場を去るんですが、もとの状態には戻りません。警戒モードになります。このときは敵の数も補強されて多くなります。その状態が続くと、もとの状態にもどることになることもありますが、とにかくなるべく発見されないことが一番です。
――プロローグのミッションは現在、雨天&夜間のシチュエーションとして公開されていますが。
そうですね。夜でしかも雨が降っているので、こちらが足音をたててもあまり敵兵に気がつかれなくなります。しかしこれは敵にもいえることです。スネークは指向性マイクを持っているんですが、これを向けても聞き取りづらくなっています。当然、お互いに視界も悪くもなりますね。こういった状況でまずゲームをプレイしていただき、サブミッションでは同じマップで、時間帯が朝や昼だったり、天候が違ったりします。ものすごい遠くにいる敵兵から発見されたりもしますので、プレイ感覚はまったく違いますね。
――本編のほうでの潜入する時間帯は、潜入したりするルートによって変わったりするのでしょうか?
『MGS GZ』では一定ですが、本編となる『MGSV TPP』では本当にリアルタイムに変わります。目的地の場所までどんな乗り物を使うかによっても変わりますし。敵陣に着いたときに真っ暗だったら大変ですよ。山道なんか暗闇で先が見えませんし、車で走るにしてもヘッドライトで照らされる少し先しか見えませんから。崖道なんて怖くて走れません(笑)。
――PS4とPS3の限定サブミッションとして“デジャヴ・ミッション”が収録されますが、こちらはどのような内容なのでしょうか。
プレイステーションというハードができ、はじめてコンシューマ機で3Dポリゴンができるということで、本当の『メタルギア』ができると思って15年前に作ったのが、1作目の『MGS』だったんです。これはMSX2で発売された『メタルギア2』を3Dにしたという感じでした。
それをPS4で、今のテクノロジーでやったらどうなるかなぁと思って実験をしたのが『MGS GZ』の起こりだったんです。マップの形状とか、アラスカにある島という舞台とか、崖を登って、ヘリポートがあってというシチュエーションとかですね。
特に26年前のMSX2の『メタルギア』を作っている時に、やりたくてもできなかったのは、サーチライトの表現だったんです。これがPS4でようやくできました。ライトが壁に当たって曲がったり、角度が緩くなると光が伸びたり、そして雨粒にライトが当たると光ったりもしますし。
『MGS』はPS、PS2、PS3と一緒に成長してきたので、世界中のPSファンと『メタルギア』ファンの方々に何か恩返しをしたいなということで。あと、構造的に1作目とコンセプトが一緒だったので、これはもしかしてと思い、ライティングをPSみたいにすると似るんじゃないかと思い、やってみたらけっこういけていたんです。
なので、デジャヴ・ミッションというのは、15年前にPSで『MGS』をプレイしてくださった方々に、デジャヴな気持ちになってもらおうかと。あのころは学生だったなぁとか、独身だったなぁとかを思い出しながら遊んでもらえたらと思っています。
ちなみに、ミッションの内容は、スネークが『MGS GZ』のフィールドでミッションが最初に提示され、『MGS』のいろいろなシーンと似たような環境を作っていくとクリアとなります。そういったミッションをいくつも用意していますが、中には『メタルギア』のマニアじゃないとクリアできないようなものもあります。
――かなり作り込んでいますね。
これはPS3とPS4でしか遊べませんから。持っている人はぜひ遊んで欲しいです。あと、これは若い人にはわからないかもしれません。でも、30代以上の人は懐かしがって泣いていただけたらと思っています。『MGS4』でシャドーモセス島に潜入するミッションで、『MGS』のエンディングの曲を流したんですが、けっこうそこで泣いたというユーザーさんもいたようです。
プレイステーションも初代から4になり、15年という月日が流れていろいろ進化しましたが、ぼくらは昔から変わっていない、えらくなじんでいるなと。15年前と一緒なんですよ。キャラクターはものすごくぬるぬる動くように進化はしていますが、今も15年前と同様に、ぼくたちはスネークを作っているんです。嬉しいような悲しいような、なんかデジャヴのような(笑)。
ローポリゴンなんですが、ハイレゾにしているので、おかしく感じないのもおもしろいところです。しかも、声はキーファー・サザーランドですから。あと、けっこういろいろなことを仕込んでいますので、『MGS』を遊んだ方なら笑えると思います。ネタを考えているときは楽しかったですよ(笑)。
――『MGSV TPP』ではシリアスな内容になると聞いていたので、その反動で仕込んだのですか?
そんなことありませんが、スタッフは何かしら反動があったかもしれません。『MGSV GZ』のエンディングは重いです。
→スネークたちにとっての“グラウンド・ゼロ”とは何か(4ページ目へ)
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