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2013年12月16日(月)

PS3/Xbox 360『グランド・セフト・オートV』に“世界”は遊んでおもしろく見物して楽しい立派な観光地!!【電撃オンラインアワード2013】

文:城 イドム

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■他では味わえない体験ができる理由をひも解く

 やれることの膨大さ、そしてバリエーションの豊富さについては先ほども触れたが、メインミッションにスポットを当ててそのスゴさの一端を紹介したい。

 各ミッションではゲームの山場にイベントムービーが挿入される。気の利いた会話(音声は英語。日本語字幕も表示可)も凝っていて、その内容を聞いているだけで、知らず知らずのうちにゲームに引き込まれてしまう。また、ミスしてゲームオーバーになった時にも、たいていはそのシチュエーション専用の演出が用意されており感心させられた(普通に遊んでいる範囲では、そのほとんどを見る機会なくクリアしてしまうと思う)。

 そして、各ミッションにはクリア条件とはまた別に、いくつかのノルマが用意されている。例えばプロローグから続く最初のミッション“フランクリンとラマー”では、“最小限のダメージで車を運べ”とか“フランクリンの特殊スキルを7秒間使え”といった4項目のノルマが掲げられており、クリアまでにいくつこなしたかによって評価がブロンズ・シルバー・ゴールドの3段階に変化する。一度クリアしたミッションは、ポーズメニューの“ミッションのリプレイ”から改めて遊び直すことが可能だ。よりクールなプレイを目指して、繰り返し遊びたくなる工夫がされている。

 メインミッション以外にも、注目スポットはいくらでもある。ゴルフやテニスなどのスポーツも楽しめるし、ダーツに興じることもできる。街道レース大会に参加することも可能だし、宇宙人マニアの住人の依頼に応えて、街に散らばった未確認飛行物体の残骸(?)を探し集めるといったサブミッションもある。また、自宅でテレビをつければ、アニメなどの番組まで視聴可能だ。

 これらの“ミニゲーム”はゲームバランスにしろ操作性にしろ、1つ1つしっかり作り込まれているので、安心して楽しむことができる。ともすれば、この事実は軽視されがちだが、これだけ膨大な要素をこのクオリティで1本の作品に詰め込んでいるのは、驚嘆すべきことだ。

『グランド・セフト・オートV』 『グランド・セフト・オートV』
『グランド・セフト・オートV』 『グランド・セフト・オートV』
▲原則としてミニゲームは、メインのストーリーにはなんら影響しない。遊んでも遊ばなくてもいい要素にもかかわらず、1つ1つがツブぞろいの完成度に仕上がっており、開発者のパワーに脱帽させられる。

 また、ゲームをやり込んでいくと、ユニークな仕掛けがゲーム中にさりげなく隠されていることに幾度となく気付かされ、そのたびに驚きを覚えた。本作の新要素の1つ、株をめぐるマネーゲーム(?)はその好例だろう。

 特定のミッションを受けた時、仲間との打ち合わせのちょっとした雑談の中で、この仕事によって特定の株価が変わるという情報が得られることもある。方向キーや方向パッドの上を押してアイテムの携帯電話を開けば、そこからゲーム中の世界で運営されている架空のインターネットに接続できる。このネット上ではさまざまなサービスを利用できるが、その中の1つを使って特定の株式会社の株を購入することも可能だ。この先の自分の行動で株価が急上昇することはわかりきっているので、小まめな市場調査などをしなくても大儲けできてしまう、というワケである。

 このように遊ぶほどプレイの幅が広がり、世界で唯一自分だけのプレイスタイルを確立していけることが、本作の最大のおもしろさなのかもしれない。

『グランド・セフト・オートV』 『グランド・セフト・オートV』
▲仕事仲間との雑談で、デボネア・シガレット社の株価が上がるという話を耳にしたフランクリン。そのまま聞き逃すか、千載一遇のチャンスと受け取るかはプレイヤーしだいだ。もし任務にあたる前に株を買っておけば、後日、大金を稼げる。社会全体の動向まで表現した本作でなければ、こんな遊び方は体験できない。

■3人の主人公が交錯するゲーム展開に注目!!

 さまざまな新要素の中でもっとも革新的だったのは、主人公が3人になった点だろう。本作では、大物になる野心を抱く若者・フランクリン、汚れた過去から一度は足を洗って優雅に暮らす中年・マイケル、かつてマイケルと一緒に仕事をしていた粗暴な男・トレバーという3人がプレイヤーキャラとして登場する。

 ミッションを受けている場合などを除き、プレイヤーは基本的にいつでも操作する主人公を切り替え可能だ。プレイヤーがフランクリンを操作している時には、マイケルとトレバーはNPC(登場人物)という役回りになるといった具合に、3人が常に操作キャラ1人+NPC2人という立場で構成されているシステム設計がユニークだ。

 また、1つの物語がさまざまなキャラの目線からヒモ解かれていく手法がおもしろい。特定の人物でなければ受けられないミッションもあるなど、ゲームの進行上で切り換える必要がある場合もある。さらにミッションによっては、3人がそれぞれ役割分担して共同作戦を決行することもあり、そんな任務ではプレイヤーが誰を操作キャラに選ぶかを素早く判断することが成否のカギを握ることも!

 ――かと思ったら、日常の彼らはプレイヤーの手を離れると、勝手気ままに暮らしており、キャラを切り替えた時に(演出の1つとして)そんな様子が垣間見えることもある。例えば、久しぶりにトレバーを操作したくなって切り換えたら、ゴミ捨て場で寝てるところからゲームが再開することも! 普段の彼がどれだけすさんだ生活を送っているかが伝わってくる、斬新かつ効果的な性格描写の表現と言えよう。

『グランド・セフト・オートV』 『グランド・セフト・オートV』 『グランド・セフト・オートV』
▲主人公として本作に登場するフランクリン、マイケル、トレバーの3人(左から)。使用するキャラは基本的にいつでも切り換え可能だ。このシステムによって、本作ならではの物語&ゲーム展開を楽しむことができる。
『グランド・セフト・オートV』 『グランド・セフト・オートV』
▲メインミッションの1つ、“ザ・チーム”で誘拐された男の奪還に挑む3人。現場のビルに飛び込んだマイケルは敵グループの反撃にさらされる(写真左)。この時フランクリンはスナイパーライフルを装備して待機しており、操作キャラを彼に素早く切り換えれば、窮地に陥ったマイケルを救うことができる。

 なお、話は少し脱線するが、個性豊かな3人の中でも個人的にもっとも愛着を感じたのはトレバーだった。尖ったナイフのような男だが、そんな人物だけに、彼には暴走しがちな言動やお下品ネタが実によく似合う。私見ではあるが、近年の『GTA』シリーズではいい意味での“おバカなノリ”がいくぶん抑え気味だったように思う。海外クリエイターらしいセンスがほのかに香る、こういったシーンが私は好きだ。それを堪能させてくれたトレバーに、シリーズのファンとして感謝をささげたい。

■すべてのオープンワールドファンよ、いざロスサントスに集え!!

 本作はまさに、汲みつくすことのない泉のような魅力に満ちたゲームだ。この世界では、どんなにゲームをやり込んでも、やってみたいこと、まだ知らないことが次から次へあふれ出て、遊び続けたい衝動を止められなくなってしまう。作中の世界を観光するようなタイプのゲームは数あれど、これほど深く、そして濃厚な作品はないだろう。まだ、本作へのパスポートを手にしていなかった人は、ぜひロスサントスを訪れることをオススメしたい。


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 ファン投票で2013年のベストゲームを決める“電撃オンラインアワード2013”にぜひご投票ください! 対象タイトルは、2013年1月~12月に国内で発売・配信・サービス開始された、あらゆるゲーム。コンシューマゲームに限らず、PCゲーム、スマホゲーム、トレーディングカードゲーム、ボードゲームなども含まれます。

 投票していただいた方の中から抽選で、PS4、PS Vita(PCH-2000)、ニンテンドー3DS LLのいずれかを5名様に、好きなソフト1本を20名様にプレゼントいたします(ハードとソフトは、いずれか1つしか選べません)。ご希望の賞品とともに、あなたの2013年のベストゲームを投票してください! なお、当選者の発表は、2014年2月上旬を予定しています。

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(C) 2013 Rockstar Games, Inc.

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